変わるドイツ(覚書)『膨張するドイツの衝撃』 西尾幹二 川口マーン恵美
NHK NEWS WEB 2016/04/16 英 EU離脱の賛否問う国民投票へ運動始まる http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160416/k10010483011000.html (抜粋) イギリスでことし6月に行われるEU=ヨーロッパ連合からの離脱の賛否を問う国民投票に向けた運動が15日、正式に始まり、イギリスの世論が二分されるなか、残留派、離脱派の双方が集会を開いて支持を訴えました。 |
ちょっと前にスコットランドからイギリスから独立するかどうかって話があって、イギリスあたりの国でさえこういう話があるのかって、国家ってものを平穏に運営することの大変なことを感じさせられた。スコットランドの人々は、その過半数は、“イギリス人”であることを選択したわけだ。独自の民族性とは言っても、すでにそうしてきた長い歴史もあるしね。
今度はどうだ。イギリス人はEU人として生きてきたわけじゃないし、第二次世界大戦後、ヨーロッパが相対的に力を落としていく中で、便宜的に政治的、経済的に一部の権限をEUに譲り渡してきたに過ぎない。・・・その頃とは、すでに事情が変わってきた。いったい、いま、イギリスが離脱賛否で燃えているEUとは、・・・いったいどんな存在なのか。
『膨張するドイツの衝撃』 西尾幹二 川口マーン恵美 ビジネス社 ¥ 1,512えっ?日本は「ドイツ帝国」と中国で対決するって・・・ 戦後を克服したドイツ 戦後に呪縛される日本 |
『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』の著者、エマニュエル・トッドは、EUのことを“ドイツ圏”と呼んでいる。彼にしてみれば、フランスとフランス経済は、六五〇〇万人の労働力をドイツ圏に提供する有力な一地域であることを受け入れた、というわけだ。 東欧諸国がEUに加盟したということも、同じ水平線上の問題であり、その向こうにウクライナ問題がある。 |
ギリシャの財政破綻が問題になったとき、状況から考えれば、これまでのギリシャの無反省な政策運営から言い訳の余地はなく、即座に厳しい措置が講じられることが予測された。結果はギリシャにとって簡単なことではないが、その過程で、徐々にギリシャに同情する意見が強くなり、時間的にはかなりの考慮の時間が与えられた。人々のレバルで言えば、かなりの反ドイツ意識は存在するのだ。ドイツも、一概にそれを無視することはできないということか。
ドイツは敗戦国。取り返しのつかない侵略国家。そういった事実は、ドイツ人自身が誰よりも自覚している。ドイツは同じ侵略国仲間としての日本の袖を離そうとしないけど、降りかかった火の粉を払ったに過ぎない日本にとっては迷惑な話。同じなのは敗戦国という部分だけ。にも関わらず、本当の歴史を取り戻そうと動くと、世界は日本を修正主義と攻撃する。その先頭にいつもドイツがいた。
そのドイツが変わりつつあるという。極めて困難な戦後に踏み出し、フランスを代表とする周辺ヨーロッパ諸国の要求にクッしてきたドイツ。本来のドイツ領を奪われても、敗戦間際の暴虐非道にも口を閉ざしてきたドイツが、戦後の経済成長を足がかりに、EU統合でそれに拍車をかけ、その力はもはや、ヨーロッパを率いていくものとなり、先方から進んで傘下に加わってきた。
だからこそ、イギリスの離脱問題は大きい。川口さんは、イギリスは、離脱を匂わせてドイツにEU改革を要求するしているのであって、本気で離脱するつもりなわけでわないという。EUによる経済的利益と軍事的連帯は最大限に享受しながら、同時に国を縛るEU法から開放され、主権を取り戻したい。英独の両者に、その思いは共通するものの、ドイツの得ている利益のほうが圧倒的に大きい。
そういうところなんだろうな。だったら、まだまだ、イギリスが本気で離脱する目も残されていそうな気もするな。そうなったとき、とりあえず、これまでのようなEU統合は終わるんだろうね。


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