めんどくせぇことばかり 『ファイト』 佐藤賢一

『ファイト』 佐藤賢一

なんだー。なんだ、なんだ???

佐藤賢一さんの本らしく、いつもながらの“語り言葉”で話が進んでいくけど、これはまだ、カシアス・クレイと呼ばれていた頃のモハメド・アリだろ。・・・なんて思ってるうちに、おいおい、試合が始まっちゃったよ。「うっ、もらった」って、パンチの一発一発まで、この“語り言葉”で、モハメド・アリの語りの中で進められていくのか。・・・なんなんだ、この本。

なんだよ。まったく。・・・ボクシングってのは、痛いスポーツだな。

最初の私の意識の中に現れる彼は、カシアス・クレイだった。でも、この本の中で彼が語る通り、最初のタイトルマッチでソニー・リストンに勝った翌日に、彼はイスラム教徒であることを発表した。さらに一週間後には、エライジャ・モハメドから与えられた《モハメド・アリ》に名を変えた。この試合が1964年だから、いくらボクシング好きとはいえ、1960年生まれの私の意識に、カシアス・クレイの名があるはずがない。

おそらく、同居していた叔父に、あとから吹き込まれた記憶だろう。どうやら、「カシアス・クレイの方がかっこいいのに・・・」という思いと一緒に吹き込まれたものらしい。

叔父たちの影響で、ボクシング大好き少年に育った私だけど、対戦相手に罵声を浴びせるあの姿勢、蝶のように舞い、蜂のように刺したそのあとで、勝ち誇るあの態度、どうしても好きになれなかった。私がモハメド・アリを好意的に受け止めることができるようになったのは、ラリー・ホームズとの戦いからだな。そう、ぶざまなモハメド・アリだった。


『ファイト』    佐藤賢一

中央公論新社  ¥ 1,836

ヘビー級王者、人種差別、戦争、老い…。全ての闘いでベストを尽くした不屈の男・モハメド・アリ。
第一試合 対ソニー・リストン
第ニ試合 対ジョー・フレージャー
第三試合 対ジョージ・フォアマン
第四試合 対ラリー・ホームズ

そして、アトランタ・オリンピックの開会式。聖火台に成果を点火する大役を担って現れたのが、パーキンソン氏病と戦うモハメド・アリだった。

母は、パーキンソン氏病で、けっこう若いころに発病したらしい。薬が合ったのか、症状はそんなに進んでいたようには思わない。母の兄も、私が赤ん坊の頃に、足の異常を発見してくれた伯父もパーキンソン病で、最後は症状が進んで死んだ。パーキンソン病は、その症状以上に、若い頃から母を苦しめた。

母は、症状が進む前に、ガンで死んだ。私が36の年だ。ちょうど、アトランタ・オリンピックの年だった。最初は、6月に脳溢血で倒れた。その時点で半分くらいあきらめたのに、7月に入って奇跡の超回復。リハビリもはじめ、やれやれと思ったのもつかの間、胃がんの末期、一ヶ月も持たないと宣告された。

オリンピックの頃は自宅に帰り、私は18歳まで母に育てられた家で、母と最後の時を過ごした。母は、病気を姑からなじられたことがあり、病院に行くのさえ嫌がった。その間にガンが進行したのだろう。最初の脳溢血も、原因は胃ガンだろう。

モハメド・アリの姿は、二人の兄たちと一緒に見た。皆、無言で見た。

母が死んだのは、オリンピックが終わってしばらくした、残暑の厳しい日だった。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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