めんどくせぇことばかり 『手塚治虫が描いた戦後NIPPON』

『手塚治虫が描いた戦後NIPPON』

手塚漫画? もう、私は、それに育てられたようなもんだったよ。うちは貧しかったけど、三男の私が生まれて成長する過程は、父が会社や地域で地盤を固めていく時期に当たっていて、生活は相対的に楽になりつつあった。折から高度経済成長期で、まさに日本のあり方と時代をともにしていた。

赤いレコードを買ってもらったん出すよ。そんシートってやつ。ペラッペラの・・・。それが「ジャングル大帝レオ」のやつでした。かけると、冨田勲が作曲したの壮大なテーマ鳴り響いた。・・・今にして思えば、プレーヤーの貧弱な内蔵スピーカーからね。

もちろん、「ジャングル大帝」だけじゃないよ。「鉄腕アトム」だってそうだし、「マグマ大使」や「ビッグX」ね。「ワンダースリー」に、「リボンの騎士」。「悟空の大冒険」も大好きだった。いくらでもある。手塚治虫の漫画なら。

どれも、これも、夢中にさせられた。夢を見させられた。明るい未来が約束されていた。
小学館  各¥ 1,620

《上1945~1964焦土から東京オリンピック》
《下1965~1989繁栄と狂乱の時代、未来へ》
1985への出発(たびだち)
マアちゃんの日記帳
ピンピン生ちゃん
雑巾と宝石
太平洋Xポイント
あんてな一家
電子婦人
「鉄腕アトム」赤いネコの巻


レボリューション
おそすぎるアイツ
「ブラックジャック」宝島
イエロー・ダスト
絵が死んでいる
荒野の七匹
アポロはなぜ酔っ沸ったか
ペックスばんざい
ころすけの橋
グリンゴ
熟れた星

世の中が理不尽なことは、幸運にもかなり早い段階で気づいていた。子供の時分からそれと意識していたわけじゃあないけど、自分の周りの大人たちが関わる大半のことは、学校で習った通りじゃなさそうなことはなんとなく知っていた。学校で習ったとおりじゃなさそうな事態に対処するために、自分の周辺の大人たちがいろいろな工夫をしていることも、なんとなく分かってた。特に、私の家には、そういった工夫が、他所よりも多い感じがしていた。その工夫のことを、うちでは“なんとも”とか、“仁義”とか言ってた。

親たちの世代まではそれは絶対的だった。でも、戦争に負けて、日本は米によって全否定された。どこの国にも地域にも、いいところと悪いところ、成熟した部分と未熟な部分があって、外からの刺激と内からの成長で変化していく。そんなこととは何の関係もなく、日本は米によって全否定された。悲壮なまでの戦い方でなんとか国を保てたのはいいとして、やはり戦争に負けるというのはそういうこと。やる以上は勝たなければどうにもならない。

そう思えるようになったのはだいぶ後の事で、“戦後”という時代と一緒になって親までの世代が大事にしてきたもののすべてが、ただ煩わしく感じられるだけだった。

社会をえぐるような手塚治虫の漫画は、兄の買ってきた本で読んだ。それらの主人公の大半は、古い因習から自由であろうとしていた。あるいは、飲み込まれて歪んでいた。特に歪んだ姿が強烈に頭に染み付いた。自分も、・・・飲み込まれていく。手塚治虫の漫画は、どこかそんな恐怖とともにあった。

暗いところに光を当てたってことでも、手塚治虫の漫画ってすごいと思う。ただ、“暗いところ”っていうのは、全体を活かす為に犠牲にした部分。ベンサムなら「最大多数の最大幸福」って言って開き直るところ。サンデル教授は気楽に言うけど、“止むに止まれぬ”そんな思いはお構い無しだからね。

それはともかく、アメリカが全否定したものの中には、日本の本質に関わるとても大事なものもたくさんあった。残念ながら手塚漫画は、そのことには触れてない。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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