めんどくせぇことばかり 『縄文美術館』 小川忠博写真

『縄文美術館』 小川忠博写真

国立西洋美術館館長の青柳正規さんが巻頭の言葉を書いておられる。その中にこうあるんですね。
縄文文化をこれほど鮮明に映しだした写真によるイメージの集まりを、私は見たことがない。隔靴掻痒ぎみで、遠くにぼやけていた縄文文化のイメージが、ようやく手に取ることができるような具体性と詳細を持って本書に再現されているのである

うまいことを言うもんだ。巻頭の言葉なのにあとから読んだんだけど、ド素人の私の感覚でも、「これまでに見たことのある縄文の写真集とは違う」と、何となく感じる部分があった。残念ながら、言葉で表現するには至らなかったけど、こういう言葉を読ませてもらうと納得できる。私のなかで、縄文文化のイメージの一端が、明らかな形となって納まった。

道具を使って私たちは生活する。それを使って、身の回りのすべてを賄っていく。畑を耕し、獣を追いかけ、木の実を拾い、魚の影を探し、薪を集め、縄をない、切り、結び、裁ち、火にかけ、よそい、・・・。私が幼い時分、大人たちはそういう生活をしていた。わたしが大人になる頃にはなくなってしまっていたけどね。だけどいろいろな道具を使って遊んだよ。兄貴たちに置いて行かれて一人になっても、納屋に入れば一日中わるさができた。

この本で縄文の写真を見て、すんなり落ちてくるのは、まずは道具だね。食料を獲得し、分けあって食べる。そのことに関しては、なにも変わりがない。道具は雄弁に物語る。
『縄文美術館』    小川忠博写真
平凡社  ¥ 2,700

過ごしてきた人生が、悠久の流れの中に溶け込んでいく
1 縄文人 土器を焼き、使い始めた人々
2 採り、狩り、漁る日々 時と石器 大地を里山として
3 飾り、装う 土と石 骨と貝 草木と漆を使って
4 装飾された土器群 実用を圧倒する文様と突起
5 文様に込められたもの 人と動物の姿
6 ひとがた 土偶、岩偶に託したもの
7 祭り・祈りの広場 石の祭具 石の広場
縄目の文様の土器や、いわるゆ火焔土器。それから土偶ね。一つひとつに、それぞれの味わいがあるのはもちろんとして、それとは別次元で、《ある種の具体性》を見た者につかませるためには、“量”が絶対的に必要であると感じさせられた。「たとえ少しでも、いいものを・・・」ではいけない。「いいものをたくさん」見せなければ、その時代を明らかな具体性を持って理解させることは不可能。不可能じゃないな。でも、「いいものをたくさん」見せれば、そんだけで一発。そんだけの力はあるよね。

なんかさ~、縄文って、すごく素直だよね。まっすぐでさ。それだけで、とことん突きつめているから、濁りなくて、高さを感じますよね。とても遠いんだけど、澄んでいるから細部までくっきり見える。見えるけどとても届かない。

ちょっと酔っ払っちゃってるから、この本の話とは離れちゃうけど、もしも、諸般の状況が許すなら、自分は何かを作って生きていきたかった。もとが貧乏だから、そんな不確かな選択肢はなかったんだけどね。そういうふうに意識をしたのは、あと数年で定年を迎えることになる今の職業について2・3年が過ぎた頃だった。納屋にいろいろな道具があったからね。見よう見まねで、一人でいろいろなものを作ったもんだけど。いったいどこで、“作る”ってことを封じ込めたのか。

実はわかりきったことで、私は山で生きたかったんだな。山っていうのは、登山家という意味ではなくて、・・・。日本人の生活はもっともっと山に依存していた。だから当然、山を大事にして生きていた。私も山を大事にして、山の恵によって生きることができたらな。どんなに良かったろうな。明らかに生まれるのが遅すぎた。少なくともあと、5000年早く生まれていたら、・・・。

山も、圧倒的に豊かだったろうしね。




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No title

こんばんは。いつも樂しく拜見させて頂いてをります。

農學の佐藤洋一郎助教授によりますと、縄文時代の遺跡と有名な三内丸山遺跡では、栗が栽培されてゐたさうです。縄文時代の人々は狩猟だけでなく農耕も行つてゐたさうで、佐藤助教授が栗の化石のDNAを採取、分析して出た結果が栗などの栽培を行つてゐたと言ふことださうです。
最新DNA解析機で化石のDNAを分析できるとは驚きです。いやはや科學の進歩は凄いですね。

僕は歴史が好きで、出雲、丹後、大和などの古い神社や遺蹟などを辿ることもあり、その中で気付いたのですが、我が國の聚落は山の中の盆地から始まつてゐるのではないかなと最近思ひ始めました。勿論、海岸線が今と昔では違ふと云ふことはありますが。

橘右近大夫 さま

コメントをいただき、励みになります。ありがとうございます。

DNAの解析から、縄文と弥生は平和裏に溶け合っていったことも分かっているんだそうですね。
縄文には、弥生を受け入れられる素地が、十分に育成されていたということにもなりますよね。
もちろん、生活や信仰、“生き方”自体の大きな変動であったことはまちがいありませんが・・・。

そう言えば、関東平野のどん詰まりにあるうちの近所でも、最近鮫の歯の化石がたくさん出ているとか・・・。

ありがとうございました



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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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