逆オイルショック(覚書)『2016-17長谷川慶太郎の大局を読む 世界はこう激変する』
実は、ニュースの確認っていうのは、大学卒業とともに始めていた。もちろんその頃は新聞の切り抜きで、中心になるのは世界情勢と、自衛隊、皇室に関わるものだった。そう考えると、基本的に今と変わりない。対象が朝日新聞だけってこともあって、1日の切り抜きは、ほんの2・3の記事。それでも、紙面全体に目を通したからね。もちろん怠けることもあったけど。
ノートに貼り付けたんだけど、まあ、見返すことはないんだよね。そんなめんどくさいことやってれば、かならず意識に残ったからね。ノートがもったいないから、関連する記事は、折りたたんで重ねて貼ってね。だから1冊終わる頃には、厚さ5センチを超えたね。何十冊どころじゃないんじゃないかな。持て余して、転勤の時に、前の職場の倉庫の奥にこっそり置いてきたりした。
面倒すぎて中断したこともあったけど、インターネットに助けられてね。ニュースのチェックと本を読むことで、世界が頭のなかで立体化して、まるで鳥瞰図で見ているかのようにね。・・・なんてなってみたいな。
雪原と吹雪でホワイトアウト状態になったり、藪こぎの最中に崖から足を踏み外しそうになったりと、世界を見失いかけることも少なくないんだけどね。そんな時、長谷川さんの本は、絶好の指標だね。
今、世界を考える時に、けっして見失っちゃあいけないこと。なのに、ちょっと前までは正反対の常識があったために、ついつい見失いがちなこと。それは、逆オイルショックって言う状態にあるってことだな。・・・これ、すごいことだよね。

2014年6月に1バレル(約159L)107ドルを超えた原油価格が、同年11月下旬には73ドルまで下落。2015年初頭には40ドル台に突入。一時戻したこともあるものの、12月には30ドル台を記録した。
最大の原因は、アメリカのシェール革命。シェールオイルの採算ラインは1バレル60~80ドルと言われていた。採算を切ればシェールオイル採掘業者は撤退して原油は下げ止まると言われていた。しかし、止まらなかった。技術革新により、2015年末、1バレル30ドル台に入ってもシェールオイルの採掘は続いている。
すでにアメリカは不況を克服した。その証明が利上げである。利上げでドル高が進行するが、ドル高による不利益は原油安による燃料費の下落が帳消しにしてしまった。同様に、エネルギー源を購入して経済を成り立たせている国にとっては、原油安は福音である。
2009年にリオ・オリンピック開催が決まったブラジル。当時、支那による爆食ともいわれる一次産品の需要に沸き立っていた。主要輸出三品目は、鉄鉱石、大豆、原油。鉄鋼業が驚異的な伸びを見せていた支那が、最大の上得意である。2012年、支那の経済に陰りが出た。2014年からは、支那の輸入も減少を始めた。そこへ逆オイルショックが畳み掛けた。
OPECの持つ最大の力は、価格調整能力である。生産を調整して価格を吊り上げることだ。かつては、現在でも、OPECはそれを武器として国際政治にまで影響を及ぼす。日本はかつて、もらい火で全焼に近い被害を出した。ところが、そのOPECが、その価格調整能力を失っている。
ロシアやメキシコが増産でOPECの能力を減退させていたのは過去の話で、ウクライナ絡みで経済制裁を受けるロシアは、原油安の追い打ちに息も絶え絶え。この春にはOPECと生産調整を話し合ったが不調に終わった。サウジはいっそのこと、ロシアを屈服に追い込もうとしているんだろう。
さらに、制裁を解除されることになったイラン。大産油国が市場に参入して、今まで失ってきた利益を取り戻そうとしている。アメリカではシェールオイルの採掘が続いている。かつてOPECが持っていた価格調整能力という大きな武器は、すでに失われていると言っていい。
かつて中東になにがしかが起これば、すぐに世界が反応して原油価格が高騰した。しかし、それはもはやない。事実、イスラム国騒ぎだったり、イエメンを舞台とするサウジとイランの確執が先鋭化しても、原油価格は上がらない。もはやOPECは生産調整もできない。OPECがロシアと手打ちをして生産調整したところで、その分はアメリカとイランが補ってしまう。
