めんどくせぇことばかり スーチー女史、国家顧問に(覚書)『スーチー女史は善人か』 高山正之

スーチー女史、国家顧問に(覚書)『スーチー女史は善人か』 高山正之

CNN.co.jp 2016/4/7
スーチー氏が新設の国家顧問に就任、軍反発 ミャンマー
http://www.cnn.co.jp/world/35080830.html?ref=rss
(抜粋)
ミャンマーの与党・国民民主連盟(NLD)のアウンサンスーチー党首が7日までに、省庁や政府機関、個人などに助言を与える権限を持つ新設の国家顧問に就任した。スーチー氏は軍事政権下で定められた現憲法の規定で大統領就任を阻止されており、国家顧問はNLD政権を仕切る公式の肩書とも受け止められている。国家顧問の地位はNLDが多数派を握る国会で創設された。
NLDの勝利はミャンマー国民の選択だから、私なんぞがなんのかんのと口出しする話じゃない。残念なのは《軍事独裁体制対民主派》という極めて分かりやすすぎる対立構造の前に、アウンサン以来の建国、独立の意義を引き継いできた勢力こそが国軍であったと言い切れるだけの力を、軍政自体が胸を張って言い切れない状況になってしまったということだろう。

まったくイギリスは恐ろしい。“軍政”というイメージを拡大して独裁に結びつけ、ミャンマー独立を主導したミャンマー国軍が政治を主導する体制を追い詰めた。しかも、その手駒として使われたのが、ミャンマーを独立に導いた英雄アウンサンの娘と言うんだからな。

権力移譲が報じられ、アウンサンスーチーがニュースに登場するたびに《ニュース紹介》に取り上げている。いい機会なので、アウンサンスーチーがどんな人物か。以前、当ブログで紹介したことがあるので、とりあえず、そちらをお読みいただければと思います。

産経ニュース 2013/2/1
歴史問題で日本を批判 韓国でスー・チー氏
 聯合ニュースによると、韓国訪問中のミャンマーの最大野党国民民主連盟(NLD)党首、アウン・サン・スー・チー氏は1日、太平洋戦争をめぐる日本の歴史問題に絡み「過ちは誰でもあるが、過ちを認めることをためらうことこそが本当の過ちだ」と述べ、日本の姿勢を批判した。
 ソウルで面会した宋永吉・仁川市長が「ドイツと違い日本は従軍慰安婦問題などを認めない。関心を持ってほしい」と述べたのに応じた。
 スー・チー氏はまた、ミャンマー独立の英雄、父アウン・サン将軍が生前「日本人の個人を憎んではいけない。誰でも長所と短所があるから短所を理由に憎むのはだめだ」と話していたとも述べた。アウン・サン将軍は第2次大戦中に旧日本軍の軍事訓練を受けたが、後に独立のため日本軍と戦った。(共同)

長らく軍事政権から警戒され、自宅軟禁状態に置かれたアウンサン・スーチー氏が日本の戦争責任に言及した。それが、かの英雄、アウンサンの娘の発言であると考えれば、正直私はショックを受けた。同時に、軍事政権が長らく彼女を警戒してきたことの意味が理解できた。

以前、『ビルマ独立への道』という本を読み、その読後感をこのブロクに書いた。久しぶりに読み返してみたが、その最後の部分に私はこう書いている。

『19世紀初期、すでにイギリスは議会制民主主義の完成期にある。本書の著者は“民主主義”を礼賛するが、“民主主義”は最高善ではない。その民主主義を背景にしてミャンマーの植民地化は進行した。軍政からの民主化が進行されつつある今、アウンサンスーチーには、ミャンマーの体質に影響をおよぼすほどの危険性を感じてしまうのだが・・・。』

どうやら、彼女への危惧はその程度で済みそうもない。彼女は歴史も知らないし、父の死の理由も知らない。知っていてのこの言動であれば、かなりたちが悪い。
新潮文庫  ¥ 464

民主派の後押しを装って、かつての宗主国イギリスは、ミャンマーに復讐を企てる
ミャンマー人がスーチー女史を選択したというのは、私なんかが口出ししてもしかたのないことだけど、良い選択だったとは思わない。ミャンマー国軍が軍政を引き継ぐことのできる国民性力を育ててこなかったことが惜しまれるが、イギリスを中心とする“民主国家”からの制裁を受ける中だったしね。

なんのかんの言っても仕方がない。イギリスの悪意がミャンマーを飲み込む前に、ミャンマーに第三勢力が育つことを期待しよう。

ちなみにミャンマーに関しては、ブログの中でもう一つ本を紹介している。まあ、あんまり好意的な紹介じゃないんだけどね。その時の記事を紹介して終わりにします。・・・お付き合いありがとうございました。
彩流社  ¥1,944

