めんどくせぇことばかり 『みみずくの夜メール』 五木寛之

『みみずくの夜メール』 五木寛之

前に書いた記事なんだけど、昨日、阿比留瑠比さんの『偏向ざんまい』の記事を書いていて思い出した。この本、私が読んだのとは体裁が違うんだけど、しみじみと読んでみてよ。
基本的には新しい本を紹介してるわけなんだけど、最近押入れを引っかき回す機会があって・・・。これを始めると大変。ものであるれる納戸の押入れに、身体半分入った状態で、「あれっ、こんな本が・・・」ってペラペラページをめくると・・・、あっという間に三十分・・・、一時間・・・、気がつけば日は西に傾いて・・・。

間をつなぐつもりで読んだエッセイ集に、今更引っかからなくても良さそうなもんなんだけど、ペラペラと、たまたま開いたページが著者、五木寛之さんの出自に関わるエッセイで・・・。

幻冬舎文庫  ¥ 514

正直言って、なんとも言いようのない世の中だ

五木寛之さんのご一家は平壌からの“引き揚げ”だったって。
当時、ソ連軍の管理下にあった地区を脱出し、開城の難民キャンプに収容されたのち、仁川から米軍の軍用船で博多にたどり着いたグループだ。博多港外で検疫のため長いあいだ待たされたあと、ようやく上陸が許された。

まず、まっ白な粉を頭から浴びせかけられる。それがDDTという強力な殺虫剤であることは、あとで知った。そのあと、四つん這いになって肛門に検査の棒をさしこまれる。男はそれで済んだが、女性たちは婦人相談室という部屋で相談を受ける人と、その必要がない人たちがいた。かたちの上では相談だが、実際は調査である。

その調査、もしくは面接は、子どもと、ひと目で高齢者と分かる女性は、はぶかれた。その理由を書くきにはなれない。要するに敗戦の混乱の中で、レイプやその他の被害を受けた日本人女性が数多くいたということだ。
ずいぶん前に読んだ本なんだけど、副題が「引き揚げ女性中絶の歴史」という。

“引き揚げ”とはいったいどういうことなのか。私はこの本で知った。

敗戦時、軍民あわせて六六〇万人ほどが外地に居り、引き揚げ対象者となった。一九四六年末までに五〇〇万人ほどが引き上げたと言うが、敗戦という過酷な状況の中、ものすごい民族移動ということになる。

五木寛之さんは、この過程を体験してきた。この本の後半に、彼自身がトラックに積み込まれて平壌のソ連軍管理地域を脱出する時の様子が紹介されている。
ともかく地獄の沙汰も金次第。トラックに積み込まれて、深夜、南下するうちに、ソ連軍の検問にぶつかってしまった。金を出せば通す、というお定まりの話である。全員、ヘソクリを出して、運転手に渡す。やっと通過したと思ったら、また別の検問に引っかかった。

金はない、と伝えると、女を出せ、と要求していると運転手が言う。それも三人出せとの話。グループのリーダーたちが何やら相談した結果、三人の女が指名された。娘さんと、人妻と、子連れの母親と、高齢夫人は省くと決めたらしい。 指名された三人は全員の視線に追いつめられたように、トラックの荷台の隅に身をよせあって顔をひきつらせていた。

「みんなのためだ、頼むよ」
ずいぶん前の本だし、いまさら本文をそのまま紹介したところで、何の罰も当たらないだろうと思ったんだけど、ダメだ。これ以上、書けない。

五木さんはその章の冒頭で、『戦争ほどいやなものはない。しかし、もっと大変なのは戦後の方だと思う』と書いている。気持ちは分かる。でも、本当は“もっと大変なのは戦争に負けるということだ”というべきじゃないかな。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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