めんどくせぇことばかり 教育への介入(覚書)『アメリカの鏡・日本』 ヘレン・ミアーズ

教育への介入(覚書)『アメリカの鏡・日本』 ヘレン・ミアーズ

日本国民へ
新年を迎えました。新しい年とともに、日本に新しい朝が明けたのです。もはや未来は少数のものによって決められることはありません。軍国主義、封建主義、あるいは集団主義による肉体的、精神的束縛は取り除かれました。思想統制と教育の悪用はもうありません。今やすべての人が、不当な規制を受けることなく、宗教の自由と表現の権利を享受できるのです。集会の自由も保障されます。
ダグラス・マッカーサー将軍 東京 1946年1月1日          
本書p206
間の抜けた声明ですが、この声明とともに、前日、GHQは日本史、地理、道徳の授業を中止する命令を出し、教科書、教本を回収、焼却することを文部省に命じた。戦時中の対日プロパガンダを前提とした日本改造計画が動き出したわけだ。
『アメリカの鏡・日本』 ヘレン・ミアーズ
角川ソフィア文庫  ¥ 691
彼女の関心はアメリカにある  日本という鏡を通して見たアメリカが、ここに書かれている
GHQの、日本の教育に対する介入に関しては、『教育勅語』の廃止にかかわる部分を中心に、以前まとめておいたことがある。仕事の使うためのまとめで、何の遊びもありません。お読みいただくこと自体が恐縮です。
ただ、GHQの占領政策であるとか、検閲であるとか、何かをお調べの時には、“そう言えば、ブログにそんなこと書いた奴がいたなぁ”って思いだしていただければ、いくらでもお使い下さい。裏はとってあります。


敗戦直後の東久邇宮内閣は、敗戦という未曾有の危機の中でこそ、教育勅語の重要性はよりましていると考えていた。8月17日に成立した東久邇宮内閣の文相前田多聞は、その就任記者会見で、「日本の教育の基礎は教育勅語と終戦の御詔勅抜きでは考えられない」と述べている。

さらに9月15日には、「新日本建設ノ教育方針」を制定した。それは、教育の基礎を「国体護持」に置き、「科学教育振興」と「平和国家建設」に邁進するというものであった。 「今後ノ教育ハ益々国体ヲ護持ニ努ムルト共ニ軍国的思想及施策ヲ払拭シテ平和国家ノ建設ヲ目途トシテ謙虚反省只管(ひたすら)国民ノ教養ヲ深メ科学的思考力ヲ養イ平和愛好ノ念ヲ篤クシ智徳ノ一般水準ヲ昂メテ世界ノ進運ニ貢献スルモノタラシメントシテ居ル」「教科書ハ新教育方針ニ即応シテ根本的改訂ヲ断行シナケレバナラナイガ差当リ訂正削除スベキ部分ヲ指示シテ教授上遺憾ナキヲ期スル・・・」 と始まる「新日本建設ノ教育方針」の概要は以下の通りである。
①教育方針
 国体護持、平和国家建設の推進、軍国的思想の払拭、教養・科学的思考力の養成、智徳水準の高揚
②教育体制
 決戦教育の解除、平常教育への復帰、軍事教育の全廃
③教科書
 新教育方針に則る改定断行
④教職員対策
 再教育
⑤学徒対策
 勤労動員による学力低下への補習、陸海軍学校生徒の他校への転入
⑥科学教育
 単なる功利主義でなく、真理探究に根ざす科学的思考力の養成
⑦社会教育
 国民道義高揚と国民教養向上、成人・勤労者・家庭教育・図書館等の振興
⑧青少年教育
 郷土を中心とする青少年の自発能動・共励切磋の団体育成
⑨宗教
 国民の宗教的情操の涵養
⑩体育
 体位の回復向上、運動競技の奨励
⑪文部省改革
 学徒動員局廃止、体育局・科学教育局新設

