『天地明察』 冲方丁
2009年の本か。ずいぶんと眠らせておいたもんだな。下に写真で紹介しているのは文庫本なんだけど、これは単行本。じつは、まだ入院中のベットの上で読みました。その時に、ベットの上でメモしておいたものを見ながら、この記事を書いてます。入院前に用意した本がなくなっちゃって、あわてて連れ合いに図書館から「何でもいいから借りてきて」ってのは、やっぱり無茶なこと。読みたい本は、ほとんどない。切羽詰まって思い出した。買っただけで読んでない本が、かなりあるはず。
そんなわけで、連れ合いに、押し入れに頭を突っ込んでもらいました。・・・いけない。その時の連れ合いのお尻を思い浮かべてしまった。大きいからなぁ。
すごい話題になったから買ったのに、この本、読んでなかった。面白かったー! よかった。読む機会に恵まれて・・・。あれだけ話題になった本が、ずいぶん時間が経過した分だけ、とても新鮮な気持ちで読めた。
もし、まだ読んでない人がいたら、絶対オススメ。
主人公は渋川春海。またの名を、安井算哲。・・・“またの名”が渋川春海の方か。物語は、冒頭で、算術の天才、関孝和の影を登場させる。
渋川春海は碁打ちの家系で、それを以って将軍家に仕える。これが春海の表の姿で、その表の名が安井算哲。ところが春海には歳の離れた義兄があり、安井の名を継いでいる。渋井姓を名のるのは、他に生きる道を求める気持ちの現われでもある。実際、春海は碁の他に、神道、朱子学、算術、測地、暦術に心得があり、中でも算術への思い入れは強い。これが冒頭で関孝和の影を登場させたいわれである。
まあ、ともかく、そんな渋川春海が、なんやかんやと、改暦という大事業に携わっていく。
最初はなんか、まるで新しく始まったNHKの時代劇第一話冒頭のよう。かと思えば、まるで落語の語りをそのまま頭の中へ映像として送り込まれているような、はたまた、あの漫画『おーい、竜馬』を思わせるようなドタバタぶりでした。ストレスは、途中で読むのを中断しなければならないという、こちら側の都合だけ。・・・例えば、注射だとか、検温だとか。
時代は、徳川第4代将軍家綱の治世。3代家光以来、将軍家の厚い信頼を受けた腹違いの弟、保科正之が幕政に重きをなし、戦国の気風を残す世を太平に導こうと命をかける時代。その正之の命を受け、改暦に乗り出して、武によって統一された社会に、今度は文による一石を投じる役割を担うのが渋川春海の役回りというお話。
のちに制度疲労を起こし、新たな流れに対応できなくなる幕府ではあるが、この時代においては、なにしろ若い。物語は、渋川春海を中心とした、青春歴史小説とでも言えばいいだろうか。なんにしても、時代に若さがあることもあって、物語そのものをはつらつとしたものにしている。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
そんなわけで、連れ合いに、押し入れに頭を突っ込んでもらいました。・・・いけない。その時の連れ合いのお尻を思い浮かべてしまった。大きいからなぁ。
すごい話題になったから買ったのに、この本、読んでなかった。面白かったー! よかった。読む機会に恵まれて・・・。あれだけ話題になった本が、ずいぶん時間が経過した分だけ、とても新鮮な気持ちで読めた。
もし、まだ読んでない人がいたら、絶対オススメ。
『天地明察』 冲方丁 角川文庫 ¥ 596.596 四代将軍の治世 日本独自の暦を作るという難題に挑んだ男がいた |
渋川春海は碁打ちの家系で、それを以って将軍家に仕える。これが春海の表の姿で、その表の名が安井算哲。ところが春海には歳の離れた義兄があり、安井の名を継いでいる。渋井姓を名のるのは、他に生きる道を求める気持ちの現われでもある。実際、春海は碁の他に、神道、朱子学、算術、測地、暦術に心得があり、中でも算術への思い入れは強い。これが冒頭で関孝和の影を登場させたいわれである。
まあ、ともかく、そんな渋川春海が、なんやかんやと、改暦という大事業に携わっていく。
最初はなんか、まるで新しく始まったNHKの時代劇第一話冒頭のよう。かと思えば、まるで落語の語りをそのまま頭の中へ映像として送り込まれているような、はたまた、あの漫画『おーい、竜馬』を思わせるようなドタバタぶりでした。ストレスは、途中で読むのを中断しなければならないという、こちら側の都合だけ。・・・例えば、注射だとか、検温だとか。
時代は、徳川第4代将軍家綱の治世。3代家光以来、将軍家の厚い信頼を受けた腹違いの弟、保科正之が幕政に重きをなし、戦国の気風を残す世を太平に導こうと命をかける時代。その正之の命を受け、改暦に乗り出して、武によって統一された社会に、今度は文による一石を投じる役割を担うのが渋川春海の役回りというお話。
のちに制度疲労を起こし、新たな流れに対応できなくなる幕府ではあるが、この時代においては、なにしろ若い。物語は、渋川春海を中心とした、青春歴史小説とでも言えばいいだろうか。なんにしても、時代に若さがあることもあって、物語そのものをはつらつとしたものにしている。


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