めんどくせぇことばかり 『日本の神々』 松前健

『日本の神々』 松前健

キリスト教はヨーロッパを取り込んでいったが、土着の宗教はかえってキリスト教の中にその居場所を確保した。北欧では冬至祭のことをユールと読んでいたというが、キリスト教に取り込まれた今でも、クリスマスのことをユールと呼んでいるという。徐々に力を失っていった太陽神ミトラは、クリスマスをきっかけに力強さを取り戻していく。

日本神話にも同じような話があって、天岩戸神話では、新嘗祭の前日、旧暦の十一月の中寅日に当たっており、衰えた太陽の光熱を回復させる冬至の祭りにほかならない。同時に、穢れにより本来の力を失った魂を奮い立たせるための祭りであった。

イザナギの左右の目から、それぞれ天照と月読が生まれたという古事記の神話がある。ニュージーランドのマオリは、太陽と月は天空神ランギの子であり、天空の目として天上界に置かれたという。ハーヴェイ群島では、やはり日月は天空神ヴァイテアの左右の目となっているそうだ。

イザナギとイザナミが、天空神と地母神の一対の夫婦であり、その結合と国生み、および別離の神話が、天と地の結合と万物の化成とその分離を物語る神話であるなら、それは天空神ウラヌスと地母神ガイアを擁するギリシャ神話とまったく同じ。先ほどのマオリの神話の天空神ランギの妻も地母神パパだそうだ。

まったく、ビックリだよ。やっぱり学問っていうのは、ちょっとした発想の転換と地味な努力の積み重ね。地道に知識を積み重ね、塩をふって重しを乗せ、蓄積された知識を発酵させて新しい何かが生まれるのを待つ。・・・ もしかしたら腐ってるかも、・・・虫が湧いてるかも、とか不安に思いながら新たな発想を待つ。

この本を読んでいて感じたのは、苦労してとてもうまい漬物にたどり着いたのと同じような興奮。・・・えっ?ふざけるなって?・・・でも、この本を読んでいて、本当に、何らかの化学反応が起こっていることを感じたんだけどな。


講談社学術文庫  ¥ 929
一九七四年の知見は、すでにここにあった  考古学的発見はまだ追いつかない
第一章  イザナギ・イザナミ神話の形成
第二章  スサノオ神話の形成
第三章  アマテラス神話の源流
第四章  伊勢神宮とアマテラス
第五章  日本神話を歴史とするために


イザナギの崇拝圏は淡路島を中心に、播磨、摂津、大阪湾沿岸、紀伊、大和、伊勢、近江と近畿一帯に広がる。イザナギの神話の舞台はここである。天空神として地母神と交わり、世界を生み出して、さらに日月神を産む。しかし、三貴子の活躍の舞台はここではない。イザナギが皇祖神天照の親とする信仰は、古くからあったものとは思えない。さらに天照が皇祖神となった事自体、そう古いことではなく、七世紀になってからであろう。その段階で従来の祖神タカミムスビを押しのけて天照が皇祖神となり、さらにその親としてイザナギ、イザナミが迎えられた。

朝廷が天皇の権威を高天原神話に求めるとき、日本神話にいてスサノオはあまりにも巨大であった。朝廷では、これを高天原にも関係する神とするため、あえて高祖神の弟という地位を与えた。こうしてスサノオを取り込み、さらに皇室の権威を強調するために邪霊の風を装わせた。古い神話の形としては、スサノオは高天原でさんざん乱暴を働いたので、根の国に追放されたと言うかたいで完結していたのでは、と著者は言う。もともとはなかった日神の岩隠れが挿入されたのは、のちの天孫降臨神話を導き出そうとする作為からではないかと。

天照御魂神社と言うのが結構あって、「アマテルミタマ」と読む。天照御魂について著者は、「伊勢の天照大神とは別の日神であること」、「男性神格であること」などの霊格を示している。伊勢神宮の神ももとは男性太陽神で、土地の斎女が選ばれていたものだろう。そこへ朝廷が着目し、これを皇祖神を重ねて投影し、斎宮を派遣した。

いずれも七世紀だというのだ。

唐王朝という巨大な統一王朝が大陸に登場。全方位外交を展開する改革派の雄である蘇我本家が滅ぼされる。白村江の戦いに敗れて国家存亡の危機。壬申の乱でいよいよ国の行末が定まるかと思えば・・・。

七世紀の終わり、持統天皇の時代。藤原氏が国を簒奪する。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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