これに対してGHQは「10月13日指令」を出して、「新日本建設ノ教育方針」に真っ向から反対した。
【昭和二十年十月十三日のGHQ指令】
①初等・中等教育の改革
②教科書の書き換え
③日本人の道徳観の養成、日本文化の改善
④「修身」を教えた教学局廃止(盲目的忠誠心を説いたため)
⑤国粋主義を鼓舞した全研究所廃止
⑥民主主義の信念を植えつける為の教師再教育
⑦文部省の権限分化・民主化

この指令は、GHQが日本の占領を、「日本国の無条件条約」による占領として振る舞いはじめた最初の行動である。9月2日の戦艦ミズーリでの休戦調印直後、占領軍は日本政府に対し「米軍による日本全土の軍政布告命令」を出した。9月3日、重光葵外相は、マッカーサーに対し「無条件降伏をしたのは日本軍であって日本国ではない。ポツダム宣言は日米両国を共に制約する条約であり、今回の米国の軍政布告命令はポツダム宣言違反である」として、前日の命令撤回を要求した。マッカーサーは、これを聞き入れ前日の命令を撤回した。江藤淳氏は、マッカーサーが命令撤回した理由を「日本軍未復員将兵三百五十万人の無言の圧力によるもの」と述べている。
しかし10月、陸海軍の武装解除は完了した。GHQは、日本がなにをされても逆らえないこの時期を待って、本来、有条件であるはずのポツダム宣言を、何の改変もしないままで無条件として押しつけてきたのである。仮にポツダム宣言が国家としての無条件の条約であったとしても、ドイツと違い、日本には統治能力をもった政府が存在する。
占領とは、本来、勝者が敗者を思うがまま裁くことを意味しない。また、勝者が、占領地の法律を勝手に改廃してはならないハーグ陸戦法規に明文化されていることである。ましてや、勝者が、敗者に対し文化や生き方まで変えよと要求することは、近代史上類例のない暴挙である。

さらに12月にかけて、「教育に関する四大指令」が矢継ぎ早に打ち出される。
①10月22日「日本教育制度ニ対スル管理政策」
 教育内容(軍国主義・超国家主義イデオロギー普及の禁止・軍事教練の禁止)     
 全教職員の思想調査(職業軍人・超国家主義者・占領政策反対者の罷免)~公職追放につながる
 教科書(軍国主義思想の削除、新教科書・新教科「公民」の導入)
 GHQとの連絡組織常設(文部省内)

②10月30日「教職員ノ調査、除外、認可ニ関スル件」
 全教員の調査
 軍国主義・国家主義者・占領政策反対者の排除

③12月15日「神道指令」
 教科書から神道教義の排除、学校行事の神社参拝禁止
 「大東亜戦争」・「八紘一宇」の公文書からの削除
 神道に関わる神棚などの学校・役所からの排除
 公立学校での神道研究・神官養成の禁止
 神道への行政(財政他)支援の即刻停止
 神道教義の宣伝禁止
 内務省神祇院の廃止など

④昭和二十年十二月三一日「修身、日本歴史、及ビ地理停止ニ関スル件」
 学校での修身・歴史・地理の即刻停止
 修身・歴史・地理の全教科書の学校からの回収

四大指令が破壊したものは、軍国主義ではなく日本の「歴史・文化・伝統に基づいた教育」であった。教育勅語の精神は、それが廃止される前に、すでにズタズタにされた。教育勅語の廃止は、その状態が占領終了後にも永続することを目論んで行われるのである。

昭和21年に来日した米国教育使節団は、3月31日、「教育現場からの教育勅語追放」を勧告した。「日本では独立した地位を占め、かつ従来は服従心の助長に向けられて来た修身は、今までとは異なった解釈が下され、自由な国民生活の各分野に行きわたるようにしなくてはならぬ。平等を促す礼儀作法・民主政治の協調精神、これらは、皆広義の修身である。・・学校における勅語の朗読・御真影の奉拝等の式を挙げることは望ましくない。」
①「教育内容変更」の指示 
 修身廃止、
 地理・歴史教科書書き直し
 国字のローマ字表記(膨大な文献の「焚書」)
 勅語朗読・御真影奉拝禁止

