『戦争にチャンスを与えよ』 エドワード・ルトワック
気になるのはNGOだ。けっして“なんか、グッタリおじいちゃん”ではない。“non-governmental organizations”、非政府組織の方だ。
ルワンダでは、ツチ族によるフツ族の虐殺が発生すると、フツ族は東コンゴに逃げ込んだんだそうだ。そこに、国連よりももっと質の悪いNGOが介入してきたんだそうだ。彼らは「フツ族がかわいそうだ」と難民キャンプを設置し、食事を提供した。そして元気を取り戻したフツ族は、夜中に国境を超えてツチ族を虐殺に行った。
NGOはメティアの注目を集めて活動資金を得るため、「困った人や、かわいそうな人を助ける」とぶち上げて、現地の事情など知ったことかと行動する。最優先事項は、自分の生活を守りつつNGOとしての活動を継続していくための善意の寄付金を、少しでも多くかき集めることにあるのだ。
そんなことで、このあと、ルワンダは、コンゴに侵攻して5年に渡る戦争を続けることになったそうだ。
本来、難民は流出した先で新たな生き方の選択を迫られる。主義を曲げて帰還を目指すものもあれば、異郷に新しい生き方を求めるものもいる。いずれにせよ、難民化の原因となった問題は、それで一つの決着を見る。ルワンダとの国境沿いのコンゴ民主共和国に作られたフツ族の難民キャンプは、難民となったフツ族を生きながらえさせ、彼らの怒りを半永久的に存続させ、さらにはありがたい物資支援まで行って、結果として新たな戦闘員を供給している。そのため、ルワンダは未だに、紛争後の国家統一さえままならない。
NGOも、組織であるから、自らの組織の存続を目指す。それが自分の信じる“正義”の実践につながるし、同時に自分の生活を維持するという、一挙両得の道なのだから。
そのためには目立つ必要がある。メディアの注目を引くことである。・・・なんか、ここまで書いてきて、シー・シェパードの連中のことが頭に浮かんだ。あの組織のことをNPO(non profit organization)、つまり非営利組織って言うけど、親分のポール・ワトソンを筆頭に、幹部連中は贅沢な生活を送っている。シー・シェパードは、本当に宣伝が上手で、多くの企業がシー・シェパードのスポンサーになっている。
何だよ、パタゴニア。もう買わねえ。
ちょっと話がそれましたが、そんなNGOが、今、急増中だそうだ。そう言えば、私が関わっている若いやつの中にも、「将来は、NGOの仕事に関わって、世界の平和のために尽くしたい」と言うようなことを行ってるやつがいた。はっきり、言ってやろう。・・・“やめておきなさい”と。

戦争には、それが行われることにより、《決定的な勝敗》と《戦争による疲弊》という、二つの終戦を導き出す役割が存在する。戦争自体に内在する二つの終戦要因により戦争が終わった場合、戦場では復興に向けての努力が始まる。敗れた側も、厳しい立場に立たされたとしても、そこからの復興が始まる。国際社会も、この段階において、敗者を見殺しにすることはないだろう。
しかし、今日では、さまざまな形での、外部からの介入によって二つの終戦要因が阻害され、多くの紛争が「終わることのない紛争」となっている。
パレスチナ難民の発生は1948年だからね。国連のパレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は、パレスチナ難民に以前の暮らしよりも比較的高いレベルの生活環境を提供し、食事・教育・医療制度も整備され、荒れ地の重労働なんてなくなった。誰が、もとの生活に戻りたいと思うのか。難民は、難民のまま結婚し、生まれた子供も難民としてここで生きていくのだ。「イスラエルが俺たちの土地を奪った」と言い続けながら。
どうも、やってることが、賢くないな。そんなにも賢くないことが、ここまで続けられるだろうか。戦争だの難民だのに関わるNGOだの、NPOだのには、他の理由があると考えるのが妥当じゃないだろうか。
それは、「かわいそうな人を助けてあげる」という慈善事業を行うこと、それ自体が目的なんだ。そう考えれば、この賢くないことが、現地の悲劇を憐れむようなふりをして、むしろ助長するという馬鹿馬鹿しいことが繰り返されることも納得がいく。
むしろ、これらのNGO、NPOは、多くの場合、現地の人を犠牲にして自分の利益のためにやっている。・・・ポール・ワトソンの団体さんが見える。
「世界の平和のために尽くしたい」と言っている若いのには、言い方を変えよう。・・・“愚か者め❢”と。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
