めんどくせぇことばかり 『ブラック・オア・ホワイト』 浅田次郎

『ブラック・オア・ホワイト』 浅田次郎

この間、『神坐す山の物語』を読んだ勢いのままに、『ブラック・オア・ホワイト』を読み始めてしまったのは、やはり間違いだった。もともと、人の話をしっかり聞くタイプの人間ではない。それは本を選ぶ時も同様で、何かの先入観を持って読み始めることはほとんど無い。もちろん、同じ作家さんへの思い入れは別にしてね。

浅田次郎さんの本は、好きです。でも、いつ何時、どんな時でも、さらには、前からでも、後ろからでも、右でも左でも、「どこからでも来い」というわけではなくて、できれば《敵を知り己を知れば百戦危うからず》という体制で読みたい。心が弱くなっている時には、場合によっては“毒”にあてられたような状況になりかねない。事実、今回はそのパターンに陥った。

『神坐す山の物語』の心象風景を期待したままの心で読んだため、ちょっと、『ブラック・オア・ホワイト』にのぼせてしまった。

この『ブラック・オア・ホワイト』。最初はわけも分からずに振り回された。これまで読んだ浅田次郎さんの本のいろいろを思い出し、いったいどのタイプに相当するものなのか、それぞれの方に合わせてはあきらめ、合わせてはあきらめを繰り返した。“私”に語りかけられる“都筑”の夢の舞台が満洲やパラオであった当初、過去のいずれかのパターンに当てはめられるだろうと思っていたが、無駄だった。

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「近ごろ、よく眠れるかい」久しぶりに再会した都築君はそう言って語り始めた


急死した友人の弔いで再開した都筑に誘われ、彼の暮らす高層マンションの一室で、“私”は都筑の夢の話を聞くことになる。《他人の夢の話なんて、面白くもおかしくもないだろうね》と言いつつ語る彼の話は、満洲、パラオ、インド、支那、日本を駆け巡る。夢は戦争の時代と戦後の高度成長の時代をつないでいるようで、同時に他愛なく、結局夢としか言いようのない夢。白い枕の時の良い夢と黒い枕の時の悪い夢は、おそらく大きな意味は無い。所詮夢には二面性がある。だからといって、屈折した夢の深層心理を汲み取らせようとしているようにも感じられない。

これまでの浅田次郎さんの本の、どのパターンとも違う。書かれたように読めばいい。そうしか言えない。読後感もまた、夢のよう。 

《フロイトの提唱した理論を思い起こした。その伝で言うなら、抑圧されたエモーションが、都筑君に多彩な夢を見せたことになる。並外れて自尊心が強く、感情を露わにしない彼は、フロイト理論の得がたい標本に違いない》

物語の終盤で、“私”はそう語る。・・・おいおい、私は、・・・“私”ではなく、私ね。私は、都筑の夢を“日本の戦後”と想定して、まるでジェットコースターに乗ってるかのような、面白おかしいお話として読んだ。白い枕の良い夢と黒い枕の悪い夢っていうのも、日本の戦後そのものに思える。

・・・そういう前提に立って、もう一度読みなおしてみるか。・・・とりあえず“のぼせ”が治まってから考えるかな。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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