めんどくせぇことばかり 『お盆のはなし』 蒲池勢至

『お盆のはなし』 蒲池勢至

私の家は本家で、父が7人兄弟だったので、お盆といえば、親戚がたくさん集まって、とても賑やかだった。うちの方のお盆は8月で、3人のおばは、いずれも長男に嫁いでいて、自分のところも本家だったけど、いとこたちは遊びに来た。一緒に叔父に連れられて、川に魚捕りに行ったり、川遊び、山遊び、スイカ食って、夜は花火で、本当に楽しかった。

あの頃、お盆が近づくたびに、どうにも納得出来ないことがあった。その年の夏になってから捕まえた各種、数々の虫たちを逃してやらなきゃならない。ご先祖様が帰ってくるから、あの世に行った人たちの供養のために、殺生は禁止。虫取りもダメだし、捕まえてあった虫もみんな逃してやるってのが、親からの無理難題だった。・・・どうして魚釣りはいいん?池の金魚はいいん?卵は食っていん?

自慢の強くて赤っぽいカブトも、貫禄のあるハエトリカン(ミヤマクワガタのことをそう呼んだ)も、水槽に放り込みっぱなしのタガメもゲンゴロウもミズカマキリも、みんなダメなん? 隣の地区の子は、そんなこと言われてねーで。

そんな餓鬼の頃の怨念はともかく、お盆の話。お盆は仏教の行事で、根拠になるのは“盂蘭盆教”というお経だそうで、シナでは西晋の時代に翻訳されたとか。盂蘭盆はサンスクリット語では“ウランバーナ”。一説にはイラン語の“ウルヴァン”に由来し、その意味は「死者の霊魂」とか。それはそれでピッタリ来ますね。

ところが、シナ翻訳の盂蘭盆教をとおすと、死んで地獄・餓鬼・畜生道に落ちた親族を救うために、生きた人間が供養をするなんてことになる。供養をすれば、あの世で親族が救われるなんて、なんてシナらしい、生々しいお経なんでしょう。

自分は三男で、お寺づきあいをする必要はなかったんだけど、お盆には惣領が“施餓鬼”に行くね。この、お寺で行われる施餓鬼と、あの世から帰ってくるご先祖様をお迎えしてお祭りするという二本立てで、お盆という行事が構成されているように思う。

施餓鬼が表で、ご先祖様が裏。施餓鬼が外で、ご先祖様が内。施餓鬼が公で、ご先祖様が私。施餓鬼が新で、ご先祖様が旧。・・・そんな感じ。じゃあ、施餓鬼が仏教で、ご先祖様は・・・日本?


法蔵館  ¥ 1,296

宗教を語る本ではありません 実は、今の日本にはなくなった家族を語る本です
「盆」は仏教行事か
盆行事の歴史と成立
盆行事の諸相
真宗と盆
お盆の行方ー死者と聖者の交流


人間が生きていくのって、とても大変なことだったから、みんないろいろな工夫をしてやってきた。お盆はご先祖様と生きている人の交流で、それを通して日本人は家を守ってきた。家を守ることが自分を守ることであった。親族が連帯し、家を守り、家族を守るってことは、本当に大変なことだった。

昭和初期生まれの父や母の人生を思うと、たいへんさが身に染みる。だけど、若いころは、それを呪った。最も避けたい生き方だったし、頭から否定してかかった。

長男が家を継いだので、18で家を出た私は、たまに親に顔を見せるの程度で、親が死んだあとは、冠婚葬祭の付き合いくらいのもの。いつしか自分が家庭をもって、おそらく私の子供は、私が若いころに感じたような家庭観はもってない。

私は反発したし、否定もしていたけど、今になると、なぜか、あの家が懐かしい。むやみやたらと、懐かしい。

私と同じような家庭観を持たないであろう私の子供たちは、おそらく私と同じような“懐かしさ”も、持たないのではないだろうか。

子どもにとって、もう少し、居心地の悪い家庭を作らなきゃいけなかったかなと、反省している。

お盆は、毎年、秩父の実家に帰って、二人の兄と酒を飲む。父や母は、いつもそれを見ているんだろうと、確信している。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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