めんどくせぇことばかり 『風土記の世界』 三浦佑之

『風土記の世界』 三浦佑之

この本で解説されている《日本書紀》の、本来の構想について、何日か前にブログに書いた。《日本書》の天皇の自責を叙述するのが「紀」で、結局この部分だけが編纂されて、『日本書紀』になってしまった。諸国に編纂が命じられた『風土記』は、《日本書》の地理志として編まれるはずだった「志」の基礎資料となるべきものだった。それに人物伝として「列伝」を加えて、《日本書》は完成されるはずだった。・・・そういうことでしたよね。

隋という統一王朝が大陸に登場し、以降、東アジアは大きく揺れた。新しい状況への対応を迫られる中で、大和朝廷内でも激しい権力闘争が発生。そして壬申の乱に勝利して天皇となった天武。ここに、いよいよ日本の国家づくりは本格化する。国史の編纂もはじめられる。最終勝利者であるはずの天武によって始められた国史の編纂であったが、それが『日本書紀』として世に現れたとき、権力を握っていたのは、残念ながら、天武の反対側にいたはずの勢力だった。

律令制の確立と国史の編纂は、日本という名で登場する国家を支える日本の大きな柱。律令体制を完成させたのは藤原不比等。その父、藤原鎌足は天智天皇のブレーン。天智の子大友を倒して天皇となった天武にしてみれば、不比等は敵側の人間のはず。

その不比等が天武なきあと、持統の願いにつけ込んで権力を握るまでになってしまった。彼こそが国史完成時の権力者であるから、最終勝利者として歴史を残したのは藤原不比等ということになる。

そのようにして、藤原氏に都合よく歴史を編纂しなおして、《日本書》の「紀」は完成したことになる。しかし、これを「紀」、「志」、「列伝」を揃えた国史として完成させようと思えば、つまり、諸国に命じた『風土記』を基礎資料として国史に付け加えるということになれば、かえって真実が明らかにされる可能性が生まれる。不比等にすれば、そんな危険を犯してまで国史を完成させる必要は、どこにもない。

関裕二さんの説を用いれば、そういうことになりそうだな。

『風土記の世界』    三浦佑之
岩波新書  ¥ 907

風土記は古代を知る、なんでもありの宝箱 生き生きとした古代世界
第一章  歴史書としての風土記
第二章  現存風土記を概観する
第三章  常陸国風土記ーもう一つの歴史と伝承の宝庫
第四章  出雲国風土記ー神の国ともう一つの文化圏
第五章  語り継がれる伝承ー播磨国風土記と豊後国・肥前国風土記

たとえば、常陸国風土記にたびたび登場する倭武天皇。私たちの常識ではヤマトタケルは天皇になってないよね。伊吹山で悲劇の死を遂げるんだよね。だけど彼は倭武天皇として常陸国風土記に登場し、その伝承を残している。本書の著者は、それを『律令国家へと拡大するヤマトの王権には、私たちが認識している歴代天皇の継承が固定化する以前の伝えがあり、そこではヤマトタケルが天皇になったという系譜を持っていた』と自説を展開している。

本来、最終勝利者として国史を編纂するのは天武天皇となるはずだった。天武は東国の力を背景として勝利者となった。東国の勢力も、天武とともに最終勝利者となるはずだったわけだ。それを、藤原氏に簒奪された。不比等の権力化に書かれた『日本書紀』によれば、ヤマトタケルは東国の勢力を朝廷のもとに屈服させてヤマトに帰還する途中、伊吹山で神の怒りに触れ、悲劇の死を遂げることになる。

・・・なんか符合しないかな。

それにしても、風土記すごい。現存するというほんの幾つかで、詳細に研究していけば、軽く日本書紀をくつがえしちゃうんじゃないかな。さらに、面白い。どうしよう。だれか、研究して、素人にも面白く読めるような本を出してないかな。・・・ちょっと探してみようかな。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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