めんどくせぇことばかり 『台所のニホヘト』 伊藤まさこ

『台所のニホヘト』 伊藤まさこ

子供の頃、雪の日に、ぼやで台所が燃えた。もとから煙突が傷んでたんだろう。雪の重みで天井裏で折れ曲がり、熱がこもって火が出た。折から、大往生した背戸のおばあさんの通夜の席だった。雪の中、母が裸足で、そこに集まっていた男衆を呼びに行った。大勢の男が怒鳴り散らしながら出入りするのを、庭で、雪に震えながら見てた。

はっきり覚えてるわけじゃないんだけど、「だいどこ」は、子供時代の私にとっては遊び場の一つだった。広い「だいどこ」で、風呂の焚口に、かまどが二つ並んでてね。忙しく立ち働く母から、「お前は火の番がうまいね」って褒められた。そう言っておけば、かまどの前でじっとしていたんだろう。それが私が火を燃やすことが好きになった一番の理由だな。・・・え?危ないって?

そうそう、一度だけ、大失敗があるんだ。消防車が集まってきてね。・・・逃げた、逃げた。

『台所のニホヘト』    伊藤まさこ
新潮社  ¥ 1,620

一日のうち、一番長く過ごすところは、・・・台所❢
鍋が好き
春は新もの
食器棚 みぎがわ
おいしいごはんを食べるため
大切な料理本
母の肉料理
冬の鍋料理
ベランダ冷蔵庫
瓶の魔法
「普通」が一番
食器棚 ひだりがわ
理想の台所
うちのカレー
Q&A
冷蔵庫の大掃除
キッチン快適アイテム
私のひとりごはん

「・・・ニホヘト」ということは、「“イロハ”はないよ」ということか。まあ、ある意味、味も素っ気もない装丁の本だからね。こんな本・・・失礼、この本を手にするような人は、最初から”イロハ”を期待するような人ではないでしょうからね。”ニホヘト”ということで、よろしいんじゃないでしょうか。

《台所は料理をするだけの場所ではなく、スープを煮ているあいだ、本を読んだり、座り込んで考え事をしたり、時にはスタンディングバーになることも・・・》

いいなあ。まあ、「人さまの生活をうらやむくらいなら、自分でやれば」って言われちゃうよね。その通りなんだけどさ。ただ、“台所”っていうと、どうしても母を思ってしまってね。母にとっても、台所は一番自分らしくいられた場所であったかもしれないけどね。いくら台所でも、母にとっては、自分のために何かをする場所ではなかったしね。ただ、泣くときだけは、自分のための場所だったかもしれないけどね。

『普通が一番』は弁当に関するエピソード。いいね、木の弁当箱。ミニマヨネーズに、型取りの金具。包みの布もいい色でね。私のはアルマイトの弁当箱だったな。ただでかいだけが取り柄のね。新聞紙での上に小さいふろしきに包んであった。

梅酒、しょうがの砂糖漬け。各種の常備菜も、いろんな下準備がめんどうなんだよね。そんな仕事も、自分の好みに合わせた「だいどこ」なら、なんだかいいな。時間を忘れて没頭できそうな気がする。そう言えば、そろそろらっきょうの季節。いっぱい漬けて、娘のところにも分けたやりたいんだけど、下準備がめんどうなんだよね。

自分使いのいろいろな台所用品にしても、料理にしても、この本に紹介されているものは、いずれも角張ったものを感じさせられない。程よくこなれて、肌にすっと馴染みそうな、なにか自分の一番いい時を思い出させてくれそうな、そんな気がする。

私の連れ合いも、台所でそんな風に過ごして欲しいもんだけど、どうも、少し角張ったものを感じる。・・・それは私に対して・・・、ということか?





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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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