②「教育制度変更」の指示
 教育の地方分権化(地区教育委員会創設等)
 男女共学
 義務教育九年  

昭和21年7月10日、民間情報教育局(CIE)宗教部WKバンスが同局教育部ジョージ中尉に対し、教育勅語の『危険性』に言及した。
「教育勅語は日本人のラジカル(即ち民主的)な傾向を押さえ込む目的で書かれた儒教的な文章である」 「国家神道の聖書だ」 「軍国主義者たちや国粋主義者たちは、この勅語から(戦争遂行の)精神的弾薬を得ていたのだ」
などと私見を述べた上で、教育勅語の廃止を提言している。 「どんなに広く解釈しても、教育勅語は新しい憲法草案の精神から外れている。・・公立学校で読み上げられるべきではないし、ましてや、教科書に入れられるべきではない。大学では歴史的文書として組み入れられてもよいが・・。」

田中耕太郎文相(吉田茂内閣)の、教育勅語擁護発言
21年6月14日
「近来、国民道徳の頽廃は極度に達し・・教育勅語の内容まで疑惑を以て見られ、また外国人の元首に払っている尊敬すらも日本国民として天皇陛下に払わない者も少なくないのであります」
21年7月15日
「教育勅語は絶対に護らねばならない。教育勅語は実践されるべきで、そのためには日本の古典やキリスト教の『聖書』なども取り入れ、教育の新しい基礎を作るよう努力しなければならない」 田中文相が「聖書を取り入れても・・・」としたのは、教育勅語を守りたい一念であったろう。この田中発言の直後の18日、民間諜報局(CIS)は、GHQ参謀第二部に「教育勅語廃止」を勧告している。GHQの情報教育局(CIE)教育部アイリーン・ドノバン(婦人教育担当)は、8月6日、オア教育部長に「教育勅語廃止」を提言した『ドノバン・メモ』を送った。

『ドノバン・メモ』
「教育勅語をどう扱うべきかについて、日本民族の心の中に、そしてGHQにも混乱が生じている。これは直ちに解決されるべき重大問題だ。我々の勅語政策の発表が九ヶ月も遅れたことで、既に難しい事態(田中演説)が生じている。・・この勅語は、極度の西洋化に対する恐怖感から生まれたものである。・・百三十語の漢字からなる勅語は日本民族主義のマグナ・カルタ(大憲章)であり、軍国主義者や超国家主義者の行動の源になったものである」 「より直接的な危険は、“一旦緩急あれば義勇公に奉じ以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし”という言葉の中にある」 「日本人の道徳・倫理の目的は皇室の繁栄のためだけにある」 「これは新憲法の精神である一個人の権利という考え方と完全に食い違うものだ」

21年には日本国憲法草案が国会において審議されているが、その26条に「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。すべて国民は、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」とある。 これを受けて、教育基本法が登場することになる。憲法がそうであったように、教育基本法もまた、GHQの民間情報教育局(CIE)が日本政府を指導・監督して作らせたものである。

最後に教育勅語にとどめを刺したのが、GHQ民政局課長のチャールズ・L・ケーディスである。彼は、国会での「教育勅語廃止決議」実施をウイリアムス国会課長に指示し、ウイリアムスは、衆参両院議長に教育勅語の廃止決議を行なうように強硬に申し入れた。 田中耕太郎・参院文教委員長(教育基本法制定時の文相)が、「教育勅語廃止」に大いに活動した。田中耕太郎自身、国会の「教育勅語廃止決議」が、GHQ民生局の指示でやむを得ないものであったことを語っている。



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