『神々の山嶺 上』 夢枕獏
「やっと読んだ」って感じだな。ここでは、文庫本で紹介しているけど、実際に読んだのは、1997年にかった単行本。買っただけで、まったく読めなかった.
当時、私は37歳。もうすでに山を諦めていた。しかも、その前の歳、36歳の時に肺気胸で手術を受けている。肺気胸は肺の風船に穴が相手、空気が胸の中に漏れちゃうんだよね。私の場合、右胸の肺に穴があいて、空気が漏れてしぼんじゃった。そうすると空気が吸えなくなるのよ。まさに片肺。まあ、片肺は生きてるんだけど、それなりに苦しくて、吸いたくても吸えないもどかしさがあって、何より激痛なのよ。
救急車で病院についたら、真っ先にやるのが、「胸に穴を開けて管を差し込み、中にたまった空気を外に出しますね」って、お医者さん。・・・先生、聞いただけで、痛い・・・
結局、手術を受けて治ったんだけど、「あなたの肺は、ほら中国製の風船みたいにゴムが薄くなってるところがあって、また気胸になるかもしれないから、すぐに救急車呼べないところにはいかないほうが良いですよ」って言われた。「どうせ山にもいけないんだし、どうだっていいや」って気分で、お医者の先生の言うことを聞いてたな。
そんな頃の本だから、買っても読んでないのが当然なんだけど、「この足の手術入院のお供には・・・」って考えた時に、真っ先に頭に浮かんだのは、この本だった。
山には登っても、あえて、“岩”とかって思ったことはないし、大キレットを北穂に向かっても、滝谷に取り付いている人の気は知れなかった。雑誌といえば、『岩と雪』じゃなくて、『山と渓谷』を買っていた。
でも、この本に登場するのは、あえて滝谷を、あるいは一ノ倉沢を、好んで冬に、できれば誰も成功したことのないルートで登ってみたいっていう人たち。そして、この物語は、そういう話。しかも、地球上のあらゆる場所が探検しつくされた、そんな時代に、最後に残された、ジャイアンツと呼ばれる8000mを超える山嶺に挑戦した者たちの物語。そこには、何人かの日本人も名を連ねている。
その一連の挑戦の初期に、エベレストに挑み、頂上付近で消息を絶ったイギリス人登山家マロリーのカメラを、山にも人生にも打ちのめされた傷心の日本人カメラマン深町誠が、ネパールの首都、カトマンズの猥雑な街角の、雑貨屋で発見したことから始まる。
そのカメラは、遭難したマロリーが、その遭難時に持っていたと考えられるもの。それがそこにあるということは、誰から8000m以上の何処かで遭難したマロリーの遺体に対面したということ。そのフィルムに、マロリー頭頂の場面でも写っていれば、エベレスト登頂の歴史が書き換えられることになる。すったもんだのあげく、カメラはある日本人登山家と思われる人物の手に収まることになるのだが、・・・。
物語は、深町が、その日本人登山家の過去を洗い出す形で進められ、そのなかで、世界の困難な山に、果敢に挑戦してきた日本山岳会の一端が語られていくことになる。その果に、人類が、ジャイアンツと呼ばれる8000m超えの山嶺に挑戦してきた歴史に幕を下ろす役割を担った日本人登山家を登場させる。
ここまで読んで上巻が終わった。今日は入院3日目で、まもなく手術。下巻は手術の後で・・・。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
当時、私は37歳。もうすでに山を諦めていた。しかも、その前の歳、36歳の時に肺気胸で手術を受けている。肺気胸は肺の風船に穴が相手、空気が胸の中に漏れちゃうんだよね。私の場合、右胸の肺に穴があいて、空気が漏れてしぼんじゃった。そうすると空気が吸えなくなるのよ。まさに片肺。まあ、片肺は生きてるんだけど、それなりに苦しくて、吸いたくても吸えないもどかしさがあって、何より激痛なのよ。
救急車で病院についたら、真っ先にやるのが、「胸に穴を開けて管を差し込み、中にたまった空気を外に出しますね」って、お医者さん。・・・先生、聞いただけで、痛い・・・
結局、手術を受けて治ったんだけど、「あなたの肺は、ほら中国製の風船みたいにゴムが薄くなってるところがあって、また気胸になるかもしれないから、すぐに救急車呼べないところにはいかないほうが良いですよ」って言われた。「どうせ山にもいけないんだし、どうだっていいや」って気分で、お医者の先生の言うことを聞いてたな。
そんな頃の本だから、買っても読んでないのが当然なんだけど、「この足の手術入院のお供には・・・」って考えた時に、真っ先に頭に浮かんだのは、この本だった。
『神々の山嶺 上』 夢枕獏 集英社文庫 ¥ 788なぜ人は山に登るのか? 永遠の問に応える畢生の大作! |
山には登っても、あえて、“岩”とかって思ったことはないし、大キレットを北穂に向かっても、滝谷に取り付いている人の気は知れなかった。雑誌といえば、『岩と雪』じゃなくて、『山と渓谷』を買っていた。
でも、この本に登場するのは、あえて滝谷を、あるいは一ノ倉沢を、好んで冬に、できれば誰も成功したことのないルートで登ってみたいっていう人たち。そして、この物語は、そういう話。しかも、地球上のあらゆる場所が探検しつくされた、そんな時代に、最後に残された、ジャイアンツと呼ばれる8000mを超える山嶺に挑戦した者たちの物語。そこには、何人かの日本人も名を連ねている。
その一連の挑戦の初期に、エベレストに挑み、頂上付近で消息を絶ったイギリス人登山家マロリーのカメラを、山にも人生にも打ちのめされた傷心の日本人カメラマン深町誠が、ネパールの首都、カトマンズの猥雑な街角の、雑貨屋で発見したことから始まる。
そのカメラは、遭難したマロリーが、その遭難時に持っていたと考えられるもの。それがそこにあるということは、誰から8000m以上の何処かで遭難したマロリーの遺体に対面したということ。そのフィルムに、マロリー頭頂の場面でも写っていれば、エベレスト登頂の歴史が書き換えられることになる。すったもんだのあげく、カメラはある日本人登山家と思われる人物の手に収まることになるのだが、・・・。
物語は、深町が、その日本人登山家の過去を洗い出す形で進められ、そのなかで、世界の困難な山に、果敢に挑戦してきた日本山岳会の一端が語られていくことになる。その果に、人類が、ジャイアンツと呼ばれる8000m超えの山嶺に挑戦してきた歴史に幕を下ろす役割を担った日本人登山家を登場させる。
ここまで読んで上巻が終わった。今日は入院3日目で、まもなく手術。下巻は手術の後で・・・。


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