めんどくせぇことばかり 『山の怪奇 百物語』 山村民俗の会

『山の怪奇 百物語』 山村民俗の会

私は秩父の生まれで、奥秩父は高校以来のホームグラウンド。今はなき雲取ヒュッテ、雁坂峠小屋、甲武信小屋とも、なぜか親父さんは、夜になるたびに怖い話をして高校生の私たちを怖がらせるのが大好き。ひとしきりそんな話をして高校生をいたぶったあとは、決まって最後、小屋まわりやテント場の見回りを言いつけられたりする。一度、そんな時間に登ってきた大馬鹿野郎に出くわして、腰が抜けるほど怖い思いをしたことがある。

知っている場所が多いんだよね。・・・というのも、この本に乗っている怪奇譚の語られる現場のこと。奥秩父、寄居、越生、顔振峠。いずれも勝手知ったる庭のごとく、よく歩いている場所だ。

ということは、このあたりに《山村民俗の会》の会員が多いということなのか。

私の生家は武甲山山麓で、何かと伝奇・伝説の多いところ。しかも、嫁はロクサン様に仕える役割を担うというのが生家の習わし。祖母は、思いっきり雰囲気を持った人で、暗いところで気配を消してしまうから始末が悪い。遊んで薄暗くなった庭先で、遅くなった言い訳を考えていると、ふと気がつくと、すぐそばに祖母がいたりすることがあった。・・・もう、やめてよ、おばあちゃん。夜中に意を決してお便所にいこうとすると、なぜか暗い廊下に祖母がいる。・・・ばう、勘弁じでよ、ぼばあじゃん。

夕方、徐々に暮れゆく中、少し先にある小山の上の大木の梢あたりを祖母が見ていれば、多分そこには何かがいるんだろうということが、子供の私にもなんとなくわかった。祖母がダメだと言ったことを、ことごとく踏みにじった私だから、どこかで罰が当たるとは思っていた。・・・予想通り、罰当たりな人生だった。

『山の怪奇 百物語』    山村民俗の会

河出書房新社  ¥ 1,296

山村民俗の会は、どなたでも入会できます。あなたの仲間入りを、・・・お待ちしています
榛名山加護丸稲荷の霊異
上州奥多野山地の妖怪
奥那須安倍ケ城の怪
奥秩父の妖怪ばなし
寄居冬住山浅間の怪
奥武蔵越生地方の妖怪ばなし
顔振峠の呪詛地蔵
仙元様のお怒り
丹沢の山霊・あとおいこぞう
八ヶ岳マモノ沢の犬隠し
上信越・山の怪奇ばなし
北アルプスの怪異伝説
梓川の水神の祟り
北アルプスの山麓の怪異譚
飛騨宮川村の蛇変化
美濃徳山村のモノ達
火の玉・トンネル・片手の幽霊
京都北山怪奇噺
四国山地・惣川の不思議な話

《山村民俗の会》会員の方々が丹念に拾い集めた話は、創られたものではなくて、伝えられたもの。そんな感じの話ばかりで、怪談ばなしというよりも、民俗ばなしの趣さえある。ほんのちょっとデコレーションすれば、いくらでも怖ーい話にもなるのに、そういう盛り付けはされていない。

そのくらいに素朴な話ばかりなんだけど、それだけに、“物語”の宝庫とも言える。こういうふうに拾い集められた話から、物語は作られていくんだろうな。

ロクサン様は、祖母から母に引き継がれた。その母が死んだのは、祖母が死んでからたったの4年後のことだった。ずい分前に、母はロクサン様を引き継いでいたが、自分はその仕事を全うしたものの、長男の嫁には引き継がなかった。最初から、自分で終わりにする覚悟があったようだ。

母にも、山の大木の木の梢にいた何かが見えたんだろうか。祖母は母に厳しかったけど、どうも私には、祖母と母が本質的に似ていたからこそ、祖母は母に厳しかったようなきがする。・・・たぶん、母にも見えていたんだろうと、私は思う。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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