イギリス(覚書)『アメリカと中国が世界をぶっ壊す』高山正之 福島香織
チャイナっていうのは人口の多いところで、世界の工場たるイギリスの商品を売りさばくのにうってつけの場所だった。インドに続いてチャイナを手に入れれば、イギリスの安泰は、この先も100年は続く。東アジア諸国は、それぞれ独自の外交制限を設けていたが、イギリスにすれば何の事はない。いまさらアジア人をヨーロッパ人同様に扱うつもりなど、さらさらない。卑劣な方法であろうが、なんだ。誰が大英帝国に意見できるんだ。まして、相手はアジア人だ。
そのイギリスが、キャメロン政権でチャイナに接近した。かつてのように、アヘンを売りつけようって算段じゃない。チャイナが設立を提唱したアジアインフラ開発銀行に、G7から参加を表明したのは、2015年3月のイギリスが最初だった。イギリスの参加表明は、そののちのフランス・ドイツ・イタリアの参加を引き出す結果となった。
その年の10月には習近平が、イギリスを訪問し、7兆4千億円の投資計画を持ちかけた。
産経ニュース 2015/10/26 【習近平訪英】「血税何百億ポンドでバッキンガムの食券買った」 中国ネット「ばらまき外交」と冷淡 http://www.sankei.com/world/news/151024/wor1510240059-n1.html (抜粋) 【北京=矢板明夫】中国の習近平国家主席は24日、4泊5日の英国訪問を終えて帰国した。同日付の中国各紙は「中英の蜜月関係を築いた旅」「中英の黄金時代はこれから始まる」などと習主席の外遊の成果を高く評価する記事を大きく掲載した。しかし、北京の外交関係者の間では「多額な投資を約束するなど英国に多くの実利を与えたが、中国には見返りが少ない」といった冷ややかな声が出ているほか、インターネット上では「ばらまき外交しかできないのか」といった批判も上がっている。 (続きを読む)に全文 |
『アメリカと中国が世界をぶっ壊す』 高山正之 福島香織 徳間書店 ¥ 1,404 掟破りのルールなき世界で、いい子ぶりっ子はやめ、日本は米中の腹黒さを見習ったほうがいい |
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そんなにもチャイナに擦り寄っていたキャメロンが退場して、テリーザ・メイに代わるとともに、軌道修正を始めている。4月には安倍首相が訪英しているが、習近平のときのような金を前提としたいやらしさはない。
時事ドットコム 2017/04/29 日英首脳、自由貿易を推進=メイ氏「北朝鮮に圧力」-EPA交渉、対EU優先 http://www.jiji.com/jc/article?k=2017042900063&g=eco (抜粋) 【ロンドン時事】安倍晋三首相は28日午後(日本時間同日夜)、英国のメイ首相とロンドンで昼食会を含め約2時間40分会談した。世界的に保護主義が台頭する中で、両首脳は自由貿易を強力に推進していくことで一致した。また、北朝鮮の核・ミサイル問題については「新たな段階の脅威」との認識を共有。メイ首相は「安倍首相や国際的なパートナーと共に北朝鮮に圧力を加え続けていく」と述べた。 (続きを読む)に全文 |
イギリスは日本にとても好意的になっているという。チャイナに擦り寄っていたキャメロン時代が嘘のように、チャイナを疑問視し始めている。キャメロンが習近平と約束したチャイナ製の原子炉についても再検討が入った経緯があるし、日本との間にも原子力関連の話が進行している。
風向きは、やはり変わったようだ。ブレグジットの選択とともに反日論の横行していた状況にブレーキが掛かり、日本を重視する傾向が強まっている。
EUを離れたイギリスにすれば、日本との親密な関係は重要なはず。同時に、キャメロンと違いチャイナに対して冷静な判断のできるテリーザ・メイ政権であれば、日本の重要性は高い。高山さんは“日英同盟”の名まで出すが、それも面白い。


産経ニュース 2015/10/26 【習近平訪英】「血税何百億ポンドでバッキンガムの食券買った」 中国ネット「ばらまき外交」と冷淡 http://www.sankei.com/world/news/151024/wor1510240059-n1.html (全文) 【北京=矢板明夫】中国の習近平国家主席は24日、4泊5日の英国訪問を終えて帰国した。同日付の中国各紙は「中英の蜜月関係を築いた旅」「中英の黄金時代はこれから始まる」などと習主席の外遊の成果を高く評価する記事を大きく掲載した。しかし、北京の外交関係者の間では「多額な投資を約束するなど英国に多くの実利を与えたが、中国には見返りが少ない」といった冷ややかな声が出ているほか、インターネット上では「ばらまき外交しかできないのか」といった批判も上がっている。 中国メディアは、習主席が103発の祝砲で迎えられたことや英国議会で演説したこと、それにキャメロン首相と友人のようにパブでビールを飲んだことを“大きな成果”と強調した。 中国はここ数年、南シナ海の領有権問題や歴史認識などをめぐり、東南アジア諸国や日本との対立が先鋭化し、強引な海洋進出姿勢と人権問題などで米国から厳しい批判を受けるなど、外交環境が悪化している。習主席は今回、英国との親密ぶりを演出することで「中国は孤立していない」と国民にアピールする思惑があったと指摘される。 ネット上には「人道上の理由でアフリカなどの貧困国に投資するのなら理解できるが、先進国の英国を私たちはなぜ助けるのか、納得がいかない」といった批判の声も寄せられている。 20日夜、習主席夫妻はエリザベス女王がバッキンガム宮殿で主催する公式歓迎晩餐(ばんさん)会に招待された。中国メディアは「異例の手厚いもてなし」などと絶賛したのに対し、ネット上では「われわれの血税を何百億ポンド分も使ってバッキンガム食堂の食券を買った」といった習主席をからかう書き込みもあった。 中国国内では最近、景気が低迷しており、各都市で企業の倒産が続き、失業した農民工も急増している。「体面を守るためにばらまく金があるのなら国内の景気浮上に使ってほしい」といった、習政権の外交姿勢を批判する声が中国国内で高まりつつある。 |
時事ドットコム 2017/04/29 日英首脳、自由貿易を推進=メイ氏「北朝鮮に圧力」-EPA交渉、対EU優先 http://www.jiji.com/jc/article?k=2017042900063&g=eco (全文) 【ロンドン時事】安倍晋三首相は28日午後(日本時間同日夜)、英国のメイ首相とロンドンで昼食会を含め約2時間40分会談した。世界的に保護主義が台頭する中で、両首脳は自由貿易を強力に推進していくことで一致した。また、北朝鮮の核・ミサイル問題については「新たな段階の脅威」との認識を共有。メイ首相は「安倍首相や国際的なパートナーと共に北朝鮮に圧力を加え続けていく」と述べた。 安倍首相は会談後の共同記者発表で、「日欧が米国と共に自由貿易の旗を高く掲げなければならない。英国と日本は手を携え、リーダーシップを発揮していく」と強調。メイ首相も「貿易障壁を引き下げ、グローバル化により利益を得る経済を築く」と明言した。 両首脳は、英国の欧州連合(EU)離脱後も日英経済関係を維持・強化していく方針を確認。日英2国間の経済連携協定(EPA)の可能性も話題となったが、安倍首相は「まず日EU・EPAの早期の大枠合意に向けて最大限努力する」として、EUとの交渉を優先させる考えを示した。 |
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