めんどくせぇことばかり 西郷さんの名前(覚書)『逆説の日本史 22 明治維新編』 井沢元彦

西郷さんの名前(覚書)『逆説の日本史 22 明治維新編』 井沢元彦

一般に、武士には実名である諱(いみな)、通称である字(あざな)があった。言葉には霊力があると考えるのが日本独特の言霊信仰で、その点から言えば、諱は重要な意味を持った。諱を知れば呪いもかけられるし、支配もできた。
籠もよ み籠持ち 掘串もよ み掘串持ち この丘に 菜摘ます児 家聞かな 名告らさね そらみつ 大和の国は おしなべて われこそ居れ しきなべて われこそ座せ われこそは 告らめ 家をも名をも

言わずと知れた、万葉集の巻頭を飾る雄略天皇の御製。雄略天皇は「自分も名のるから、あなたの名前も教えて」と娘に呼びかける。これに娘が応えて名を名のれば、それは「あなたのお申し出を受け入れましょう」ということ。名前を預けるということは、自分自身を預けることでもあったんですね。『千と千尋の神隠し』でも、名前を奪われて支配されていたよね。
最初に、《諱》っていうのを知ったのは、漫画だった。今ではあんまり話題にも登らないけど、私は名作だと思ってる。『青春の尻尾』・・・あれは面白かった。諸葛亮孔明の話。連載していたGOROって雑誌は、子供の私にとってはHな、・・・あまりにHな雑誌でしたが、歴史好きな私は『青春の尻尾』読みたさに、あくまでもこれを読みたさに、あえてHなGOROを買ったものでした。

諸葛が姓、諱は亮、字は孔明。そんな話が、物語の冒頭に出てきたような気がする。

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西南戦争と大久保利通暗殺のなぞ

親や主君なら、子や家臣を諱で呼ぶことがあるが、それ以外、通常では諱で呼ばれることはなく、字や役職jが呼称として用いられた。

西郷は吉之助、大久保は一蔵、大隈は八太郎、坂本は龍馬といった具合で、多くの人々はその名で彼らを読んだ。

明治初頭、諱と字があった名前を一つに統一するよう太政官布告が出された。これに従って、明治3年頃から名前が一つに統一されていった。

大久保一蔵は利通と改め、大隈八太郎は重信と改めた。坂本龍馬は直柔(なおなり)と改める前に死んでしまった。福沢諭吉、板垣退助、江藤新平らは字を実名として登録しているので、龍馬は龍馬だったかもしれないが・・・。

西郷さんも、吉之助という名を捨てて「いみな」を名前として名のることになっていたが、もともとのおおらかな性格から届け出が遅れた。遅れに遅れて、ついに薩摩藩の知りいが届け出る。ところが、忘れてしまった。西郷家が代々“隆”の字を使っていることから思い出したのが、「隆盛」という名前で、それを届け出た。西郷さんは後で気づいた。「違う。」西郷さんの名は〈隆永〉といい、〈隆盛〉は父の名だという。弟も、本来は〈隆興〉だったのが、「リュウコウ」という音読みから、さらにそれを役人が「ジュウドウ」と間違えて〈従道〉と記した。〈従道〉は「つぐみち」と読むようになったようだが、おおらかなのは兄弟同じらしく、二人ともそれを自分の名にしてしまった。

何でもかんでも西洋流にあらためちゃったこの時代、名前も西洋人同様に一つに統一するべきだというのが理由だったみたいだけど、西洋人はミドルネームとか、けっこういい加減な名乗りをしているよね。結局これって、明治政府の早とちりから始まったってことか。

もったいないね。それでも明治維新を否定しきれないのが悲しいところだけど、失われたものがあまりにも大きすぎてね。悔しいから、今からでも、かってに“字”を名のってしまおう。助六にしよう。・・・今、腹が減ってるし。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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