めんどくせぇことばかり 西郷の征韓論(覚書)『逆説の日本史 22 明治維新編』 井沢元彦

西郷の征韓論(覚書)『逆説の日本史 22 明治維新編』 井沢元彦

井上馨の汚職
幕末のどさくさの中、秋田県鹿角市にある尾去沢銅山の採掘権を豪商村井茂兵衛が手に入れた。この銅山はもともと南部藩のもので、戊辰戦争で朝敵となった南部藩は新政府に命じられた多額の賠償金の支払いのために村井茂兵衛に借金した。銅山の採掘権は、言わば借金のかたである。

ところが、その借金証文には、村井茂兵衛の方が《拝借奉る》となっていた。武士の顔を立てるためのこと。朱子学の影響である。これに目をつけたのが井上馨で、それと分かっていながら、「借りたなら返せ」と押し通した。銅山を接収した井上馨は政商岡田平蔵に実勢価格の3分の1で払い下げ、3万7千円を自分のものにした。

山県有朋の汚職
政商は山城屋和助は、もとは奇兵隊。軍人をやめ、軍需品を扱う御用商人となって稼いだ。

山県とくっついて陸軍の国家予算から15万ドルを借り受け、生糸相場に投資した。15万ドルは、当時の国家予算の1%にあたり、今の国家予算(約96兆円)になぞらえてみれば、およそ1兆円になる。

こんな奴らが近代日本を作ったんだと思うと、本当に情けなくなる。だけど、井沢さんも書いているんだけど、《だけど、有能だった》。新しい時代を、朱子学に凝り固まった会津藩に任せるわけにはいかなかった。井沢さん、そのことについて面白い言い方をしている。鳥居耀蔵や島津久光を朱子学の権化とするならば、朝鮮王朝には鳥居耀蔵や島津久光しかいなかった。シナも同様だ。それは、科挙を実施して朱子学的教養だけを問い、その高い者に政治を任せていたからだ。

それでも、日本においても黒船到来の1853年から明治維新の1868年まで足掛け16年。これは、朱子学の枠をやぶるのにかかった時間である。鳥居耀蔵や島津久光しかいなかった朝鮮やシナでは、朱子学の枠をやぶることすらできなかった。
小学館  ¥ 1,944

西南戦争と大久保利通暗殺のなぞ

明治6年の政変。その火種となったといわれる征韓論。岩倉具視、大久保利通、木戸孝允ら洋行組対西郷隆盛、板垣退助、大隈重信、江藤新平、副島種臣ら留守政府組。征韓論が火種と言われるけど、誰か征韓派でなかったものがいるかと言えば、そんな奴いない。大久保利通もそうだ。それでも彼は、西郷を使者として朝鮮に行かせることを阻止した。その理由は何か。

西郷が板垣に送った手紙では、使者である自分が殺されれば、軍を差し向ける理由づけになると。朝鮮国王は清の皇帝に柵封を受ける立場。その自分が“天皇”を名のる人物との交流を開けば、それは皇帝をないがしろにすることになる。しかも、天皇を長とする明治政権とは朝鮮を苦しめた豊臣を滅ぼしてくれた徳川を滅ぼして成立した政権。

明治4年、日本は日清修好条規を結んだ。外務卿は副島種臣である。これで清王朝皇帝と日本国天皇は対等となった。だから、日本からの死者を門前払いする朝鮮の対応は、完全に間違っていることになる。にもかかわらず、明治6年の朝鮮では大院君指揮下に反日機運が高まっていた。西郷が使者として訪朝した場合、殺される可能性がまったくないとは言えない。無礼を受けての自決でも同様の意味を持つなら、その可能性は高い。さらに、西郷は病んでいた。毎日下剤を服用する状況にあった。

留守政府組よりも洋行組に西郷の旧来の盟友が多い。留守政府組よりも洋行組の方が、より西郷のことを深く知っている。たとえば、死にたがり癖だ。月照を失って以降のことと言われる。その西郷が病んでいる。さらに、最初に上げたように、井上馨や山県有朋の汚職。こういうのが一番嫌いな西郷が、その尻拭い。井沢さんも、司法卿の江藤新平に対してそれができるのは西郷隆盛しかいないと言っている。多くの盟友を失って成し遂げた明治維新。そうして成立した明治政府で自分がやってるのは、長州閥お得意の汚職の尻拭い。西郷さんだったら死にたくなって当然。訪朝特使はまたとない死にどころ。大久保利通が、「なにがなんでも・・・」と西郷を止めた、・・・それが理由。

「どっちが大きな理由」とは、考えること自体、おそらく無意味。想像以上に留守政府組は有能だった。地租改正、太陽暦の採用、徴兵制の施行、紙幣の発行、鉄道事業の開始、学制改革、日朝修好条規の締結。これでは、洋行組に戻る席がなくなりかねない。三条実美太政大臣の前で決められたことが天皇によって拒否されれば、参議が不信任を受けたも同様である。こうして西郷以下、板垣、江藤、副島らが辞表を提出することになった。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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