ルワンダでは、ツチ族によるフツ族の虐殺が発生すると、フツ族は東コンゴに逃げ込んだんだそうだ。そこに、国連よりももっと質の悪いNGOが介入してきたんだそうだ。彼らは「フツ族がかわいそうだ」と難民キャンプを設置し、食事を提供した。そして元気を取り戻したフツ族は、夜中に国境を超えてツチ族を虐殺に行った。
NGOはメティアの注目を集めて活動資金を得るため、「困った人や、かわいそうな人を助ける」とぶち上げて、現地の事情など知ったことかと行動する。最優先事項は、自分の生活を守りつつNGOとしての活動を継続していくための善意の寄付金を、少しでも多くかき集めることにあるのだ。
そんなことで、このあと、ルワンダは、コンゴに侵攻して5年に渡る戦争を続けることになったそうだ。
本来、難民は流出した先で新たな生き方の選択を迫られる。主義を曲げて帰還を目指すものもあれば、異郷に新しい生き方を求めるものもいる。いずれにせよ、難民化の原因となった問題は、それで一つの決着を見る。ルワンダとの国境沿いのコンゴ民主共和国に作られたフツ族の難民キャンプは、難民となったフツ族を生きながらえさせ、彼らの怒りを半永久的に存続させ、さらにはありがたい物資支援まで行って、結果として新たな戦闘員を供給している。そのため、ルワンダは未だに、紛争後の国家統一さえままならない。
NGOも、組織であるから、自らの組織の存続を目指す。それが自分の信じる“正義”の実践につながるし、同時に自分の生活を維持するという、一挙両得の道なのだから。
そのためには目立つ必要がある。メディアの注目を引くことである。・・・なんか、ここまで書いてきて、シー・シェパードの連中のことが頭に浮かんだ。あの組織のことをNPO(non profit organization)、つまり非営利組織って言うけど、親分のポール・ワトソンを筆頭に、幹部連中は贅沢な生活を送っている。シー・シェパードは、本当に宣伝が上手で、多くの企業がシー・シェパードのスポンサーになっている。
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ちょっと話がそれましたが、そんなNGOが、今、急増中だそうだ。そう言えば、私が関わっている若いやつの中にも、「将来は、NGOの仕事に関わって、世界の平和のために尽くしたい」と言うようなことを行ってるやつがいた。はっきり、言ってやろう。・・・“やめておきなさい”と。
『戦争にチャンスを与えよ』 エドワード・ルトワック 文春新書 ¥ 850 国連、NGO、他国による中途半端な「人道介入」が、戦争を終わらせるのではなく、長引かせる |
戦争には、それが行われることにより、《決定的な勝敗》と《戦争による疲弊》という、二つの終戦を導き出す役割が存在する。戦争自体に内在する二つの終戦要因により戦争が終わった場合、戦場では復興に向けての努力が始まる。敗れた側も、厳しい立場に立たされたとしても、そこからの復興が始まる。国際社会も、この段階において、敗者を見殺しにすることはないだろう。
しかし、今日では、さまざまな形での、外部からの介入によって二つの終戦要因が阻害され、多くの紛争が「終わることのない紛争」となっている。
パレスチナ難民の発生は1948年だからね。国連のパレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は、パレスチナ難民に以前の暮らしよりも比較的高いレベルの生活環境を提供し、食事・教育・医療制度も整備され、荒れ地の重労働なんてなくなった。誰が、もとの生活に戻りたいと思うのか。難民は、難民のまま結婚し、生まれた子供も難民としてここで生きていくのだ。「イスラエルが俺たちの土地を奪った」と言い続けながら。
どうも、やってることが、賢くないな。そんなにも賢くないことが、ここまで続けられるだろうか。戦争だの難民だのに関わるNGOだの、NPOだのには、他の理由があると考えるのが妥当じゃないだろうか。
それは、「かわいそうな人を助けてあげる」という慈善事業を行うこと、それ自体が目的なんだ。そう考えれば、この賢くないことが、現地の悲劇を憐れむようなふりをして、むしろ助長するという馬鹿馬鹿しいことが繰り返されることも納得がいく。
むしろ、これらのNGO、NPOは、多くの場合、現地の人を犠牲にして自分の利益のためにやっている。・・・ポール・ワトソンの団体さんが見える。
「世界の平和のために尽くしたい」と言っている若いのには、言い方を変えよう。・・・“愚か者め❢”と。


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