めんどくせぇことばかり 『ムハンマド 世界を変えた予言者の生涯』 カレン・アームストロング

『ムハンマド 世界を変えた予言者の生涯』 カレン・アームストロング

所詮は人間のやったこと。宗教と時代と社会とを踏まえて考えれば教科書のような通り一辺でない、人の営みとしての歴史が、・・・見えてくればいいんだけどな~。そこまで知識ないし、勘も最近当てにならないしな~。なさけね~な~。

何を嘆いているかって?・・・イスラム教の誕生、ムハンマドの登場前のアラブがいったいどんな世界だったのか。そのことの重要性に、・・・無頓着だったわけじゃないんだけど、もうちょっと重くとらえるべきだった。

六世紀、ビザンツ帝国とササン朝ペルシャの断続的な衝突で、シルクロードはアラビア半島へ迂回した。アラビア半島の要地が経済繁栄の時期を迎えた。

そういや、ガウタマ・シッダールタが人々に悟りへの道を説き始めたのも、イエスが神との関係に新たな解釈を提唱したのも、その前に地域の経済的な繁栄があった。
ペルシャ

『ムハンマド 世界を変えた予言者の生涯』    カレン・アームストロング
国書刊行会  ¥ 2,916

平和と思いやりの実践を説いた男が、今、分裂と衝突のシンボルとなりつつある

まずは、伝統的なアラブの文化があった。その正統を自負するのがべトウィンで、現世主義の彼らは神々よりも部族に至高の価値を置いた。個人の欲求や必要よりも部族の安寧が優先され、そのためにはその生命を放棄することが必要となる場合もあった。
以上のような環境で人間形成が行われた結果、勇気、忍耐、耐久力を示すムルーワ、物質的価値に重きをおかず他者のためにすべてを投げ出す男を示すカリームといった言葉を送られた男が尊敬された。それが六世紀前半までのアラブ世界だったわけだ。
シルクロードがアラビア半島に迂回したことで、そんなアラブの伝統にほころびが見られるようになった。いち早く、その変化に適応したのがクライシュ族である。彼らは伝統的遊牧生活(パダーワ)を捨て、遠隔地貿易で賑わうメッカを拠点として定住生活(ハダーラ)を確立した。メッカを拠点とした彼らは、国際商業の波に洗われていたアラビアの商業活動を支配下に置いた。

商業の妨げになる諍いをメッカに持ち込ませないため、メッカはどの部族の商人も安心して商売に専念できる場所でなければならなかった。クライシュ族はベトウィン諸族と協定を結び、彼らの収入を保障したうえで隊商の安全を確保した。
また、カアバ神殿を整えて諸部族のトーテムを集め、どの部族にとっても神聖は信仰の場に仕立てあげた。アラブ諸部族にとってメッカは、信仰の中心地となった。こうしてクライシュ族の交易上の利益は約束された。
六世紀が終わりが近づく頃には、すでにメッカは精神的、倫理的危機に見舞われていたようだ。大手を振るい始めた市場による無慈悲な競争で、古くからの共同体精神は打ち砕かれてしまった。家々は富と権威を競い、人々はかつてのように他者のために自分を投げ出そうとはしなかった。
貧しい者の窮状が放置されるばかりか、孤児や寡婦の権利を悪用して、その財産の着服を図った。成功の波に乗り遅れたものは混乱して世間を呪い、もはや部族の安寧を第一とするかつての姿は見る影もなかった。そんなクライシュ族からムハンマドが出る。
当時のアラブでは、ユダヤ教徒もキリスト教徒も、通常は部族的属性として扱われていた。彼らの信仰は、アラビア半島の宗教的景観の一つと認識され、アラブの精神性と相性も良かったようだ。アラブたちは、ユダヤ、キリスト両宗教の伝統を自らの要求に合わせて自由に適応させていたという。相性は良くないかもしれないけど、《自分の都合で自由に適応させる》っていう部分は日本人みたいだな。いずれにせよ、イスラム教誕生以前から“メッカ巡礼”は行われていたわけだ。

アブラハムの長子はヤコブではない。サラに子ができないため、アブラハムは先に妾のハガルにイシュマイルを生ませている。二人はヤコブが生まれたことで追い出されるが、このイシュマイルがアラブの祖となるわけだから、アラブはアブラハムから出たわけだ。元来多神教的な宗教観を持つクライシュ族は改宗という観念すら持ち合わせていなかったそうだが、こう考えれば唯一神は、手を伸ばせば届く、すぐ近くにいたわけだ。




にほんブログ村 政治ブログへ 一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
関連記事

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

ありがとうございました



「《めんどくせぇことばかり》は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」
よくお越し下さいました

イーグルス16

Author:イーグルス16

息も絶え絶えです、ぜひ応援してください
人気ブログランキングへ にほんブログ村 政治ブログへ

「歴史修正主義」とは、戦前の日独をことさら評価する史観ではない。
米英両国の外交に過ちはなかったのか。
あったとすればそれは何だったのか。
それを真摯に探ろうとする歴史観だ。
英米独露の外交と内政を徹底検証し、二つの世界大戦が、実は「必要」も「理由」もない戦争だったことを明かす。
これから出る本




































当ブログ内人気図書 
















































カウンター
カテゴリ
ブロとも一覧
アジシオ次郎の時事原論
はりこのはやしや 
ハシビロコウ
素足のアイドル達
うさぎ屋の四方山話
わくわく株式投資
プロモデラー林哲平のジャンクロボット創作ブログ『ケルバーダイン』
大好き!グラビアアイドル!
伊織のブログ
Re:BAD TASTE♥
QWERT 5w1h
「伝わる技術」オトデザイナーズ・坂本真一
歌と知恵でハッピーライフ^^
こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































検索フォーム
リンク
RSSリンクの表示
最新記事
応援して下さい