『アダムのリンゴ』 小泉牧夫
混沌たるカオスから生まれた大地ガイア。ガイアは自らの力で天空ウラノスを生み、ウラノスと交わってティタン族を生んだ。ティタンは英語でタイタンと発音するが、日本語ではチタンともいう。原子番号22で原子記号はTi。軽いわりに強度が強く、産業でも先端分野で重宝されているという。
話題になった「進撃の巨人」、英語のタイトルは“Attack on Titan”。そんな最近の話題を出さなくても、…私には十分に最近…1911年に大氷山に衝突して沈没した豪華客船は“the Titanic”だった。
あ~、こんな話を読んでると、なんだかとても頭が良くなったような気がして気持ちいい。・・・そんなわけで、とっても気持ちのいい本の紹介です。
題名にもなっている“アダムのリンゴ”とは〈のどぼとけ〉のこと。イブに進められてリンゴを口にしたところを天使に見とがめられ、慌てて飲み込もうとしたら、のどに引っかかっちゃったんだよね。そんな、創世記や、上に書いたギリシャ神話の話から始まって、歴史の成り行きの中から生まれた、英語の面白い言いまわしや言葉の数々を一挙に紹介した本。
神話や歴史の中の話が、思いもよらない言葉を生み出しているのも面白い。上で紹介した大地の女神ガイア。Gaiaは、ラテン語や英語ではGaeaと書かれ、またの名を「Ge」と書いてゲーともいう。geology「地質学」、geography「地理学」、geopolitics「地政学」なんてところに使われてくる。
ギリシャ神話の中でも人気の話の一つのクピドとプシュケの物語。このプシュケはpsycheと書くが、古代ギリシャのもともとの意味は「息・呼吸」で、派生して「命・心・魂」。ここから、「心・魂」に関連する語にプシュケが使われる。psychologu「心理学」、psychiatry「精神医学」、psychic「精神的な」、psycho「精神病患者」。こうなってくると、プシュケもびっくり。
近代、現代、そして今も、次々と新しい言葉って作り出されてるんですね。それは英語だけじゃなくて、どんな言葉でも同じこと。もちろん日本語もね。ただ、日本語で心配なのは、かつて外来の言葉が入ってきたとき、知恵を絞って新しい日本語を創造していったのに、最近は、それをカタカナ言葉のまま使っているだけ。向こうの言葉でその概念をつかめる人はいいけど、そうでない奴は置いてけぼり。“つかめる人”と、“つかめない人”の二種類に人種が、日本人内部に作り出されつつあるように感じる。
その点、日本にもトランプが必要か?
おもしろかったのは、英語とフランス語の関係。牛はoxでも、皿に乗るとbeef。羊はsheepでも、皿に乗るとmutton。豚はpigでも、皿に乗るとpork。
この本に関してはずいぶん書いてしまった。このくらいにしておこう。
おそらく、欧米人以上に、日本人の方がこういう本をおもしろがっているだろう。
言葉には力がある。“アブラカダブラ”は魔法の言葉。「私の言ったとおりになれ」って呪文が意味を持つ世の中が、かつては世界に広がっていた。一神教の神様が“魔”の世界のすべてを屈服させていっても、言葉は残った。言葉には思いもよらない意味があって、知ってか知らずか、それを口にするたびに、・・・“アブラカダブラ”、言葉に隠されたその意味が、きっとそのうち目を覚ます。
わずかに、いまだにそんなことを信じている人もいる。実は、私もその一人。すでに二人の子供は独立しておりますが、とにかく汚い言葉は使わないように言い聞かせました。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
話題になった「進撃の巨人」、英語のタイトルは“Attack on Titan”。そんな最近の話題を出さなくても、…私には十分に最近…1911年に大氷山に衝突して沈没した豪華客船は“the Titanic”だった。
あ~、こんな話を読んでると、なんだかとても頭が良くなったような気がして気持ちいい。・・・そんなわけで、とっても気持ちのいい本の紹介です。
題名にもなっている“アダムのリンゴ”とは〈のどぼとけ〉のこと。イブに進められてリンゴを口にしたところを天使に見とがめられ、慌てて飲み込もうとしたら、のどに引っかかっちゃったんだよね。そんな、創世記や、上に書いたギリシャ神話の話から始まって、歴史の成り行きの中から生まれた、英語の面白い言いまわしや言葉の数々を一挙に紹介した本。
神話や歴史の中の話が、思いもよらない言葉を生み出しているのも面白い。上で紹介した大地の女神ガイア。Gaiaは、ラテン語や英語ではGaeaと書かれ、またの名を「Ge」と書いてゲーともいう。geology「地質学」、geography「地理学」、geopolitics「地政学」なんてところに使われてくる。
ギリシャ神話の中でも人気の話の一つのクピドとプシュケの物語。このプシュケはpsycheと書くが、古代ギリシャのもともとの意味は「息・呼吸」で、派生して「命・心・魂」。ここから、「心・魂」に関連する語にプシュケが使われる。psychologu「心理学」、psychiatry「精神医学」、psychic「精神的な」、psycho「精神病患者」。こうなってくると、プシュケもびっくり。
『アダムのリンゴ』 小泉牧夫 IBCパブリッシング ¥ 1,512 のどちんこにはリンゴが詰まっている 歴史から生まれた世にも面白い英語 |
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近代、現代、そして今も、次々と新しい言葉って作り出されてるんですね。それは英語だけじゃなくて、どんな言葉でも同じこと。もちろん日本語もね。ただ、日本語で心配なのは、かつて外来の言葉が入ってきたとき、知恵を絞って新しい日本語を創造していったのに、最近は、それをカタカナ言葉のまま使っているだけ。向こうの言葉でその概念をつかめる人はいいけど、そうでない奴は置いてけぼり。“つかめる人”と、“つかめない人”の二種類に人種が、日本人内部に作り出されつつあるように感じる。
その点、日本にもトランプが必要か?
おもしろかったのは、英語とフランス語の関係。牛はoxでも、皿に乗るとbeef。羊はsheepでも、皿に乗るとmutton。豚はpigでも、皿に乗るとpork。
この本に関してはずいぶん書いてしまった。このくらいにしておこう。
おそらく、欧米人以上に、日本人の方がこういう本をおもしろがっているだろう。
言葉には力がある。“アブラカダブラ”は魔法の言葉。「私の言ったとおりになれ」って呪文が意味を持つ世の中が、かつては世界に広がっていた。一神教の神様が“魔”の世界のすべてを屈服させていっても、言葉は残った。言葉には思いもよらない意味があって、知ってか知らずか、それを口にするたびに、・・・“アブラカダブラ”、言葉に隠されたその意味が、きっとそのうち目を覚ます。
わずかに、いまだにそんなことを信じている人もいる。実は、私もその一人。すでに二人の子供は独立しておりますが、とにかく汚い言葉は使わないように言い聞かせました。


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