めんどくせぇことばかり 確固たる縄文(覚書)『元気な日本論』 橋爪大三郎・大沢真幸

確固たる縄文(覚書)『元気な日本論』 橋爪大三郎・大沢真幸

そうか。鉄器時代に先んじること数千年の間、青銅器の時代があったんだ。『青銅は稀少で、高価である』・・・、ということなんだ。たしかに、その後の鉄器が農耕に使われて、農業生産力を飛躍的に向上させたのに対し、青銅器は農耕に使われてない。貴重な青銅で武器をつくり、それを手に入れられない者たちを圧倒する軍事力を手に入れた。青銅性の武器と戦車が、いわゆる青銅器時代の大きな特徴なんですね。

青銅製の武器と戦車で武装した人々が権力を握り、他の者たちは、その圧倒的な武力の前に支配される。ときには奴隷化される。そんな時代が1000年も、2000年も続けば、それは世の中は、徹底的にそっち側に偏る。

そのあとに登場する鉄器は安い。そして大量生産できる。武器ばかりではなく、農具にも転用されて農業生産性が上がり、人口も増える。戦場に投入される兵力そのものが大きくなり、鉄製武器で武装した農民歩兵が戦争の主体となる。農民たちは大事な存在になったんですね。

それが日本ではどうだったかというと、青銅も鉄も、どちらも日本では海外から入ってきたわけだけど、それが弥生時代にいっぺんに入ってきた。だから、青銅器だけの時代っていうのを、日本は経験していない。青銅器時代の、圧倒的な武力を独占する支配層と、一方的に支配される階層を前提とし構築された社会っていうのを日本は知らない。貴族制、奴隷制も、日本にはなかった。

青銅器時代っていうのは、やがて鉄器に駆逐されていく、敗れ去る時代。そのため、どうしても軽んじてしまうところなんだけど、この数千年間を経験するかしないかの違いは大きいね。


『元気な日本論』    橋爪大三郎・大沢真幸
講談社現代新書  ¥ 994

日本列島で起こったあれこれの出来事が、人類史の中でどういう意味を持つのか
第一部 はじまりの日本
 1 なぜ日本の土器は、世界で一番古いのか
 2 なぜ日本には、青銅器時代がないのか
 3 なぜ日本では、大きな古墳が作られたのか
 4 なぜ日本には、天皇がいるのか
 5 なぜ日本人は、仏教を受け入れたのか
 6 なぜ日本は、律令制を受け入れたのか
第二部 なかほどの日本
 7 なぜ日本には、貴族なるものが存在するのか
 8 なぜ日本には、源氏物語が存在するのか
 9 なぜ日本では、院政なるものが生まれるのか
 10 なぜ日本には、武士なるものが存在するのか
 11 なぜ日本には、幕府なるものが存在するのか
 12 なぜ日本人は、一揆なるものを結ぶのか 
第三部 たけなわの日本
 13 なぜ信長は、安土城をつくったのか
 14 なぜ秀吉は、朝鮮に攻め込んだのか
 15 なぜ鉄砲は、市民社会を生まなかったか
 16 なぜ江戸時代に、儒-国-蘭学が学ばれたか
 17 なぜ武士は、尊王思想に取り込まれたか
 18 なぜ攘夷のはずが、開国になるのか 

古代の戦争は殲滅戦で、相手の共同体を破壊して消滅させてしまう。一つは遊牧社会が農耕社会に対して容赦のない収奪者となる場合。ただし、遊牧社会は農耕社会に寄生することで成立する場合が多いので、完全に殲滅してしまうことはないんじゃないかな。遊牧社会が文明化して農耕社会を乗っ取ってしまうケースでも、農耕民まで消滅させちゃったら自分の首を絞めることにもなりかねない。ただし、自分で定着して農地を耕すっていうんなら話が違う。

遊牧民が定着するにせよ、農耕民がより条件のいい農地を求めるにせよ、異民族同志の争いならば、戦いは熾烈なものとなる。戦闘員は殺し、女には自分の子供を産ませる。自分で入植したり、あるいは相手を奴隷として働かせてもいい。

だから、居住地を守るために壁を作る。場合によっては万里の長城までつくる。ところが、日本においてはどうか。戦闘が多かった弥生時代であっても、作ったのは環濠止まり。“ぬるい”・・・、この本ではそういう言葉を使っている。皆殺しにされるという認識がない。奴隷にするという認識がない。“ぬるい”戦争で済んだというのは、ありがたい話だ。

《“自分と敵”という線を引かない》・・・、そういう発想が、日本列島に住む者にはなかったのではないかという。長い縄文の期間に同質性と、その意識が高められ、弥生人の流入によっても、それに大きな変化が起こらなかったのではないだろうか。それだけ、日本人にとって、縄文とは確固たるものだったんだろうな。




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「歴史修正主義」とは、戦前の日独をことさら評価する史観ではない。
米英両国の外交に過ちはなかったのか。
あったとすればそれは何だったのか。
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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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