『アフリカで誕生した人類が日本人になるまで』 溝口優司
最初に世界史を習った時には、人類の誕生は三五〇万年前になっていたような記憶があるんだ。それが今では、“七〇〇万年前”にまで遡ってるんだね。四〇年の間に、三五〇万年も過去に伸びた。どれだけの人がアフリカの大地に這いつくばって、どれだけの汗がアフリカの乾いた大地に吸い込まれてことだろう。おそらく、世界史の教科書なら、ほんの一行程度、記述が増えただけだろうけど・・・。
猫飼ってるんですけどね。明らかに野生が残ってるんだよね、うちの“ミイ”には・・・。娘が拾ってきた、黒い捨て猫でね。しょうがないから、家猫にして飼った。箱のなかで「ミイミイ」泣いていた時から十年、ほとんどお外に出たこともないのにね。
最初は驚いた。部屋の片隅に設けたトイレのまわりは、なぜかいつも猫砂だらけ。どうも、トイレのあと、なぜかそこからダッシュしているらしい。「なぜかな~」って思って調べたら、うんちなりおしっこなりで静止して、しかも匂いを出している状態はとても危険なので、終わった途端にダッシュで場所を変えるんだってね。その時猫砂が飛び散る。当然だけど、それをミイは野生だとは思っていない。・・・なら私にも・・・、私にも、私の知らない野生があるんだろうか。
以前はそんなふうに思ってたんだけど、この本を読むとわかるよ。私は野生そのものだ。
ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは同時代を生きていたんだよね。それは以前、すでになんかで読んだ。両者は共通の祖先を持っていて、八〇万年前ころまでに原人から進化したホモ・ハイデルベルゲンシスという旧人に分類される人類がそれのようだ。各地で環境に適応して進化して、ヨーロッパでネアンデルタール人、アフリカでホモ・サピエンスが誕生したという。
かなりの期間、同じ時代を生きていた。しかし、三万五〇〇〇年ほど前、ネアンデルタール人は死滅し、ホモ・サピエンスは生きのびた。両者が共存したこと自体が、ネアンデルタール人死滅の原因だ書いた本を読んだこともあるし、その証拠にホモ・サピエンスの生活圏からネアンデルタール人の骨が見つかったと、・・・「食ったんじゃねぇか」なんて話も読んだような気がする。
まあ、そう簡単にわかることじゃないからね。なにしろ三万五〇〇〇年前だし、どうしても自分の想像力の範囲内でしか考えられないしね。
両者の間に交配があった発表されたのは二〇一〇年だという。ほとんどの現代人のDNAの中にネアンデルタール人由来のものが一~四%含まれているという。ネアンデルタール人のDNAを持っていなかったのがアフリカ人だけであったことから、ホモ・サピエンスがアフリカを旅だった直後、中東あたりで交配し世界に散っていったと・・・。
これまで考えられていたところでは、ネアンデルタール人はホモ・サピエンスと出会い、そのことでホモ・サピエンスに置き換えられるようにして絶滅していったということだった。しかし、DNAの研究の成果として、面白い説が紹介されている。置き換えられて絶滅したのではなく、交配することで、しだいにホモ・サピエンスに吸収されて消えていったっていうんです。
なんか、嬉しくなりませんか。最終章で著者は、これを縄文人と弥生人の関係に適用している。私たちの生活や意識の中に、縄文が色濃く残されている理由が、これですんなり受け止められるように思うんだけど・・・。


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猫飼ってるんですけどね。明らかに野生が残ってるんだよね、うちの“ミイ”には・・・。娘が拾ってきた、黒い捨て猫でね。しょうがないから、家猫にして飼った。箱のなかで「ミイミイ」泣いていた時から十年、ほとんどお外に出たこともないのにね。
最初は驚いた。部屋の片隅に設けたトイレのまわりは、なぜかいつも猫砂だらけ。どうも、トイレのあと、なぜかそこからダッシュしているらしい。「なぜかな~」って思って調べたら、うんちなりおしっこなりで静止して、しかも匂いを出している状態はとても危険なので、終わった途端にダッシュで場所を変えるんだってね。その時猫砂が飛び散る。当然だけど、それをミイは野生だとは思っていない。・・・なら私にも・・・、私にも、私の知らない野生があるんだろうか。
以前はそんなふうに思ってたんだけど、この本を読むとわかるよ。私は野生そのものだ。
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猿人、原人、旧人、新人って順番に出現して、その新人の成れの果てが私たち現代人。ヒト科ヒト属ヒト種という孤独な存在だけど、人類誕生以来の枝分かれを見ると、かつてはけっこう賑やかだったんだな。結局、ヒト科ヒト属ヒト種だけになっちゃったってことは、この形態で生き残ることは、けっこう大変だったってことなんだろうね。 ちなみに、右の図では小さすぎて見えないでしょうから、クリックして、大きくして見て下さいね。 | ![]() |
かなりの期間、同じ時代を生きていた。しかし、三万五〇〇〇年ほど前、ネアンデルタール人は死滅し、ホモ・サピエンスは生きのびた。両者が共存したこと自体が、ネアンデルタール人死滅の原因だ書いた本を読んだこともあるし、その証拠にホモ・サピエンスの生活圏からネアンデルタール人の骨が見つかったと、・・・「食ったんじゃねぇか」なんて話も読んだような気がする。
まあ、そう簡単にわかることじゃないからね。なにしろ三万五〇〇〇年前だし、どうしても自分の想像力の範囲内でしか考えられないしね。
両者の間に交配があった発表されたのは二〇一〇年だという。ほとんどの現代人のDNAの中にネアンデルタール人由来のものが一~四%含まれているという。ネアンデルタール人のDNAを持っていなかったのがアフリカ人だけであったことから、ホモ・サピエンスがアフリカを旅だった直後、中東あたりで交配し世界に散っていったと・・・。
これまで考えられていたところでは、ネアンデルタール人はホモ・サピエンスと出会い、そのことでホモ・サピエンスに置き換えられるようにして絶滅していったということだった。しかし、DNAの研究の成果として、面白い説が紹介されている。置き換えられて絶滅したのではなく、交配することで、しだいにホモ・サピエンスに吸収されて消えていったっていうんです。
なんか、嬉しくなりませんか。最終章で著者は、これを縄文人と弥生人の関係に適用している。私たちの生活や意識の中に、縄文が色濃く残されている理由が、これですんなり受け止められるように思うんだけど・・・。


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