めんどくせぇことばかり 『人間の分際』 曽野綾子

『人間の分際』 曽野綾子

最近疲れる。“最近”って、いつごろからかな。ピタッとここからってことでもない。第一、そんなこと人それぞれで、疲れなんか感じてなさそうな人はいくらでもいる。こんな世間だからこそいきいき生きている人もいるだろう。でも、私は疲れている。もはやそれを隠そうとも思わなくなっているし、そう思ったとしても隠し切れない。

歌詞にある通り、♫ 心になかに傘をさして裸足で歩いてる自分が見える ♫ んだ。簡単に言っちゃえば、自分に嘘つきながら生きてる。・・・誰でもそうなんだよ。そんなことは分かってる。みんななんとか、嘘をついて生きている自分を抱擁して、折り合いをつけている。その“折り合い”をつけることが難しくなってきている。自分が嘘に飲み込まれそうになってる。結構危ない状況だと、自覚している。

ほらほら、《自分に正直に生きる》ことが美徳であるかのように言われるけど、そんなありえないことがごく普通に大手を振って闊歩している。みんながみんな、《自分に正直に生き》てる世の中に、あなたは生きて行きたい? 町のあちこちで、あんなことがこんなことが、ごく日常的に行われて恥じない社会。まず、冗談じゃないよね。

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「やればできる」というのは、とんでもない思いあがり
第一章  人間には分際がある
第二章  人生の本当の意味は苦しみの中にある
第三章  人間関係の基本はぎくしゃくしたものである
第四章  大事なのは「見捨てない」ということ
第五章  幸せは凡庸の中にある
第六章  一度しかない人生をおもしろく生きる
第七章  老年ほど勇気を必要とするときはない

「裏表のある人間になるな」なんてことを言われると困ってしまう。どっちが表でどっちが裏か、ってところから入るとめんどくさいから飛ばすけど、人間には裏表がある。それが人間なんだ。なのに今の世の中は、「裏表のある人間になるな」なんて上っ面なことを言ってはばからない。だから、・・・疲れる。

曽野さんは、そうは言わない。逆に、「裏表のある人間になってほしい」って、こう言うんだ。
裏表を意識し、その実態を知るとき、子供たちは改めて人間の哀しさと優しさを知るであろう。その長い迷いののちに、明確な裏表の、何を意味するかを知りつつ、それに従うとき、彼は初めて精神を持った「人間」になるのである。

各章の題名もそうだが、その中の小題を眺めてみれば、一見、人をびっくりさせるような言葉が並ぶ。
《「やればできる」というのはとんでもない思いあがり》
《うまくいかないときは「別の道を行く運命だ」と考える》
《不公平に馴れないと器が小さくなる》
《人は誤解される苦しみに耐えて一人前になる》
《他人とを傷つけずに生きることはできない》
《人間には他人の不幸を喜ぶ心がある》
《諦めることも幸せの必要条件》
《流されることも一つの美学》
《老年ほど勇気を必要とするときはない》

どうも、とかく逆説的に感じてしまうんだけど、それ自体が、私がすでにかなり追いつめられている証拠でもある。ここに書かれていることは、むしろ当たり前のことなのだ。考えてみれば、いずれも私が若い時分に、
祖父母や父母から言われたことではなかったか。かつて私が、「年寄りくせぇ」の一言で排斥したものではなかったか。

まったく、自分の馬鹿を恨めしく思うばかりだ。でも、私は「馬鹿」で片付けられても、この世間まで「馬鹿」で片づけるわけにもいかない。やはり、断絶が大きいように思える。明治・大正との断絶、戦前昭和との断絶。語られなかったゆえの断絶。受取れなかったゆえの断絶。

・・・これらの“知恵”を排斥していけば、人間は上っ面だけで生きていくしかなくなる。「頑張れば夢はかなう」、「あきらめるな」、「死ぬ気で食らいつけ」、「愛は地球を救う」、「愛がすべて」・・・。どう、ちゃんと虫唾が走りましたか。

だから、子供や孫に言ってやるんだ。・・・「諦めろ❢違う道を進め」って。《くそ爺い》って罵られるのが、・・・楽しみだ。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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