アウンサンスーチーを産んだビルマ その歴史に隠された日本との深い関係を知る

副題は「バモオ博士とアウンサン将軍 (15歳からの「伝記で知るアジアの近現代史」シリーズ)」

彩流社の始めた企画のようだ。読んでみればわかるが、残念ながら質の悪い企画になることは、残念ながら間違いない。

エピローグに“歴史を知ることの大切さ”という項目がある。
最後は、歴史を知ることの大切さです。いま起きていること、いま問題になっていることだけを見つめても、なかなか本質的なことは見えて来ません。問題を解決する方法も思い浮かびません。それがどのような経緯で起きたのか、なぜ問題となっているのか、歴史的な視野を持って見る必要があります。これはなにに対してもいえることです。

ビルマの民主化問題や人権問題、経済不振の問題は、短く見積もっても独立以降の歴史の中で登場した問題だといえます。独立前の日本占領期や英領植民地の時代におおもとの要因を見つけることも可能でしょう。

まさしくその通り。特に英領植民地時代には、ビルマ社会は改変され、イスラム系インド人を導入して金融を、華僑を導入して商売を受け持たせた。山岳民族には警察や軍の仕事をさせて、最下層におかれたのがビルマ人である。そこから派生した問題は数しれない。

この本は、そのことにはなにも触れない。

プロローグには“「太平洋戦争」ではなく「アジア・太平洋戦争」”という項目があり、アメリカから強要された「太平洋戦争」に対して、戦時中日本が使っていた「大東亜戦争」という呼称にはまったく触れないまま、『なによりも大切なことは、日本はアメリカに対してだけではなく、東南アジア(そして中国)の人々の祖国愛と日本軍に対する反感にも負けたのだという側面を、よく知っておく必要があるということです』と、日本のアジア侵略を前提としたアジアへの敗北を印象づける。さぞ、米英仏蘭あたりが喜ぶことだろう。


なにも大東亜の解放の旗手として“大東亜戦争”における日本を位置づけようとしているわけではない。あくまでも、日本は日本の都合でミャンマーにも軍を進めた。アウンサンら、独立を目指す勢力と利害が一致したから共同歩調をとった。力の差と立場から言って日本が主、現地独立勢力いが従となるのはやむを得ないところだ。日本の決定的な過ちは、負けたことだ。追い詰められていく状況の中で無理をして、日本は幾つもの過ちを重ねた。敗勢が濃厚になった時に、アウンサンが抗日にまわったのは当然のことだ。どれだけ情を交わしていようと、敗れ行く日本と運命を共にする理由は、彼らには何一つない。

本書は戦後すぐに書かれたアウンサンの自伝を取り上げ、こう記しています。
自分たちが日本軍のビルマ侵攻に協力したのは、けっしてファシズムに親しみを覚えたからではなく、愚かな判断ミスだったとし、そこには自分たちの小市民的な臆病さが影響していたとも書いています。・・・

これは興味深い弁解です。この回想録が出版された1946年後半という時期は、・・・英国を相手にした独立交渉が急速に前に向かって動き始める時でした。そのようなとき、日本軍侵入前の段階で日本と組む判断を下したことに関して、それが過ちだったとして、自分たちの責任を認めたのです。・・・若かった自分たちの判断ミスとして語り、国民及び英国に対して「反省」の姿勢を示すことによって、自分たちに有利な立場を確立しようと考えたのではないかと解釈できます。

アウンサンが英国代表に対して「ファシズム日本」と言い、「日本と組んだのは愚かな判断ミス」と言おうが何ら問題はないが、それはいつの間にか著者の戦争までの日本観の根拠となってしまっているようだ。

どうやら著者は、ミャンマー(当時はもちろんビルマ)の独立を認めたイギリスにさえ、その背景にある“民主主義”ゆえに称賛を送りたいくらいの気持ちを持っているのではないか。とんでもない勘違いである。イギリスはすでにインド撤退も視野に入れた状態で、ミャンマーの維持が難しいことは誰がみても当たり前である。しかも、著者はアウンサンの“非暴力と誠実さ”をあげるが、イギリスにとってアウンサンは依然としてビルマ軍の動向に最も大きな影響力を持つ実力者だ。もちろんアウンサン自身、イギリスが、“非暴力と誠実さ”でそれまでの植民地支配を解くような連中ではないことは充分分かっていたはずだ。著者の甘さは鳩山由紀夫を思い出させる。あの“友愛君”を・・・。

アウンサンの死も、もう一度見つめ直す必要がある。証拠主義の歴史解釈は、状況証拠を無視するがゆえに歴史の大きな流れを見失うことがある。本書ではウー・ソウは「暗殺者」に指定されているが、それで終わっていいのだろうか。状況証拠から考えれば、イギリスは疑われて当然の立場にある。研究の余地は残されている。

19世紀初期、すでにイギリスは議会制民主主義の完成期にある。本書の著者は“民主主義”を礼賛するが、“民主主義”は最高善ではない。その民主主義を背景にしてミャンマーの植民地化は進行した。軍政からの民主化が進行されつつある今、アウンサンスーチーには、ミャンマーの体質に影響をおよぼすほどの危険性を感じてしまうのだが・・・。




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中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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