めんどくせぇことばかり 『文豪山怪奇譚 山の怪談名作選』 東雅夫

『文豪山怪奇譚 山の怪談名作選』 東雅夫

『山怪奇譚』は山の怖い話。とはいうものの、その前に“文豪”と付いている。下の目次を見てね。すごい人たちの書いた、“怖い話”。“怖い話”とは言っても、ただ、恐怖を掻き立てるだけのゾンビ話じゃありません。砂漠だろうが、なんだろうが、ところ構わず、いたるところに、いつ何時でも現れるゾンビと違って、“それ”は、その居るべきところにいて、出るべき時に出る。

文豪たちは、その居るべきところをあらわし、出るべき時を盛り上げる。最近の山の怪談は、時にゾンビ話に引っ張られたかと思わせるものも時に見受けるが、さすが、文豪の、それも“名作選”ですからね。

いずれも、ひと時代前。人の住処は、それらの居場所のすぐ隣りにあって、日が暮れれば、人はとたんに、それらに時間を明け渡さなければならない。

『魚服記』に太宰治が書いているが、妙に静かな晩には、山ではきっと不思議が起こる。天狗の大木を切り倒す音がめりめりと聞こえたり、小屋の口のあたりで、誰かがあずきをとぐ気配がさくさくと耳についたり、遠いところから山人の笑い声がはっきり響いてくるものなのだ。それが、ごく当たり前のことなのだ。そういう場所であり、そういう時が設定されれば、それらは、人のすぐそばまでやってくる。



山と渓谷社  ¥ 972

願わくは、山行に本書を携え、気に入りの作品を味読朗読されんことを・・・。するか❢

千軒岳にて(火野葦平)
くろん坊(岡本綺堂)
秋葉長光(本堂平四郎)
鉄の童子(村山槐多)
薬草取(泉鏡花)
夢の日記から(中勘助)
山の怪(田中貢太郎)
河原坊(宮沢賢治)
百鬼夜行(菊池寛)
鈴鹿峠の雨(平山蘆江)
魚服記(太宰治)
山人外伝資料(柳田国男)

山は、信じられないほど美しい。とてつもなく清らかで、たどりつけないほど高潔である。多くの人は、そこには何か不思議な力が働いていると感じる。神秘的な気配にはっとさせられることも少なくない。

山は、危険でもある。足元は柔弱で、時には険阻で、人を恐れさせる。山がいったん牙を向けば、そこは人が生きていける場所ではなくなる。気まぐれに、いとも簡単に、人の命を奪うこともある。

本の題名をクリックして、表紙を大きくしてみてください。大木に巻きついた蔦は、大蛇であったり、鵺であったり、鳥の化物であったりしている。彼らは人の目を感じて、蔦に紛れ込もうとしたが、少し、もとの姿を残してしまった。もしも気が付かなかったら、きっと私は、彼らに取り込まれてしまったのだろう。・・・よかった。

でも、ちょっと待って❢ よく見ると、私よりも前に、すでに取り込まれた人がいる。こちらの人は、目だけを残して、すでに大木と一体化している。蛇も鵺も鶏も、この大木の眷属か。

山に行ったものが、何がしかの理由で帰らないことがあれば、そのときには、ありとあらゆる可能性が語られることになる。かつて、山で不思議な声を聞いたものは、その声の主にあったと考える。かつて、沢に足を取られたものは、淵の主の怒りに触れたと考える。

“それ”は居るべきところに居るし、出るべき時に出る。だから、そこでは頭をたれて、その時には謙虚であるべきだ。・・・ブルドーザーで山を削ってゴルフ場にするなんて、絶対しちゃいけない。・・・きっと罰が当たる。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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