めんどくせぇことばかり 自分探し(覚書)『老人の壁』 養老孟司 南伸坊

自分探し(覚書)『老人の壁』 養老孟司 南伸坊

まったく私の周辺でもいるんだ。生きるってことが何かなんて考えも及ばないくらい年端もいかない連中を相手に、“あきらめなければ夢は叶う”とかって吹き込む、これまた年端もいかないわけのわからない奴。かと思えば、“自分探し”をしようとしている奴。輪をかけて困った奴がいて、“本当の自分”を探そうとしている奴。ドッペルゲンガーか? いずれにせよ、ほとんどオカルトだ。

自分っていうのは《探すものではなく、作るもの》。養老さんの言うとおりで、まずは自分を、人類の中でも特別な存在とでも勘違いさせられたところから不幸が始まっている。自分だけに特別な“個性”があるなんて思ってる輩のこと。てんとう虫やアブラムシなら、「自分は他のてんとう虫とは違う」とか、「アブラムシと違う」とかって思わないだろうけどね。

しかも、しかもだ。彼は、・・・彼女かも知れないが、特別な存在だって言うんならなにが特別なんだか言ってくれりゃあいいものの、おめでたいことに、その特別な“自分”は影分身でもしたかのように離脱してしまって、離脱した分新は、どうやらどこかに遁走してしまったらしい。

これは極めて危険なことで、その“特別”ていうのが足が少し短いとか、楽しくなると涙がでるっていうくらいならまだいいんだけどね。悲しいことがあると犯したくなるとか、嬉しいことがあると殺したくなるということなら、予防拘禁の必要がある。そんな者がどこかに落ちてでもいようものなら、落とし主には十分に責任をとってもらいたいところだ。

『老人の壁』    養老孟司 南伸坊
毎日新聞出版  ¥ 1,296

しょうがねぇな。とにかくゴキゲンな年寄りになるしかねぇか

生まれつき自分に備わっていた独自の“個性”で、一生変わらないもの。それが大事だっていうんなら封建時代に行けばいいと・・・。侍の子は侍。百姓の子は百姓って、一生変わらない“個性”が、封建時代にはあったって、養老さんは茶化すけど、本当に冗談じゃないんだよね。

《生まれつき持っている他の人と違う自分の個性が一番大事だと、親も子供も思うようになった時代》って言い方を、養老さんはしている。“違う”なんてことは当たり前のこと。おんなじ奴がどこにいる。それこそドッペルゲンガーか。にもかかわらず、“違う”事がこうまで強調されるのは、いわゆる戦後民主化教育の特徴。戦前戦中、一時の、行き過ぎた画一主義への過剰反応に、アメリカ式の勝手気まま主義が拍車をかけた。

でも、本来なら、戦後民主化教育の行きすぎが指摘されると同時に、個性偏重も見直されるべきだったはず。しかし、その勢いは収まらない。自分の嗜好をありもしない個性と勘違いするなら、それはいかにも容易い。あとはごてごてデコレーションしていけばいい。

だったら学問なんか、本質的にはいらない。養老さんは、学歴は「つけるもの」、ただの飾り物になったって書いているけど、そんなものなら売り買いできるようにすればいい。・・・けっこうそういう状況になってるな。・・・今、背筋に悪寒が走った。そう言う世の中になってるんだな。

彼らにすれば、個性なんて生まれつき自分に備わっているものだから、それは教師からなんだかんだと指導を受けるような筋合いのものではない。それじゃあ、きょうしの仕事はなに?・・・そんな時代に養老さんは「教師をやらされていた」んだそうです。この言い方からしても、よっぽどそんな世間の風潮を忌々しく思ってらしたんでしょうね。よくわかります。似たような立場なもんで・・・。

学歴とか、上の学校へのパスポートの発行とか、とにかく本質に関係ない飾り立てだけやってくれればいいの、学校の先生なんて・・・。

そういうことですからね。

親が親なら子も子だな。・・・私はこういう体験があります。ママ友情報で、高3を目前にした子供に看護師を進めたら、子供が少し興味を持った。親に言われて看護を目指すなんて、動機として極めて不健全なものであったし、その子の成績は、それから看護専門学校を目指せるようなものではなかったので、もう一度よく親と話し合うように促した。その日の内に親から抗議口調の電話があって、私が子供のやる気の目を摘んだってさ。子供は優しい性格で、看護師にぴったしなんだって。

ママ友情報だかんね。それで子供の“個性”を活かす道が見つかったで言うんだから、本当に良かったですよね。苦労して自分を磨くとか、真剣に仕事に打ち込む人に刺激されて生きるということと真剣に向き合うようになるとかさ。そう言う事なしに、自分の“優しい”っていうわけのわからない個性のままに安穏としていればいいっていうんだからね。まあ、こういう看護師には世話になりたくないし、一緒に働きたくもないけどね。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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