『日本に外交はなかった』 宮崎正弘・高山正之
題名から、「戦後の日本の、外交権をアメリカに握られて首根っこを押さえつけられたことを言っている本かな」って思ったんだけど、違った。
最初の章の題名が《「日本に外交はなかった」という言葉》という題名なんだけど、この言葉自体は、日清戦争の前年に北京へ赴く小村寿太郎の言葉で、「俺が本当の外交を見せてやる」という自負を語ったものと高山さんが言っている。
では、本当の外交とは何か。それが「日本にはなかった」ということを書いたのがこの本ということになるわけだ。本当の外交とは、・・・。最初の章にある宮崎さんの言葉を借りておきましょう。端的な言葉を選べば、《武器を伴わない戦争》。クラウゼウィッツの『戦争論』の言葉を宮崎さんも使ってるけど、もう少し噛み砕いた言葉なら、《軍事力と情報力を背景とし、地政学に基づく国家戦略を達成するための対外政策》ということか。
日本には、それがなかった。それを二人の、強烈な個性を持った老ジャーナリストが語るという本だな。対象とするのは“戦後”なんて狭い領域ではなく、日本の“歴史”そのもの。日本の“歴史”全般を相手にして「日本に外交はなかった」ことを検証していくということは、そこから、“外交”に不得手な日本人の特質を引き出し、それを理解したうえで、今後の“外交”に、その知恵を生かしていこうとする本ということね。
下の「目次」を見てもらえば明らかなように、“上・下”の2部構成ではあるんだけど、分量からすれば、古代から明治維新までが3分の1。明治以降が3分の2という割合。2人は歴史の学者ではなく、ジャーナリストですからね。その知見を、明日の日本に生かしていくと知れば、当然こうなるべきですよね。だけど、“上 古代から明治維新”が結構おもしろい。
特に、《朝鮮通信使》と《キリスト教》に関しては、大笑い。後日、覚書としてまとめておこう。


《下 明治維新から現代》は、まずは、それ以前の話もあるけど、重大な点は、《なぜアメリカとの戦争を避けることができなかったか》ということになるよね。
高山さんは、「やり方次第では、開戦は回避できた」と言う。宮崎さんは、「外務省の能力が高ければ、日米開戦は100%なかったといえなくはない」とまで言う。同時に、「アメリカのあの執拗さを考えれば、やはりいつかは戦争になっていた」とも言っている。やっぱり、みんな、いろいろな思いを抱えてるんだね。
その外務省の能力だけど、・・・どの程度まで“高ければ”いいんだか分からないけど、確かに避けられた可能性もある。その可能性を放棄した結果があれだけの民族的悲劇だし、その後の日本、その後の世界につながるわけだから、その可能性を生かせなかったことの意味は、あまりにも大きい。
だけど、・・・だけど、あえて言うけど、戦争って、一方がどうしても、何が何でも“やる!”って考えてるときに、それを回避するのは、当然だけど、結構難しい。ルーズベルトは、何が何でもやるつもりだった。だからこそ、11月26日っていうぎりぎりの段階でカードを切ってきた。外務省にその段階での巻き返しを期待するのは、ある程度、ルーズベルトの悪魔性を把握していることが前提でないと厳しいんじゃないかな。
のちに、『ルーズベルトの戦争責任』を書いたハミルトン・フィッシュのような下院議員がいたことを、高山さんは根拠にしている。上院議員のロバート・タクトやフーヴァー前大統領、それからリンドバーグなんかも反ルーズベルト勢力だよね。その彼らだって、ルーズベルトの悪魔性を見破ることはできてないように思うんだけどな。もちろん、あの段階でね。
さて、そのあとは、敗戦後の話。そうなると、もう体たらくでしかない。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
最初の章の題名が《「日本に外交はなかった」という言葉》という題名なんだけど、この言葉自体は、日清戦争の前年に北京へ赴く小村寿太郎の言葉で、「俺が本当の外交を見せてやる」という自負を語ったものと高山さんが言っている。
では、本当の外交とは何か。それが「日本にはなかった」ということを書いたのがこの本ということになるわけだ。本当の外交とは、・・・。最初の章にある宮崎さんの言葉を借りておきましょう。端的な言葉を選べば、《武器を伴わない戦争》。クラウゼウィッツの『戦争論』の言葉を宮崎さんも使ってるけど、もう少し噛み砕いた言葉なら、《軍事力と情報力を背景とし、地政学に基づく国家戦略を達成するための対外政策》ということか。
日本には、それがなかった。それを二人の、強烈な個性を持った老ジャーナリストが語るという本だな。対象とするのは“戦後”なんて狭い領域ではなく、日本の“歴史”そのもの。日本の“歴史”全般を相手にして「日本に外交はなかった」ことを検証していくということは、そこから、“外交”に不得手な日本人の特質を引き出し、それを理解したうえで、今後の“外交”に、その知恵を生かしていこうとする本ということね。
