北朝鮮危機(覚書)『世界一わかりやすい地政学の本』 倉山満
米によるシリアへの攻撃、それから、米軍がアフガニスタンで使用した大規模爆風爆弾は、核を除けば最強兵器だとか。その攻撃は、それ独自の意味があるだろうけど、同時に北朝鮮、チャイナ、ロシアに対する強烈なアピールでもある。
トランプは、習近平との会談中にシリアへの攻撃を告知したという。その後、“米中蜜月”なんて記事も読んだけど、王毅外相の必死の形相が物語るのは、“蜜月”などという甘ったるい言葉ではなく、アメリカの力に対する“恐怖”ではないか。
実際、いつになく、チャイナは北朝鮮封じ込めに動いている。実はアメリカは、このタイミングで、南シナ海にミサイル駆逐艦を派遣している。北朝鮮の核実験に備えて、有事の際のルーティーンを確認するためということらしい。しかし、このタイミングで南シナ海となれば、チャイナへのメッセージとしか受け止められない。
それに対する北朝鮮の動きだが、米中会談の結果を説明するために、武大偉朝鮮半島問題特別代表を派遣するという申し出を、北朝鮮側が拒否したらしい。
「らしい、らしい」ばかりと思われるかもしれないが、これは16日朝までに拾った各メディアニュースをもとにしている。
『世界一わかりやすい地政学の本』 倉山満 ヒカルランド ¥ 1,750 地政学は学問というより技術 これをわからずして世界の動きは読めない |
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チャイナやロシアからアメリカに対して、自制を求めるメッセージが発信されている。これまで、チャイナやロシアの行動にアメリカが自制を求めるのが常であったことを思えば、その立場は完全に逆転した。「なぜ世界一の軍事力を持ったアメリカが、守勢に回らなければならないのか」、・・・そんなトランプの声が聞こえてきそうだ。
産経ニュース 2017/04/14 (続きを読む)に全文 |
産経ニュース 2017/04/14 【北朝鮮情勢】「非核化は外交的手段で」露外務次官、米国を牽制 http://www.sankei.com/world/news/170414/wor1704140047-n1.html (全部)ロシアのリャプコフ外務次官は14日、「朝鮮半島の非核化に関するあらゆる問題は、政治・外交的手段で解決されなくてはならない。武力による圧力は望ましい効果を生まない」と述べ、北朝鮮への軍事的圧力を強める米国をけん制した。インタファクス通信が伝えた。 (続きを読む)に全文 |
今日は、本よりも、これらのニュースを紹介したくてこの記事を書いた。ただ、この、倉山さんの本に書かれていることが、まさに立証された。
それは、世界の地政学、さらには東アジアの地政学においても、日本はそのプレイヤーではないということだ。あまりにもあからさまなので、もはや受け入れることに、何の抵抗もできない。
問題は、♬ 右を向いても左を見ても ♬、上記のような切迫した状況はどこ吹く風。テレビ番組はいつもと同じだし、日本人の関心事の、少なくとも第一位には登らない。日本人は、日本が味噌っかすであることを熟知しているし、それを受け入れているし、甘んじているなんてもんじゃない。謳歌しているのだ。
ロシアの政府系メディア“スプートニク”は、北朝鮮の核実験は、15日の金日成の誕生日か、25日の朝鮮人民軍創設85周年に行われるだろうと予測している。


産経ニュース 2017/04/14 王氏はまた、「中国では“危”の中に“機”があるという。朝鮮半島の緊張が激化する中、対話の機会をつかまなければならない」と述べ、平和的解決を目指す新たな事態打開策を検討していると明らかにした。 対話をめぐっては、中国が武大偉朝鮮半島問題特別代表ら高官を北朝鮮に派遣する可能性も取り沙汰されている。中国外務省の耿爽報道官は同日、武氏の訪朝について「分からない」としながらも、「中国は関係各国と密接な意思疎通を保っている」と強調した。 核実験の準備を進める北朝鮮に対しては「関連の動向を注視している。国連安全保障理事会決議は、あらゆる核活動を停止しなければならないと明確に規定している」と牽制した。 その一方で、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に向けた動きが加速していることに関し、耿報道官は「朝鮮半島の緊張が激化したのは、米韓両国がTHAAD配備を決定してからだ」と主張、「中国は国家の安全利益と地域の戦略バランスを守るため、必要な措置をとる」と改めて警告した。 |
産経ニュース 2017/04/14 【北朝鮮情勢】「非核化は外交的手段で」露外務次官、米国を牽制 http://www.sankei.com/world/news/170414/wor1704140047-n1.html (全部) ロシアのリャプコフ外務次官は14日、「朝鮮半島の非核化に関するあらゆる問題は、政治・外交的手段で解決されなくてはならない。武力による圧力は望ましい効果を生まない」と述べ、北朝鮮への軍事的圧力を強める米国をけん制した。インタファクス通信が伝えた。 リャプコフ氏はまた、米国がアフガニスタンでイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の施設に投下した大規模爆風爆弾(MOAB)を北朝鮮やシリアでも使用するのではとの観測をめぐり、根拠がないとの見方を示した。 ロシア外務省のクリク・アジア第1局長は13日、モスクワの北朝鮮大使館で行われた式典で、ロシアが北朝鮮、また関連諸国と「緊密に協力する用意がある」と発言。クリク氏は、ロシアが「北朝鮮を含む、周辺諸国の安全が確保されることを望む」と強調した。 ロシアは北朝鮮との関係を維持し、欧米との間を取り持つことで、国際社会への発言力を維持する戦略をとるといわれる。(モスクワ 黒川信雄) |
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