めんどくせぇことばかり 『プラハの墓地』 ウンベルト・エーコ

『プラハの墓地』 ウンベルト・エーコ

ユダヤ人は・・・?
スペイン人のようにうぬぼれが強く、クロアチア人のように無知蒙昧、レバント人のように強欲で、マルタ人のように恩知らず、ジプシーのように図々しく、イギリス人のように不潔で、カルムイク族のように脂ぎっていて、プロイセン人のように傲慢で、アスティ人のように口が悪い。おまけに、抑えがたい情欲にかられて不義密通に走るのは、割礼に原因がある。

ドイツ人は・・・?
フランス人の二倍の糞をひねり出すため、考えられないくらい大量の人糞があちこちに残っている。汗の嫌な匂いはドイツ人特有のもので、他の人種よりも尿に含まれる窒素の割合が多い。ビールと豚肉ソーセージをガツガツ飲み食いするせいで、いつも腸をつまらせていて、男女のカップルが愛を語り合う様子は匂いをかぎ合う二匹の犬のようで、けたたましく下品に笑い、濁っただみ声で大はしゃぎし、顔と四肢はいつも脂ぎっている。

フランス人は・・・?
怠け者で、詐欺師で、恨みがましく、嫉妬深い連中で、フランス人以外はみんな野蛮人だと思いこむほど高慢で人からの批判は受け入れない。


『プラハの墓地』    ウンベルト・エーコ
東京創元社  ¥ 3,780

イタリア統一、パリ・コミューン、ドレフュス事件、『シオン賢者の議定書』・・・

2月に亡くなったウンベルト・エーコが2010年に発表した作品だそうです。

正直言って、全体のストーリーをすんなり受け入れられたわけじゃない。行きつ戻りつする内容だし、しかも、引き回し役のシモーネ・シモニーニ以外すべて実在の人物で、実際に起こった出来事をたどっていく。マツィーニ、ガリバルディ、カブール、ヴィットリオ・エマヌエーレらに、イタリア独立の動きに引っ張り回されたかと思えば、ナポレオン三世、ディズレーリ、デュマ。そんな名前だけで引き回されてしまう。

私のような、中途半端にその辺りの教科書が入ってる人間だと、次々の登場する歴史上の人物や出来事を、頭のなかで再構築するのが大変だった。イタリア独立。鉄血宰相はパリを包囲し、バリケードの内にはコミューンが成立、そして崩壊。マルクスは暴力革命を確信し、ドイツ帝国が登場する。まさしく激動の時代だね。

《シオン賢者の議定書》という偽造文書のことは知りませんでした。《ユダヤ人の長老たちが、世界征服の陰謀を企み、また世界を影から操るために、密かに開かれた会議の議事録》としての偽造文書ってことでいいのかな。

この本に一貫する憎悪。その象徴が《シオン賢者の議定書》に結集するわけだろうけど、著者のウンベルト・エーコは、現代社会に蔓延しつつある不寛容への抵抗心が、著者にこの本を書かせたのかな。
Newsweek 2016/6/24
英国EU離脱は、英国の終わり、欧州の衰退、世界の停滞をもたらす
http://www.newsweekjapan.jp/obata/2016/06/eu.php
(抜粋)
英国の国民投票は、EU離脱支持が残留支持を上回り、今後2年をかけて離脱することが決まった。ただし、政治的に、これをもう一度やり直すという可能性もないとは言えず、100%決定ではないが、95%は離脱決定と考えていいだろう。では、離脱となると、今後の世界はどうなるか。
イギリス人は、EUから抜けることを決断したみたいですね。両陣営の様子を考えるに、残留派のほうが口数が多かったように感じられた。口数の少ない離脱派の、ひとりの無口な男が、残留派の議員さんを殺害するなんて事件も起こった。“憎悪”は遠ざけられるべきだし、“寛容”は求められる。それでも“憎悪”は存在するし、“寛容”は簡単ではない。ならば、《距離を取る》ことは当然の選択肢だし、それさえ排斥するなら、それにまさる“不寛容”があるだろうか。




にほんブログ村 政治ブログへ 一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
Newsweek 2016/6/24
英国EU離脱は、英国の終わり、欧州の衰退、世界の停滞をもたらす
http://www.newsweekjapan.jp/obata/2016/06/eu.php

(全文)

 英国の国民投票は、EU離脱支持が残留支持を上回り、今後2年をかけて離脱することが決まった。ただし、政治的に、これをもう一度やり直すという可能性もないとは言えず、100%決定ではないが、95%は離脱決定と考えていいだろう。では、離脱となると、今後の世界はどうなるか。

 まず、英国経済は終わりである。

 例えばスイスはEUではないがうまくやっているではないか、という論理は2つの意味で間違っている。第一に、もともと加盟していないまま加盟しない、ということと、加盟していた国が離脱したのは違うということだ。EU加盟国という理由で日本の支社もEUの中で1カ所選ぶとすればロンドン、ということだったので、多くの日本企業は英国から撤退するだろう。ほかの国も同様であり、EU諸国との関係は弱まり、移動の自由もなく、関税もかかる。人々は意識していないかもしれないが、英国はEU経済に依存しているのだ。

