めんどくせぇことばかり 『山怪 弐 山人が語る不思議な話 続編』 田中康弘

『山怪 弐 山人が語る不思議な話 続編』 田中康弘

山里に住む人、山で仕事をする人が経験した、不思議な話を集めた本。『山怪』の続編ね。かつては誰でもが感じてきた、珍しくもなんともないこと。そんな話を集めた本。今ではとても、貴重な話を集めた本だな。

山の中での話じゃなくて、自分の家で、私が中学生の頃に経験したこと。

日曜日の真っ昼間、たしか午前中だった。私は居間で、ひっくり返ってテレビを見ていた。そんな私に何の関心も示す様子もなく、母が玄関から入ってきて、居間を通過して、台所へ向かった。それだけのこと。ただし、その母の後ろ、1mくらいのところを、20cmくらいのぼんやり光る玉のようなものが、スーとついて行った。それは、それは、とても自然なできごとで、なにかしら疑問を挟むことがはばかられるくらいに。言ってみれば、小さな子供が母親の後ろについていくような。あるいは、散歩中の犬が、飼い主に従うような。

人形や面は、いつも不気味だった。箪笥の上の、フランス人形。階段を登りきったところの壁にかかった般若の面。間違いなく、なにがしかが宿っていた。もしもそれらが、完全に無機質な物体であったなら、そこに存在するだけで、あんなにも私を恐怖させることはできなかったはずだ。

一日中を通して、奥の部屋、そこは祖父母の寝室であったが、その部屋からは、いろいろな音が聞こえた。

私は末っ子の味噌っかすで、もとは農家の大きな家に、一人でいることも少なくなかった。そんな私が寂しがらないようにという気遣いだろうか、いろいろなものが私に近づいていた。そして、その気配を私に感じさせ、「ここにいるよ」と告げるのだ。・・・なんて迷惑な話だ。


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人知を超えた何ものか そしてそれを恐れ、敬う心 かつては当たり前だったもの
Ⅰ  胸騒ぎの山
Ⅱ  彷徨える魂
Ⅲ  森の咆哮

これは、ほんの数ヶ月前のこと。やはり一人で山道を歩いた。まあ、山と高原地図で言うならば、あまり人の入らない破線の道。距離にして、2kmほどの距離、なんてことない道。そのくせ、歩いていて、やたらに後ろに、何かを感じる。それがやたらに嫌な感じ。樹林の中の道で、曇り空もあって薄暗い。我慢できずに、一度だけ、振り返る。なにもいない。もう一度歩き出す。さっきより何かとの距離が縮まっている気がする。でも、もう振り返ることができない。樹林を抜け、舗装道路に出る。そこでようやく気配が消えた。ああ、怖かった。

高校生の時に、御来光を見ようと、友人と二人で夜間登山をした。だいぶ後ろから、やはりご来校を見ようとしているのだろう。ライトが揺れているのを見た。私たちが山頂についた時は、たしかにそのライトは山頂を目指して、ついてきていた。しばらく待っても登ってこないので、確認に行くと、やはりライトはあった。でも、さっきとほぼ同じ位置。休んでいるのか。ライトは山頂に向かって揺れているように見えるが。しばらく待ったが、やはり登ってこない。確認に行ってみると、ライトは消えていた。

熊にあったこととはないが、犬にはあった。捨て犬か、逃げたのか。それも二頭。一頭は首輪をつけていたが、もう一頭に首輪もない。毛はボサボサ。腹のあたりは巻き上がっている。・・・これは競馬用語かな。左右に揺れながら、「ううう~」って低くうなりながら、私と対峙する。あれは怖かった。目をそらさずに、そっと座って、手近にある石を拾った。犬はしばらく左右に歩きながら私を物色し、ちょっともったいなさそうに、向こうに走り去った。あれは本当に怖かった。
私は定年間近ないい歳ですが、恥ずかしいとか、うれしいとか、怖いとか、いろいろん感覚に鈍感になってきているのですが、ときどき、突然恐怖に包まれることがある。最近では、先程書いた、山の中の気配。でも、その時感じたのは、それを感じることができることは、とても大事なことなんじゃないかということ。この先、どんだけそれを感じられるか、わからないしね。

何日かかけて、少しずつ読んだ。読むのはいつも、連れ合いの寝ている夜明け前。音楽もかけず、静かな中で読む。そのうち、家のあちこちから、いろいろな、小さな音が聞こえてくる。感じようとすれば、この家にも“気配”はあるのだ。・・・「ここにいるよ」って。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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