龍神の怒り(覚書)『民話の世界』 松谷みよ子
先ほど、台風9号は房総半島に上陸したそうです。埼玉のここでも、11頃から風雨が強まっています。この時間、西側から雨が吹き付けてますね。東日本を縦断して、夜には東北、明日には北海道に行くんかな。北海道は連続の大雨になるから、ひどいことにならなければいいけど。
埼玉は、たしかに自然災害の被害が少ないところでね。朝一で職場に行って、今日は仕事をしなくてもいいようにしていたんだけど、あとから来た連中はまったくいつものように仕事を始めるんだよね。・・・言葉を失って、ひとりで帰ってきた。今頃あいつら、どうしてるんだろう。・・・それでも埼玉。たぶん大したことにはならない。
広島の水害は、2年前の、ちょうど今頃でしたよね。
74人が死亡した広島市の土砂災害から20日で1か月がたった。遺族や知人が現場で花を手向け、犠牲者を追悼したという。写真は瓦礫の撤去に当たる警察官がこの日の作業を始める前に黙祷を捧げる様子。
被災地は土砂災害の恐れのある場所だったという。 しかし、明治以降土石流被害の記録はなく、長い間、土砂災害警戒区域にも指定されていなかったという。広島県の基礎調査により、被災地の一つである八木三丁目は近く警戒区域に指定されるはずだったという。

私の生まれた家は武甲山という山麓にある。山に祀られているのは龍神である。珍しくもなんともない。日本中に祀られている。『自然の脅威を龍神の怒りと見た人々の哀しい思い』と、著者の松谷みよ子さんは言っている。
町を襲う大洪水を鎮めるために黒龍のもとに嫁いだ黒姫の伝説。龍神の忠告を破って、龍神がふと明かした洪水を村人に教えたことで湖に浮かんだ琵琶法師の伝説。幼い娘のために小豆を盗んだ男が、その罪ゆえに人柱にされる話。これらの話がこの本にも紹介されている。
八木蛇落地悪谷(やぎじゃらくじあくだに)
大規模な土砂災害に見舞われた広島市安佐南区八木三丁目の古い地名だそうだ。やがて「じゃらくじ」の音に上楽地の字が当てられて「じょうらくじ」と呼ばれるようになり、「八木上楽地芦谷」という時代もあったという。そして本来あった警告の意を失って安佐南区八木三丁目となる。不動産価値の問題から地名が変更されることも多いという。でも、祖先は伝えようとしているんだよね。私たちの受け取る能力がなくなっているという問題なんだ。
《気も遠くなるほどはるかな昔の記憶を、祖先は長い年月、語り継いできた。・・・私の掌に載せられた物語の厚みは、先祖からの贈り物であった。・・・この文明の世に、いや、文明の世だからこそ忘れ去ろうとしているのかもしれないが、なぜ私たちは祖先から受け継いだものをこんなに簡単に捨て去ろうとしているのだろうか。捨て去るという意識もないほどに、無関心になっているといった方がよいのかもしれない。》・・・これは、著者の言葉です。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
埼玉は、たしかに自然災害の被害が少ないところでね。朝一で職場に行って、今日は仕事をしなくてもいいようにしていたんだけど、あとから来た連中はまったくいつものように仕事を始めるんだよね。・・・言葉を失って、ひとりで帰ってきた。今頃あいつら、どうしてるんだろう。・・・それでも埼玉。たぶん大したことにはならない。
広島の水害は、2年前の、ちょうど今頃でしたよね。
そのときの記事です
74人が死亡した広島市の土砂災害から20日で1か月がたった。遺族や知人が現場で花を手向け、犠牲者を追悼したという。写真は瓦礫の撤去に当たる警察官がこの日の作業を始める前に黙祷を捧げる様子。
被災地は土砂災害の恐れのある場所だったという。 しかし、明治以降土石流被害の記録はなく、長い間、土砂災害警戒区域にも指定されていなかったという。広島県の基礎調査により、被災地の一つである八木三丁目は近く警戒区域に指定されるはずだったという。
『民話の世界』 松谷みよ子 講談社学術文庫 ¥ 908 語り継いできた、祖先たちの世界 |
私の生まれた家は武甲山という山麓にある。山に祀られているのは龍神である。珍しくもなんともない。日本中に祀られている。『自然の脅威を龍神の怒りと見た人々の哀しい思い』と、著者の松谷みよ子さんは言っている。
町を襲う大洪水を鎮めるために黒龍のもとに嫁いだ黒姫の伝説。龍神の忠告を破って、龍神がふと明かした洪水を村人に教えたことで湖に浮かんだ琵琶法師の伝説。幼い娘のために小豆を盗んだ男が、その罪ゆえに人柱にされる話。これらの話がこの本にも紹介されている。
土地にまつわる話には、祖先の重い吐息が語りこめられたものが多い。昔話には野放図な楽しさや、民衆の知恵や、楽しい結末が多いのに、伝説はなんと悲しい話が多いのだろう。また「水との戦いの民話」というけれども、どこかでそれは、「水に耐える民話」になっているのではないか。琵琶法師の献身によって湯の山の人々は命を取りとめた。しかし、法師は死んでいく。黒姫の物語を人身御供としてみるとき、やはり誰かが犠牲になって水を鎮めようとしたのではないか。久米路橋に残る人柱の話はあまりにもむごい。 |
八木蛇落地悪谷(やぎじゃらくじあくだに)
大規模な土砂災害に見舞われた広島市安佐南区八木三丁目の古い地名だそうだ。やがて「じゃらくじ」の音に上楽地の字が当てられて「じょうらくじ」と呼ばれるようになり、「八木上楽地芦谷」という時代もあったという。そして本来あった警告の意を失って安佐南区八木三丁目となる。不動産価値の問題から地名が変更されることも多いという。でも、祖先は伝えようとしているんだよね。私たちの受け取る能力がなくなっているという問題なんだ。
《気も遠くなるほどはるかな昔の記憶を、祖先は長い年月、語り継いできた。・・・私の掌に載せられた物語の厚みは、先祖からの贈り物であった。・・・この文明の世に、いや、文明の世だからこそ忘れ去ろうとしているのかもしれないが、なぜ私たちは祖先から受け継いだものをこんなに簡単に捨て去ろうとしているのだろうか。捨て去るという意識もないほどに、無関心になっているといった方がよいのかもしれない。》・・・これは、著者の言葉です。


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