めんどくせぇことばかり 『もう時効だから、すべて話そうか』 一橋文哉

『もう時効だから、すべて話そうか』 一橋文哉

この本を見たとき、最初、てっきり『一橋文哉』という題名の本かと思った。著者は、通常を超えて、自己顕示欲が強いのか。・・・ムムッ、犯罪の匂いがする。

まあ、こんだけ犯罪取材の世界にどっぷりつかってりゃ、その程度の“香”は漂わすだろうし、精神的にも、こちら側の世界に軸を残すために、それなりの努力をされているに違いない。

私は、つらいことからは目をそらす。悲しいニュースは極力見ない。千葉県の小学生殺人事件を避けるために、どれだけチャンネルを回したことだろう。

だけど、この本でこれだけ読まされると、否応もなく理解せざるを得なくなる。かりにチャンネルを回してその事件から目をそらすことができたとしても、いつか現実の世界で今の日本社会の現実を突きつけられる。もうすでに、孫たちが社会の主役。孫たちの時代だからな。・・・保育園児だけど。

“血”と“地”のつながりを、ただの悪しき因習として退けてきたのが戦後の姿だった。そのなかに、新しい生き方を提示されて、多くの人がそれに飛びついていった。私もその一人だった。音頭を取ったのは、戦後民主主義を引っ張った人たち。提案された“家族からも自由に、地域にも縛られない、新し生き方”。わおぅ❢

あるいは人に秀でたなにがしかの才能を持っていたりすると、場合によっては、血だの、地だのが邪魔になることもある。“邪魔じゃないか、煩わしいじゃないか・・・ねえ”って言われて、思わずうなずいて若い頃を行きてきたけど、この歳になると、やたらと邪魔にしてきた、煩わしく思ってきたものが懐かしい。

そう、かつて、“血”や“地”は、世間の大半の人間を保護し、おそらくは必然的に生まれてくる“鬼”を封じ込める役割も担わされていたんだろうと思うんだけどな。



小学館  ¥ 1,728

グリコ森永事件 3億円事件 宮崎勤連続幼女誘拐殺人 酒鬼薔薇聖斗 八王子スーパー射殺
第1章  身勝手過ぎる凶悪犯罪に喝!
第2章  女心ほど不可解なものはない
第3章  未解決に陥るには理由がある
第4章  絶対正義をうたう司法の裏切り
第5章  グリコ森永事件こそ私の原点だ
第6章  スクープのコツはここにあり
第7章  アスリートと芸能人を支配する闇
第8章  少子高齢化社会は病んでいる

1998年か。もう、ずいぶんと昔の事件なんだな。和歌山県の毒入りカレー事件。結局、決定的な証拠があるわけじゃない。《疑わしきは罰せず》ってところから考えれば、有罪、死刑は難しいんじゃないかくらいに思ってた。でも、警察の“捜査”ってのはすごいもんですね。この事件、林眞須美が犯人であることを立証したんじゃなくて、林眞須美が犯人でないことはありえないことを立証したんだそうです。つまり、複雑なジグソーパズルの周囲をすべて埋め尽くして、最後に林眞須美というピースを残して完成させた。

ものすごいね。

さて、死刑っていうのは平日の午前中、9時ごろに執行されるんだそうだ。その告知は、朝食後の8時ごろ、つまり、執行のおよそ1時間前に行われるという。いつもと違う刑務官が房の扉を開け、外に出るように命じた瞬間、死刑囚たちは運命を悟ることになるんだという。
刑場はカーテンで半分に仕切られ、手前に阿弥陀如来像と十字架が安置された祭壇があり、奥には天井から太さ3センチのロープが吊り下がる。奥の中央に、ボタン操作で下に開く約1メートル四方の踏み板がある。

目隠しと手足を縛られた死刑囚がその前に立ち、首にロープをかけられる。数秒後、別室で3~5人の刑務官が一斉にボタンを押すと、その中の一つと連動した踏み板が開き、死刑囚が大きな音を立てて落下する。

踏み板から下の床まで4メートルある。十数分後、医師が脚立を上がって死刑囚の左手首の脈と心音を確認し、心停止を宣告して刑の執行が終了する。
本書p123

2001年に大阪教育大付属池田小に乱入して児童8人を殺害した宅間守は、「死ぬことは快楽だ」とかほざいて、多くの犯罪嗜好者が憧れるカリスマだったんだそうだ。その宅間も、いざ刑場に向かうときには、腰が抜けて一人で歩けず、大勢の刑務官に腕を抱えられて、引きずられていったんだそうだ。

連続幼女誘拐殺人の宮崎勤は、最後まで死刑の執行を免れようとしていたんだそうだ。幻聴に苦しめれらていると向精神薬を服用していて、弁護士はそれを理由に精神鑑定を依頼し、状況によっては再審請求する予定だったそうだ。精神障害を装っていたのに、ついつい焦って、死刑廃止派の弁護士に悲壮感漂う手紙を送ってしまったんだそうだ。それを知った法務省は、逆に彼が正常で、死刑の意味を理解し刑を受ける資格を有すると判断したんだそうだ。

彼の刑の執行は、けっこう執行順位を飛び越えて行われたんだそうだ。

彼の房の前に刑務官が立ったとき、彼は「あっ」っという声を漏らしたそうだ。

どんなにそこに近づいても、その向こうに行く人と、とどまる人の差は、きわめて大きい。もともと、そういう人って、いるんだと思う。だけど、それでも大半は、こっちにとどまっているはず。

世の中には、その人たちの背中を押してしまっているできごとが、おそらく毎日毎日起こっているんだろう。

“穢れ”思想は、同時に、さまざまな歴史的不合理を生み出してきた。しかし、小さな“穢れ”を遠ざけることで、大きな災いを免れる知恵ってのが、こういう出来事をも対象にしていたのかもしれない。

最近の、国内のニュースを見ていると、ついついそんなことを考えてしまう。




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「歴史修正主義」とは、戦前の日独をことさら評価する史観ではない。
米英両国の外交に過ちはなかったのか。
あったとすればそれは何だったのか。
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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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