 もうひとつは、離脱となれば混乱する。国内は2つに割れる。

 社会が混乱する中で経済は発展できない。今後、国内は二分され続けるだろう。社会の分断、それがもっとも社会を経済を壊す。しかも、離脱しないと高をくくっていたのはエリートたちだ。金持ち達であり、投資家たちだ。そして、キャメロン首相はパナマ文書にも名前が挙がっていたこともあり、その象徴だ。

 エリート社会と低所得者社会がもともと分断しているところに、この投票結果はそれを決定付けるものとなる。ロンドンは荒れ、良いところも悪いところもある魅力的な都市だが、次第にそのメリットを失っていき、投資も人々も出て行くことになろう。

 欧州経済も大きなダメージを受ける。

EU諸国に広がる離脱願望

 英国で離脱派が力を持ったのは、もともと英国人は欧州人でない、大陸が欧州であり、英国は英国だ、という文化があったことも大きいが、それが今勢いづいた理由は、移民だ。移民の問題は欧州全体の問題だ。多くの国、とりわけ経済的に豊かな国、うまく行っている国ほど、移民の問題は大きい。国民に根強い反対があるからだ。英国が離脱なら、うちも、ということに当然なる。ドイツ、フランスなど有力国では確実に起こるだろう。

 ただ、英国と違って、彼らは欧州そのものだ。だから、欧州統合に対する反発はない。そして、もっとも恩恵を受けてきたのも、この2国だ。だから、離脱はない。

 しかし、問題なのは、国内に離脱派が力を持つことになり、彼らを納得させるためにはコストがかかるようになるということだ。社会が分断するというのは、社会経済にとって大きなマイナスだ。移民問題と離脱問題でいえば、低所得者はあからさまに「移民反対、離脱賛成」なのに対し、インテリ、金持ちは統合の恩恵を最も受けているし移民の影響は受けていないから「移民に寛容、離脱反対」となり、社会の分断は深まる。これは社会を弱くし、経済を弱める。

 そしてこれが欧州全体に広がる。さらに、欧州の経済の伸びは、EUを拡大し続けることによって維持してきた。要はフロンティアを人工的に生み出してきたのだ。中所得国を取り込み、ここを新しい市場とし、同時に安い労働力の供給地とし、いわゆる高度成長を生み出す二重構造を意図的に作ってきたのだ。

 それが終わる。EUの拡大はない。成長は止まる。そして、イギリス以外の国でも離脱リスクが高まるということは、欧州への外からの投資は躊躇される。減少する。世界の中で欧州はおいていかれることになるだろう。

市場はリスク回避へ

 世界は、直接の影響は小さいが、欧州が衰退すれば、世界経済は縮小するから、プラスであることはあり得ない。だから、世界経済もマイナスだ。

 そして、金融市場は、すべてのショックを直ちに織り込もうとするから、為替が動き、リスクテイクは弱まるから株価も不動産も下げる。だからマイナスだ。

 日本は特に為替に過剰反応するから、株価は下がるだろう。実体経済はそこまでマイナスを受けないが、雰囲気に弱い社会だから、雰囲気は悪くなり、雰囲気は株価に過剰に連動するから、雰囲気は一変し、株式市場は下がったままとなるだろう。

 そして、金融市場はいったん大きく下げたあと、過剰反応として戻すだろう。パニックに過ぎない、という解釈を与えるだろう。しかし、この反発は短期にとどまると予想する。なぜなら、欧州危機はリアルであり、長期化どころか、歴史的にここがターニングポイントになり衰退していくから、世界経済へのマイナスは長期に継続し、長期に世界経済、世界市場に影響を与えるからだ。

 英国の終わりの始まり、欧州の衰退の始まり、世界経済、世界市場の雰囲気転換の始まり。これらは長期的に続くだろう。

関連記事

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

ありがとうございました



「《めんどくせぇことばかり》は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」
よくお越し下さいました

イーグルス16

Author:イーグルス16

息も絶え絶えです、ぜひ応援してください
人気ブログランキングへ にほんブログ村 政治ブログへ

「歴史修正主義」とは、戦前の日独をことさら評価する史観ではない。
米英両国の外交に過ちはなかったのか。
あったとすればそれは何だったのか。
それを真摯に探ろうとする歴史観だ。
英米独露の外交と内政を徹底検証し、二つの世界大戦が、実は「必要」も「理由」もない戦争だったことを明かす。
これから出る本




































当ブログ内人気図書 
















































カウンター
カテゴリ
ブロとも一覧
アジシオ次郎の時事原論
はりこのはやしや 
ハシビロコウ
素足のアイドル達
うさぎ屋の四方山話
わくわく株式投資
プロモデラー林哲平のジャンクロボット創作ブログ『ケルバーダイン』
大好き!グラビアアイドル!
伊織のブログ
Re:BAD TASTE♥
QWERT 5w1h
「伝わる技術」オトデザイナーズ・坂本真一
歌と知恵でハッピーライフ^^
こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































検索フォーム
リンク
RSSリンクの表示
最新記事
応援して下さい