下の「目次」を見てもらえば明らかなように、“上・下”の2部構成ではあるんだけど、分量からすれば、古代から明治維新までが3分の1。明治以降が3分の2という割合。2人は歴史の学者ではなく、ジャーナリストですからね。その知見を、明日の日本に生かしていくと知れば、当然こうなるべきですよね。だけど、“上 古代から明治維新”が結構おもしろい。
特に、《朝鮮通信使》と《キリスト教》に関しては、大笑い。後日、覚書としてまとめておこう。
『日本に外交はなかった』 宮崎正弘・高山正之 自由社 ¥ 1,080 二人のジャーナリストが語る、外交から見た日本の混迷 |
《下 明治維新から現代》は、まずは、それ以前の話もあるけど、重大な点は、《なぜアメリカとの戦争を避けることができなかったか》ということになるよね。
高山さんは、「やり方次第では、開戦は回避できた」と言う。宮崎さんは、「外務省の能力が高ければ、日米開戦は100%なかったといえなくはない」とまで言う。同時に、「アメリカのあの執拗さを考えれば、やはりいつかは戦争になっていた」とも言っている。やっぱり、みんな、いろいろな思いを抱えてるんだね。
その外務省の能力だけど、・・・どの程度まで“高ければ”いいんだか分からないけど、確かに避けられた可能性もある。その可能性を放棄した結果があれだけの民族的悲劇だし、その後の日本、その後の世界につながるわけだから、その可能性を生かせなかったことの意味は、あまりにも大きい。
だけど、・・・だけど、あえて言うけど、戦争って、一方がどうしても、何が何でも“やる!”って考えてるときに、それを回避するのは、当然だけど、結構難しい。ルーズベルトは、何が何でもやるつもりだった。だからこそ、11月26日っていうぎりぎりの段階でカードを切ってきた。外務省にその段階での巻き返しを期待するのは、ある程度、ルーズベルトの悪魔性を把握していることが前提でないと厳しいんじゃないかな。
のちに、『ルーズベルトの戦争責任』を書いたハミルトン・フィッシュのような下院議員がいたことを、高山さんは根拠にしている。上院議員のロバート・タクトやフーヴァー前大統領、それからリンドバーグなんかも反ルーズベルト勢力だよね。その彼らだって、ルーズベルトの悪魔性を見破ることはできてないように思うんだけどな。もちろん、あの段階でね。
さて、そのあとは、敗戦後の話。そうなると、もう体たらくでしかない。
産経ニュース 2017/01/15 【北朝鮮拉致】 飯塚繁雄さん「日本人として一緒に戦ってください」 被害者奪還、広島で国民のつどい http://www.sankei.com/world/news/170115/wor1701150038-n1.html (抜粋) 北朝鮮による拉致被害者の奪還へ向けて、政府や支援組織「救う会」などが主催する「拉致問題を考える国民のつどい」が15日、広島市で開かれ、家族会代表で田口八重子さん(61)=拉致当時(22)=の兄、飯塚繁雄さん(78)は「毎年『今年こそ』と思いながら結果が出ていない。一人の国民、日本人として一緒に戦ってください」と力を込めた。 (続きを読む)に全文 |


産経ニュース 2017/01/15 【北朝鮮拉致】 飯塚繁雄さん「日本人として一緒に戦ってください」 被害者奪還、広島で国民のつどい http://www.sankei.com/world/news/170115/wor1701150038-n1.html (全文) 北朝鮮による拉致被害者の奪還へ向けて、政府や支援組織「救う会」などが主催する「拉致問題を考える国民のつどい」が15日、広島市で開かれ、家族会代表で田口八重子さん(61)=拉致当時(22)=の兄、飯塚繁雄さん(78)は「毎年『今年こそ』と思いながら結果が出ていない。一人の国民、日本人として一緒に戦ってください」と力を込めた。 今年最初のつどいの冒頭、加藤勝信拉致問題担当相は「被害者、家族は高齢で一刻の猶予もない。全力で取り組む」とあいさつ。被害者や特定失踪者の家族らが聴衆に訴えた。 新潟で拉致される1年前まで家族で広島に住んだ横田めぐみさん(52)=同(13)=の弟、拓也さん(48)は「大好きだった広島に姉を連れてきたい」と願いを語り、松本京子さん(68)=同(29)=の兄、孟さん(69)も「全員が一日でも早く元気で帰れば、それだけで良い」と話した。 救う会の西岡力会長は講演で、北朝鮮が核実験など軍事的緊張を高める中でも拉致被害者の奪還が最優先だとし、「日本政府を支えるのは世論だ」と強調。特定失踪者問題調査会の荒木和博代表も「世論の声が政府を動かし、北朝鮮の脅威になる」と呼びかけた。 |
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