めんどくせぇことばかり 『兵士に聞け-最終章』 杉山隆男

『兵士に聞け-最終章』 杉山隆男

略歴によれば、著者は、1996年に『兵士に聞け』で新潮学芸賞を受賞して以来、『兵士を見よ』、『兵士に告ぐ』と“兵士シリーズ”を世に送り出し、この『兵士に聞け-完結編』が、題名通り、本作の完結ということのようです。

おそらく、この“兵士シリーズ”。このうち何冊かは読んでいる。おそらく、最初の『兵士に聞け』も読んでいると思う。それが1996年だから、21年越しのお仕事だったわけだ。・・・おっと、読んだ中に買いてあったんだった。取材を含め、足掛け24年、四半世紀に近い仕事だったんだな。

逆に、なぜ今やめるのかという疑問が湧いてくる。このシリーズ“最終章”の中でも色濃く語られているとおり、2012年の尖閣国有家以来、“国防”という仕事は生身の身体を持って、私達の前に現れたかのような状況だ。まさに、今こそ、“兵士たち”に聞いてみたいのではないのか。

・・・と、私なぞが問題提起するまでもなく、理由は“あとがき”にありました。2012年以来の新たな状況のなかで、取材環境が激変したことが原因だそうだ。これまで、著者は、F15にも体験搭乗しているし、このシリーズではP-3Cに乗っている。過去には潜水艦の訓練後悔に同行したこともあるそうだ。つまり、これまで自衛隊は、そこまでの突っ込んだ取材を許可してきた。

ところが、今回、著者の取材先には、必ず、基地幹部が同席し、家族へのインタビューに関しては、これまでと打って変わって、誰も応じてくれる自衛隊員が現れなかったという。

日本人としての自衛隊員を、彼らの人生を生きる“個”としての、等身大の自衛隊員を描き出すことが困難となっては、これまでどおりの『兵士に聞け』は書けない。・・・そういうことのようだ。



新潮社  ¥ 1,728

一般人には知られていないが、彼らのまわりには、戦争がある
第一部  オキナワの空
第二部  センカクの海
第三部  オンタケの頂き
エピローグ  神は細部にやどり給う

“自衛隊”と呼び変えてみたところで、その使命が“国防”である以上、やはり彼らの本質が“兵士”であることに違いはない。この本の題名として、あえて“兵士”という言葉が使われているのは、著者にそんな気持ちがあるからだろう。そして、彼らは“兵士”である以上、有事か平時かの別に関係なく、常に“国防”のために、その生命を使わなければならない立場にある。

なかでも航空自衛隊は、その傾向が顕著である。彼らは常に、機の性能の限界と向き合わなければならない。本書の“第一部 オキナワの空”では、F15戦闘機でスクランブルに備える“兵士”が、“第二部 センカクの海”では、東シナ海に潜む人民解放軍の潜水艦を追い回すP-3Cに乗り込む“兵士”たちが紹介されている。

その任務にかける心構えは、まさに“兵士”そのものである。特に、P-3C隊長が結婚の時に妻に依頼したことは、心に残った。「もし自分たちが乗った飛行機に何かあったら、十人の部下のご家族を一軒一軒訪ねて、機長の妻として頭を下げてくれ」

そこまでの心構えは、通常の仕事には、まずありえない。本来、それなりに評価を受けることのできる社会であった欲しい。

“兵士シリーズ”が終わるのは惜しい。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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