『ダンテの遺言』 谷川悠里
すみません。この間、息子の働く町を見に行く旅に出たことで、生活のリズムを崩してしまいました。本日も、過去記事となりますが、この本は本当におすすめです。機会があれば、ぜひ読んでみてね。
最後に発行された『禁書目録』は、一九四八年の教皇ピウス十二世版。六千冊が登録されていると本書にある。Wikipedia見たら四千冊とあって、デジデリウス・エラスムス、エドワード・ギボン、ジョルダーノ・ブルーノ、ヴォルテール、ダニエル・デフォー、ニコラウス・コペルニクス、バルザック、ジャン・ポール・サルトル、ルネ・デカルト、イマヌエル・カント、ジョージ・バークリー、ラムネーなどの名が並ぶ。
『禁書目録』に関する教会法の法的効力の失効が宣言されたのが一九六六年のことというのも、どうやら本当のことのようだ。だけど、読んだからって破門されるわけじゃなくなったってことで、禁書の条項事態は一九八三年新教会法典にも明記されているという。

ボローニャ大学に留学し、オーギュスト・ロダンに関する卒業論文を完成させようとする節子。節子の指導教授アンジェロ・オルタの家は、グーテンベルク依頼ほどなく印刷業に従事し、ヨーロッパの知識と向かい合ってきた。もう一人はオルタ教授の秘書代わりの「カシワ・タカシ」という日本人的な名前を持つおかしなイタリア人。
この三人が、ひょんなことからトリオになって、ヨーロッパの歴史の裏面、裏面とはいいなから、禁じられながらも脈々と地下水流のように受け継がれた良心的な真実を解き明かしていく。
その始まりは、オルタ教授がオルタ家に受け継がれた秘密の書庫で発見したダンテの『神曲』の原本と、コペルニクスの指導教授がつけていた『指導日誌』。
さてと、知らない人物が出てきた。チェッコ・ダスコリ。多くの情報はない。ブリタニカによれば、『生1280/1290. アスコリ 没1327. フィレンツェ イタリアの詩人,天文学者。本名 Francesco degli Stabili。ボローニャ大学で天文学を講じたが,異端思想のため,1324年にフィレンツェに逃れた。しかしここでも迫害を受け,異端思想を広めたかどで火刑に処せられた。』とある。地球球体説を唱えた人物らしい。それにしたってトスカネリよりも百年も前の人物。
ダンテの『神曲』原本には、このチェッコ・ダスコリら、その主張を封じられた者たちに関する記述があるというところから、真実に迫ろうとする物語がはじまる。
キリスト教会は二千年にわたりヨーロッパの歴史のヨーロッパ精神世界を引きずり回してきたわけだから、闇も深い。圧倒的弱者という最強の立場を巧妙に使って、あらゆる強者を引きずり下ろしてきた。真実も、誠実も、謙虚も、ポケットに大事にしまっておきたいとても大切な物をブルドーザーで踏みつぶすようにして・・・。
著者の谷川悠里さん、ウワッ、一九八一年生まれの新進気鋭だ。どんどん書いてほしいな。楽しみに次回作を待ちます。
二〇一六年の今日、残念ながら、まだ次の一冊は出てないみたい。とりあえず、これはおすすめ。
しつこい?・・・しつこい。・・・こりゃまた失礼致しましたっと・・・

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
最後に発行された『禁書目録』は、一九四八年の教皇ピウス十二世版。六千冊が登録されていると本書にある。Wikipedia見たら四千冊とあって、デジデリウス・エラスムス、エドワード・ギボン、ジョルダーノ・ブルーノ、ヴォルテール、ダニエル・デフォー、ニコラウス・コペルニクス、バルザック、ジャン・ポール・サルトル、ルネ・デカルト、イマヌエル・カント、ジョージ・バークリー、ラムネーなどの名が並ぶ。
『禁書目録』に関する教会法の法的効力の失効が宣言されたのが一九六六年のことというのも、どうやら本当のことのようだ。だけど、読んだからって破門されるわけじゃなくなったってことで、禁書の条項事態は一九八三年新教会法典にも明記されているという。
『ダンテの遺言』 谷川悠里 朝日新聞出版 ¥ 1,944 ー教皇庁に断罪された禁書は、全世界、全ての言語で出版を禁ずるー |
ボローニャ大学に留学し、オーギュスト・ロダンに関する卒業論文を完成させようとする節子。節子の指導教授アンジェロ・オルタの家は、グーテンベルク依頼ほどなく印刷業に従事し、ヨーロッパの知識と向かい合ってきた。もう一人はオルタ教授の秘書代わりの「カシワ・タカシ」という日本人的な名前を持つおかしなイタリア人。
この三人が、ひょんなことからトリオになって、ヨーロッパの歴史の裏面、裏面とはいいなから、禁じられながらも脈々と地下水流のように受け継がれた良心的な真実を解き明かしていく。
その始まりは、オルタ教授がオルタ家に受け継がれた秘密の書庫で発見したダンテの『神曲』の原本と、コペルニクスの指導教授がつけていた『指導日誌』。
さてと、知らない人物が出てきた。チェッコ・ダスコリ。多くの情報はない。ブリタニカによれば、『生1280/1290. アスコリ 没1327. フィレンツェ イタリアの詩人,天文学者。本名 Francesco degli Stabili。ボローニャ大学で天文学を講じたが,異端思想のため,1324年にフィレンツェに逃れた。しかしここでも迫害を受け,異端思想を広めたかどで火刑に処せられた。』とある。地球球体説を唱えた人物らしい。それにしたってトスカネリよりも百年も前の人物。
ダンテの『神曲』原本には、このチェッコ・ダスコリら、その主張を封じられた者たちに関する記述があるというところから、真実に迫ろうとする物語がはじまる。
キリスト教会は二千年にわたりヨーロッパの歴史のヨーロッパ精神世界を引きずり回してきたわけだから、闇も深い。圧倒的弱者という最強の立場を巧妙に使って、あらゆる強者を引きずり下ろしてきた。真実も、誠実も、謙虚も、ポケットに大事にしまっておきたいとても大切な物をブルドーザーで踏みつぶすようにして・・・。
著者の谷川悠里さん、ウワッ、一九八一年生まれの新進気鋭だ。どんどん書いてほしいな。楽しみに次回作を待ちます。
二〇一六年の今日、残念ながら、まだ次の一冊は出てないみたい。とりあえず、これはおすすめ。
しつこい?・・・しつこい。・・・こりゃまた失礼致しましたっと・・・


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