めんどくせぇことばかり 『地図から読む歴史』 足利健亮

『地図から読む歴史』 足利健亮

『地図から読む歴史』を解き明かそうとするだけで、ときには“神”に触れなければ話が進まない。しかも、その神ってのが、途中から歴史に割り込んできた神じゃあなくて、この国の創生そのものに関わる神。未開時代を引きずる部族社会ならいざしらず。近現代の世界史で常に大きな存在感を示し続けた国家。それらの国の中ではあまりにも異質であるがゆえに袋叩きにされた国家。にもかかわらず、世界の一角に、大きな影響力を保ち続ける日本。そんな国家でありながら、創生以来の歴史に現代のルーツを保ち続ける。そんな国は、日本を除いて、他にはありえない。

おそらくは、文字で記されていない、その前からの連続性が、私たちが使用する地図の中にも存在している。ものの考え方、日本人のものの考え方の土台には、おそらく縄文の支えがある。

そこまでを語ろうとする本ではないが、ごく当たり前に使用する、たとえば《飛鳥》という地名の中にさえ、もう一度、古典に丁寧に由来を求めなければ、埒が明かない。

さて、ここでは部分的な紹介にとどめるが、ある意味で、読んだ後の方が、知的な意味で、渇きが激しい。
“百済”・・・〈くだら〉って読んじゃうよね。・・・知ってるからさ。でも、知らなきゃ、とてもそうは読めないよね。日本読みなら〈ひゃくさい〉、韓国語読みなら〈ぺくちぇ〉、どうひっくり返っても〈くだら〉にはならない。『日本書紀』の古訓には〈くだら〉の他に、〈くだらく〉っていうのがあるという。〈くだらく〉が出てくれば、〈ふだらく〉につながるのは不自然じゃない。仏教の補陀落、普陀落はインド南海岸にある観世音菩薩の住む山のこと。仏教が、百済によって日本に持ち込まれたことを考えれば、〈ふだらく〉→〈ふだら〉→〈くだら〉は、最初から対象外にするのは、むしろ不自然。
講談社学術文庫  ¥ 1,036

過去の景観の残片は、さまざまな形で地図に姿を留めている

序章 地図と地名に残された先人のシグナル
第1章 聖武天皇の都作り
第2章 平安京計画と四神の配置
第3章 古代地方行政の中心地、国府
第4章 古代の大道は直線であった
第5章 条里
第6章 荘園の範囲を確定する手順
第7章 織田信長の城地選定構想を読む
第8章 天下の大道と隠れ道の並走
第9章 豊臣秀吉の「首都」作り 1
第10章 豊臣秀吉の「首都」作り 2
第11章 徳川家康の江戸選地理由
第12章 「野」とは何か
第13章 溜池分布の謎を解く
第14章 新しい地名解釈から見えるもの
第15章 耳納山・伊吹山・浅間山
第16章 小字「心蓮寺」が発信した情報
第17章 都市内道路名称の意味を解く



《“飛鳥”は、なぜ〈あすか〉と読むか》って言うのも、考えてみれば、きわめて難解ですよね。《とぶとりのあすか》というように、本来、“飛鳥”は〈あすか〉の枕詞。確かなことは、〈あすか〉と呼ばれる地名があった。著者によれば、漢字が当てられた当初は、〈安宿〉に違いないだろうという。光明皇后は安宿媛(あすかべのひめ)と言った。

安宿は「やすやど」ではなく、「やすらかなやど」。ならば、飛ぶ鳥も、好んで羽を休めたに違いない「安らかな宿」から、「飛ぶ鳥のあすか」という言葉が成立したのではないか。著者はそう言う。

それでは、安宿と漢字が当てられる前の「あすか」と言う音の起源を考える。幾つかの説がある。
①鳥が群生
②ア(接頭語) スカ(住処=集落)
③アス(崩地) カ(処)
④ア(接頭語) スカ(洲処)
⑤朝鮮系渡来人の安住の地(安宿)

著者は、①⑤は漢字に引きずらているので問題外と言うが、まさにそのとおりだね。さらには、“阿修羅王”の「あしゅら」、“阿閦”の「あしゅく」が、「あすか」という音の起源ではないかと言っている。・・・後出しジャンケンのようだけど、私は以前から、そういう考え方に同調している。
《“野”とは何か》というテーマも面白い。奈良の吉野、京都の北野、嵯峨野、滋賀の蒲生野、うちの方では武蔵野。、まあ、どこにでもある“野”。

“野”と呼ばれるのは、比較的平らな地形だが、小高いところにあるため水がかりが悪く、耕地にすること、特に水田にすることが困難で、そのため雑木林や竹林になっているところが多い。必ずしも小高いところに限らないが、低湿地であったり、他の理由で未開拓となり、それがゆえに“野”と呼ばれた。

つまり、“惜しい”場所なんだな。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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