『首都圏近郊:出雲系神社探索ガイド』 出川通
まえがきによれば、出雲の神様が、ブームなんだそうですね。・・・ちょっと、聞いたことないけど。・・・式年祭が行われて、参拝客が増えたという話は聞いたけど、そのことか?・・・どうやらその模様。
そこで、本書の登場。著者が書いている。『出雲と関東には共通性を感じる』と。そして、『「関東を含めた東の国の歴史」が、出雲のもつ「土着の神さま、国津系の神さま」の歴史の底流と重なってくるストーリーを感じる』と。
「それは、同じものに対して起こったことであって、出雲と関東では、時間差を持って発生しているに過ぎない」ということはないだろうか。つまり、この東国も、もともと大国主命の治める“葦原中津国”の一部だったんじゃんかいか。
この本で語られるとうり、そう思えるほどに、東国は出雲系の神社で満ちている。
こうなったら、それらを巡りながら、“葦原中津国”がいかなる国であったのか。思いを馳せてみるのもいい。・・・夏休みの課題研究として、9月に学校に提出しようか。


出雲系の神といえば、まずは、“大国主命”だけど、やたらと別名が多い。おそらく、統合が進むたびに、地域の神や王の性質を受け継いだのか。あるいは、代表したのか。大穴牟遅(オオナムジ)、大穴持(オオアナモチ)、大己貴(オホナムチ)を、本書は“大きな穴”と見るのはいいが、鉱山の守護神と言っている。大国主が明らかに代表者を務める名前だから、性質を物語るのはこの名前になる。最高神が“鉱山”と言うのはどうもね。大きな穴は“噴火口”のことを言うのであって、地震やマグマといった、火山に関わる畏怖の対象の総体をあらわす神ではなかったか。
八千矛は武力の象徴で武神としての性格。葦原醜男(アシハラシコオ)も、野性的で力強い男を表し、武の神。大物主は、大きな力を持つ高い霊格をあらわす名前。“もの”は人知の及ばない力。大国魂、顕国玉、宇都志国玉は、国土の霊魂をあらわす。
大国主の子供として、まずは事代主。“事”は神事、“代”は依代、その主だから、第一人者。つまり、神を祀る側の第一人者が神格化されたもの。つまり神格化された王ということだ。大国主は、国を譲る判断を事代主に任せている。つまり、大国主を祀る王が、国譲りを判断したということだ。

あとは、スサノオと、大国主の妻たち。妻たちの中でも、奇稲田姫が圧倒的らしんだけどね。
これらの中で、一番多いのがスサノオ関連の神社。それに続くのが建御名方ってのも、不思議だな。なにしろ建御名方は、武御雷にこてんぱんに破れて、命乞いをして諏訪大社におさまるじゃないですか。ちょっと情けないにも程があるよね。この本は、その前後の猛々しさを強調するけど、“命乞い”は多い隠せない。多い隠せないくらいに情けない。
この、建き御名の方を、無理に陥れている印象がある。それに、事代主が国を譲ってお隠れになっている後のことなので、建御名方を貶めるために書かれた逸話と考えるほうが自然。出雲神話が書かれた当時、そんなにも貶めたい“建御名方”って、一体誰でしょう。
話が、この本の紹介からずれちゃった。・・・ごめんね。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
そこで、本書の登場。著者が書いている。『出雲と関東には共通性を感じる』と。そして、『「関東を含めた東の国の歴史」が、出雲のもつ「土着の神さま、国津系の神さま」の歴史の底流と重なってくるストーリーを感じる』と。
「それは、同じものに対して起こったことであって、出雲と関東では、時間差を持って発生しているに過ぎない」ということはないだろうか。つまり、この東国も、もともと大国主命の治める“葦原中津国”の一部だったんじゃんかいか。
この本で語られるとうり、そう思えるほどに、東国は出雲系の神社で満ちている。
こうなったら、それらを巡りながら、“葦原中津国”がいかなる国であったのか。思いを馳せてみるのもいい。・・・夏休みの課題研究として、9月に学校に提出しようか。
言視社 ¥ 1,728 なぜ東日本に「出雲系」の神々が、これほどたくさん鎮座しているのか。由来を探りながらの歴史散歩 |
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出雲系の神といえば、まずは、“大国主命”だけど、やたらと別名が多い。おそらく、統合が進むたびに、地域の神や王の性質を受け継いだのか。あるいは、代表したのか。大穴牟遅(オオナムジ)、大穴持(オオアナモチ)、大己貴(オホナムチ)を、本書は“大きな穴”と見るのはいいが、鉱山の守護神と言っている。大国主が明らかに代表者を務める名前だから、性質を物語るのはこの名前になる。最高神が“鉱山”と言うのはどうもね。大きな穴は“噴火口”のことを言うのであって、地震やマグマといった、火山に関わる畏怖の対象の総体をあらわす神ではなかったか。
八千矛は武力の象徴で武神としての性格。葦原醜男(アシハラシコオ)も、野性的で力強い男を表し、武の神。大物主は、大きな力を持つ高い霊格をあらわす名前。“もの”は人知の及ばない力。大国魂、顕国玉、宇都志国玉は、国土の霊魂をあらわす。
大国主の子供として、まずは事代主。“事”は神事、“代”は依代、その主だから、第一人者。つまり、神を祀る側の第一人者が神格化されたもの。つまり神格化された王ということだ。大国主は、国を譲る判断を事代主に任せている。つまり、大国主を祀る王が、国譲りを判断したということだ。
もう一人の子供が、建御名方。建御名方って言うのも変な名前で、「建き御名の方」だって。「すごい名前の人」って意味。これはすごい。匿名希望の人なんですね。なぜかって、名前言ったら、みんな分かっちゃうからでしょ。この辺の話を書いてくれたのが、この本。ぜひ読んでみて。 |
あとは、スサノオと、大国主の妻たち。妻たちの中でも、奇稲田姫が圧倒的らしんだけどね。
これらの中で、一番多いのがスサノオ関連の神社。それに続くのが建御名方ってのも、不思議だな。なにしろ建御名方は、武御雷にこてんぱんに破れて、命乞いをして諏訪大社におさまるじゃないですか。ちょっと情けないにも程があるよね。この本は、その前後の猛々しさを強調するけど、“命乞い”は多い隠せない。多い隠せないくらいに情けない。
この、建き御名の方を、無理に陥れている印象がある。それに、事代主が国を譲ってお隠れになっている後のことなので、建御名方を貶めるために書かれた逸話と考えるほうが自然。出雲神話が書かれた当時、そんなにも貶めたい“建御名方”って、一体誰でしょう。
話が、この本の紹介からずれちゃった。・・・ごめんね。


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