めんどくせぇことばかり 『朝鮮雑記 日本人が見た1894年の李氏朝鮮』 本間九介

『朝鮮雑記 日本人が見た1894年の李氏朝鮮』 本間九介

『朝鮮雑記』という本は、一八九四年四月から六月にかけて、「二六新報」という新聞に掲載された記事が、連載終了直後に、そのままのかたちで書籍として出版されたものだそうです。

“解説”によれば、本間九介は一八九〇年、二一歳で朝鮮半島へ渡っている。いわゆる「東亜経綸の志」、日本の指導と援助で朝鮮を近代化に導き、東アジアから世界に新風を注ぎこもうとする大義に突き動かされてのことの模様。

すでに一八八四年、金玉均ら、若手改革派のクーデターは失敗に終わり、保守派のもとで農民たちは鬱憤を蓄積していた。本間九介は、そんななかで、この『朝鮮雑記』を書いている。四月から六月、まさに七月には日清戦争がはじまる。その直前である。また、イザベラ・バードの『朝鮮紀行』の四年前の刊行でもある。

それにしても本間九介である。一八六九年に二本松藩に生まれた。一八六九年の生まれとは、明治二年。幕藩体制は崩壊したものの藩は存在した。廃藩置県により中央集権制が確立されていく過程が、彼の人格形成の時期に当たる。無関心が容認されない時代ではないが、そうでない者であれば、いちいち明治そのものを呼吸したはず。すると、どうだ。気概のあるものが明治を呼吸すると、二一歳にしてこんなことを言う。

《朝鮮は東洋のバルカン半島である》

二〇一六年の今日、バルカン半島の何たるかを云々できる二一歳が、いったいどれだけいるか。

祥伝社  ¥ 1,944
なぜ日本は清と戦い、朝鮮を併合することになったのか  歴史を考えるヒントがここにある

この本の、始まりの方、《大中小華》という項目が、まず目に止まった。朝鮮の知識階級っていうのは両班たちのことだろうね。その両班たちは、支那のことを“中華”と読んで、みずからを“小華”と称するなんてことが書かれている。十六世紀来の、年少者の必読書には「中華の人は朝鮮を小中華と呼ぶ」と書かれているということを紹介し、《彼らの事大の風習には、長い歴史が・・・》と慨嘆するあたり、それだけで、二〇一六年の進歩的知識人を軽く凌駕する。

この本を読めば、問題としなければならないのは二〇一六年の方であることは明らかである。・・・「歴史が変えられている」って言うことだな。もちろん、日本が戦争に負けたことによってね。日本の敗戦によって、朝鮮は、《非道な日本の支配から解放された》という地位を、戦勝国であるアメリカから与えられた。それはアメリカの都合によるものであるが、戦後の歴史はそれをもとにして再構築されちゃったからね。

だから、その時代に書かれたこういう本は、日本の敗戦で利益を得た者らにとっては都合の悪い事実となる。イザベラ・バードの『朝鮮紀行』とは、互いに補強しあう形の本になるけど、やはり日本人が書いているだけに、印象としては『朝鮮雑記』の方が強烈だったな。

これも始まりの方の項目なんだけど、《官人は、みな盗賊》には、こうある。
ある外国人が、韓人に向かって言うには、「あなたの国の官人は、思うままに一般人民の財貨を奪い去っているようですが、これを見ると、官人はむしろ公盗と称すべきではないでしょうか。しかも、公の人間が国民を苦しめているのですから、私盗よりずっと悪質というしかありません」
本書p28

これは日本人じゃなくて、外国人の認識として書かれているわけです。つまり、世界の対朝鮮観は、こうだったわけです。日本人ではなく、まずは世界がそう思っていたわけですね。

日本の敗戦で、世界は“歴史の再構築”に口裏を合わせたわけだけど、彼らもそう感じたっていう事実は、こういうふうに明らかにすることもできるわけだよね。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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