『果てしなき追跡』 逢坂剛
逢坂剛の《イベリアシリーズ》をワクワクしながら読んでいた。1999年に始まったシリーズで、完結の第7巻が2013年。間があくので、本屋に行くたびに確認した。新しいのを見つけた時の、あの気持が懐かしい。あの時は、《第二次大戦中のスペイン》という特定の舞台があって、そのなかで架空の人物、北都昭平を活躍させた。
今度は、ちょっと様子が違う。主人公は、“函館で死んでなかった”土方歳三だ。・・・そうか、“函館で死んでなかった”という時点で、この土方歳三も、架空の人物であることには違いないか。
函館で負傷した土方歳三は、気を失ったままで、沖合に停泊中のアメリカ船に運ばれ、アメリカに渡ることになる。本人の意志も何も関係ない。なにしろ、アメリカ船のなかで目を覚ました土方は、記憶を失ったいたのだから。
その土方の面倒を見るのが、同郷の娘、時枝ゆら。しかし、二人は、船を降りるやいなや、密入国者として追われる身となる。右も左も分からないアメリカで、たちまち追われる身となる二人。追うのは、初対面の土方に目を潰された因縁を保つシェリフ、マット・ティルマン。
舞台は、アメリカ西部。登場するのは、船乗り、カウボーイ、インディアン、KKKから派生したQQQ、それを追う国境警備隊。逢坂剛ならでは、と言った感じだな。「面白くないはずがない」という意味です。

土方は、案内役のピンキーをさらったQQQの行方を追う。その土方を、シェリフのティルマンが追う。ティルマンの行先に土方が居るはずと、別れ別れになってしまったゆらが追う。ゆらが追ってくることを承知して、ティルマンが由良に罠を張る。
題名は『果てしなき追跡』。たしかに果てしない。追い、そして、逃げる彼らがさまようのは、アメリカ西部の大地。そう、まだこの国が一つの国家になって間もないころの話。この国が一つになった南北戦争の傷跡が、あちらこちらに残る時代。
この時代に、インディアンは消されていき、黒人は“解放”という名のもとに放置されていく。それでも、トムソーヤや、ハックルベリー・フィンが走り回るには、少し時間がかかる頃。
そんなアメリカに、日本は関わりを持っていくんだよね。さまざまな追跡のはてに、すべての解決が最後に描かれる。しかし、それは、予想したものとちょっと違うようだ。んんん?・・・そこで終わっちゃったんですよ。続きは次巻ということ。また、本屋でため息をつく日々が始まる。
幕末維新の頃、アメリカに渡ってカウボーイと関わった話が、昔あった。三船敏郎と、チャールズ・ブロンソンと、アラン・ドロンの共演というスゲー映画だった。『レッド・サン』だったかな。秩父の革新館っていう革新的な名前の映画館で見たぞ。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
今度は、ちょっと様子が違う。主人公は、“函館で死んでなかった”土方歳三だ。・・・そうか、“函館で死んでなかった”という時点で、この土方歳三も、架空の人物であることには違いないか。
函館で負傷した土方歳三は、気を失ったままで、沖合に停泊中のアメリカ船に運ばれ、アメリカに渡ることになる。本人の意志も何も関係ない。なにしろ、アメリカ船のなかで目を覚ました土方は、記憶を失ったいたのだから。
その土方の面倒を見るのが、同郷の娘、時枝ゆら。しかし、二人は、船を降りるやいなや、密入国者として追われる身となる。右も左も分からないアメリカで、たちまち追われる身となる二人。追うのは、初対面の土方に目を潰された因縁を保つシェリフ、マット・ティルマン。
舞台は、アメリカ西部。登場するのは、船乗り、カウボーイ、インディアン、KKKから派生したQQQ、それを追う国境警備隊。逢坂剛ならでは、と言った感じだな。「面白くないはずがない」という意味です。
『果てしなき追跡』 逢坂剛 中央公論新社 ¥ 2,052 函館で死んだのは、土方歳三ではなかった。本物の土方は、沖で停泊中のアメリカ船に担ぎ込まれた |
土方は、案内役のピンキーをさらったQQQの行方を追う。その土方を、シェリフのティルマンが追う。ティルマンの行先に土方が居るはずと、別れ別れになってしまったゆらが追う。ゆらが追ってくることを承知して、ティルマンが由良に罠を張る。
題名は『果てしなき追跡』。たしかに果てしない。追い、そして、逃げる彼らがさまようのは、アメリカ西部の大地。そう、まだこの国が一つの国家になって間もないころの話。この国が一つになった南北戦争の傷跡が、あちらこちらに残る時代。
この時代に、インディアンは消されていき、黒人は“解放”という名のもとに放置されていく。それでも、トムソーヤや、ハックルベリー・フィンが走り回るには、少し時間がかかる頃。
そんなアメリカに、日本は関わりを持っていくんだよね。さまざまな追跡のはてに、すべての解決が最後に描かれる。しかし、それは、予想したものとちょっと違うようだ。んんん?・・・そこで終わっちゃったんですよ。続きは次巻ということ。また、本屋でため息をつく日々が始まる。
幕末維新の頃、アメリカに渡ってカウボーイと関わった話が、昔あった。三船敏郎と、チャールズ・ブロンソンと、アラン・ドロンの共演というスゲー映画だった。『レッド・サン』だったかな。秩父の革新館っていう革新的な名前の映画館で見たぞ。


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