めんどくせぇことばかり 『たとえ世界が終わっても その先の日本を生きる君たちへ』 橋本治

『たとえ世界が終わっても その先の日本を生きる君たちへ』 橋本治

あれ~? 橋本治さんって、こういうものを書く人だったんだ。・・・そんなこと言ってみたものの、もとから私はこの人のことは、知らないも同然。たしかに、この人の書いたものを読んだことはある。『桃尻娘』。強いインパクトを受けているはずなんだけど、記憶にはない。橋本治さんの執筆活動をどこかで意識しながら、横目でちらちら見ながら通り過ぎてしまった感じかな。

そんな橋本さんの本に、はじめて正面から触れる機会だっていうのに、せっかくこっちはその気になったのに、「喋れば手っ取り早く本になる」ってことで、喋った本。とんだ肩透かし。肩透かしには肩透かしで返して、ななめ読みでいいか。そうは思ったものの、読み始めると、喋ったないように引き込まれた。

なにしろ、話は、アレキサンダー大王から始まるのだ。ローマで、トゥール・ポワチエで、シャルルマーニュなのだ。私が引き込まれないはずがない。この人が、こういうふうに世界をとらえることができる人だということに驚かされるとともに、確実に今につながってくる。この人の口を突いて出てくる話は、単なる歴史上のできごとじゃない。これは地政学的考察だ。

《喋り》の動機は、イギリスがEUの離脱を選択したこと。そこに彼は、《世界の終わり》を感じ取った。感じ取ったというよりも、確信したという方がいい。それは、橋本さんの中に、長く疑問符付きで蓄積されてきたものが、あふれだすように“確信”に変わった瞬間だったろう。

『たとえ世界が終わっても その先の日本を生きる君たちへ』 橋本治

集英社新書  ¥ 821

崩壊に近づくEU、トランプ、云々総理 「世界がばかになっている」時代に染まらないために
序章  イギリスのEU離脱を見ながら考えた
第一章  バブルになるとどうなるのか
第二章  「ヨーロッパ」という謎を解く
第三章  経済は飽和したら終わるものだ
第四章  バブルを経て「社会」が消えた
第五章  なにを言ってもㇺダな人たち
第六章  世界が終わった後に
終章  不思議な王子様のモノローグ


そういう言い方はしていないけど、ヨーロッパというのは半島だ。地政学的に考えて、半島は、その根元をおさえられると窒息してしまう。しかも、その根元というのはオリエント世界なのだ。東欧から、ロシア、シベリアへと続く領域は通路ではあっても、その先に世界は広がらない。ヨーロッパ人にとって外に広がる世界は、オリエントの先にあるのだ。しかも、地中海のはるかな対岸をおさえたイスラム勢は、ジブラルタルを超えてイベリア半島までも、ヨーロッパから奪い取った。

ヨーロッパという半島は、そうして締め上げられた。

しかし、15世紀以降、半島の蓋は、思わぬところから開き、1000年ころから圧縮されてきたヨーロッパが、シェイクシェイクされたコーラのように、世界にあふれだした。

世界が多様であることを知らない者はいない。古くから影響を与え合って来た。しかし、長らく根元をふさがれ、頭を押さえつけられてきたヨーロッパがあふれ出してきたとき、彼らは多様な世界から何かを受け取ろうとはしなかった。

彼らは自分の望むすべてを手に入れようとしただけだ。そして、実際そうしてきた。日本も、そんな流れの中に巻き込まれてきたのだ。

EUは、ヨーロッパが相対的な力の低下を免れなくなったとき、何とか今まで通りの拡大の道を進みたいととった苦肉の策。イギリスのEU離脱は、それにさえ疲れ果てたイギリス国民の選択であった。

橋本さんは、イギリスのEU離脱を、さらにはアメリカ国民のトランプ選択を、大きな歴史の変わり目、《世界の終わり》として捕まえているようだ。それはそれ、そういう認識の中に身を置くのも一つの見解だと思う。

題名は『・・・その先を生きる君たちへ』だが、橋本さんは、本当に若い連中を頭に、この本を書いたのだろうか。なんか、どうも、終わる世界と運命をともにする私たちに向けて書かれているような気がしてね。それはそれでいいんだけど、わけの分からない新しきものに腹を立てながら朽ちていくのは、なんとしても口惜しい。そこは日本人。どうせ散るなら、いっそ潔く、せえの❢ってね。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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