変われば変わるもんだね。・・・ビックリだよ。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
ノートに貼り付けたんだけど、まあ、見返すことはないんだよね。そんなめんどくさいことやってれば、かならず意識に残ったからね。ノートがもったいないから、関連する記事は、折りたたんで重ねて貼ってね。だから1冊終わる頃には、厚さ5センチを超えたね。何十冊どころじゃないんじゃないかな。持て余して、転勤の時に、前の職場の倉庫の奥にこっそり置いてきたりした。
面倒すぎて中断したこともあったけど、インターネットに助けられてね。ニュースのチェックと本を読むことで、世界が頭のなかで立体化して、まるで鳥瞰図で見ているかのようにね。・・・なんてなってみたいな。
雪原と吹雪でホワイトアウト状態になったり、藪こぎの最中に崖から足を踏み外しそうになったりと、世界を見失いかけることも少なくないんだけどね。そんな時、長谷川さんの本は、絶好の指標だね。
今、世界を考える時に、けっして見失っちゃあいけないこと。なのに、ちょっと前までは正反対の常識があったために、ついつい見失いがちなこと。それは、逆オイルショックって言う状態にあるってことだな。・・・これ、すごいことだよね。
徳間書店 ¥ 1,512 今年の世界は政治・経済的に厳しい時代を迎える。しかし、日本の先行きには何の心配もない |
2014年6月に1バレル(約159L)107ドルを超えた原油価格が、同年11月下旬には73ドルまで下落。2015年初頭には40ドル台に突入。一時戻したこともあるものの、12月には30ドル台を記録した。
最大の原因は、アメリカのシェール革命。シェールオイルの採算ラインは1バレル60~80ドルと言われていた。採算を切ればシェールオイル採掘業者は撤退して原油は下げ止まると言われていた。しかし、止まらなかった。技術革新により、2015年末、1バレル30ドル台に入ってもシェールオイルの採掘は続いている。
すでにアメリカは不況を克服した。その証明が利上げである。利上げでドル高が進行するが、ドル高による不利益は原油安による燃料費の下落が帳消しにしてしまった。同様に、エネルギー源を購入して経済を成り立たせている国にとっては、原油安は福音である。
2009年にリオ・オリンピック開催が決まったブラジル。当時、支那による爆食ともいわれる一次産品の需要に沸き立っていた。主要輸出三品目は、鉄鉱石、大豆、原油。鉄鋼業が驚異的な伸びを見せていた支那が、最大の上得意である。2012年、支那の経済に陰りが出た。2014年からは、支那の輸入も減少を始めた。そこへ逆オイルショックが畳み掛けた。
OPECの持つ最大の力は、価格調整能力である。生産を調整して価格を吊り上げることだ。かつては、現在でも、OPECはそれを武器として国際政治にまで影響を及ぼす。日本はかつて、もらい火で全焼に近い被害を出した。ところが、そのOPECが、その価格調整能力を失っている。
ロシアやメキシコが増産でOPECの能力を減退させていたのは過去の話で、ウクライナ絡みで経済制裁を受けるロシアは、原油安の追い打ちに息も絶え絶え。この春にはOPECと生産調整を話し合ったが不調に終わった。サウジはいっそのこと、ロシアを屈服に追い込もうとしているんだろう。
さらに、制裁を解除されることになったイラン。大産油国が市場に参入して、今まで失ってきた利益を取り戻そうとしている。アメリカではシェールオイルの採掘が続いている。かつてOPECが持っていた価格調整能力という大きな武器は、すでに失われていると言っていい。
かつて中東になにがしかが起これば、すぐに世界が反応して原油価格が高騰した。しかし、それはもはやない。事実、イスラム国騒ぎだったり、イエメンを舞台とするサウジとイランの確執が先鋭化しても、原油価格は上がらない。もはやOPECは生産調整もできない。OPECがロシアと手打ちをして生産調整したところで、その分はアメリカとイランが補ってしまう。
変われば変わるもんだね。・・・ビックリだよ。


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