めんどくせぇことばかり 『日本一やさしい天皇の講座』 倉山満
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『日本一やさしい天皇の講座』 倉山満

4月に知り合った高校で社会を教えている先生がいる。定年してからも働ける制度を利用して最初の年なんだそうだ。あたりのいい人で、世界史が専門なんだそうだが、知識が豊富で、今は地理を任されているんだとか。その人が言っていた。「もう、今の時代に天皇制なんていらないんじゃないかな。もしどうしても必要なら、それこそロボットでもいいだろうに」ってさ。・・・たまたま昼飯で一緒になった時、テレビのニュースを見てのことでした。

宮沢俊義という学者先生がいるのだそうです。戦前からの東大法学部教授で日本国憲法の制定にも関わった人物。戦前からの学者は、その多くが公職を追放されたが、そうはならなかったマッカーサーの覚えめでたい人の一人ということでしょうか。そういう人が、戦後は憲法学の最高権威として、その学説が通説になるという立場になったんだそうだ。司法試験・公務員試験・教員採用試験では、憲法に関する問いは宮沢の通説に基づいて出題されるんだから、その影響力の大きさははかりきれない。

その宮沢教授が世に放った通説というのが、天皇は「《めくら判》をおすだけのロボット的存在」って言ったんだそうだ。『全訂日本国憲法』七十四項》にそうあるらしい。確かめたわけじゃないけど、・・・本当かなあ。

でも、私が知ってる61歳の高校の先生は、おそらく宮沢学説の憲法学を学んで埼玉県の高校の先生になって、長い教師人生を定年まで勤め上げた挙句の果てに、《天皇制なんか無くていい。天皇という存在が必要ならロボットでも置いとけばいい》って言ってるんだから、本当なのかもしれないな。

まあ、そこまで疑ったら、倉山満さんに悪いよな。嘘を書くような人じゃないからな。



扶桑社新書  ¥ 821

二百年に一度の大事件 日本人として、なにを知るべきか


第一章  天皇と先例
第二章  天皇と武家
第三章  天皇と近現代史
第四章  攘夷を論じる

『このままで行くと、皇統は滅びる』

倉山さんが強調する悲痛なアピールだけど、たしかにそのとおりだと思う。秋篠宮殿下のあと40年間にわたって皇室には女の子しか生まれなかったんだから、それだけで危機だよね。通常、30年で一世代って考えるでしょ。つまり、一世代分の皇統が存在していないということだ。悠仁親王殿下のご誕生でようやくつながれたものの、一世代分の空白の後の奇跡なわけだよね。その奇跡も一世代分の絶望の果に起こった次の世代に望みをつなぐ橋みたいなものでしょう。親王殿下を“橋”に例えては申し訳ないけどさ。

マッカーサーは“天皇制を存続させた”なんて言われるけど、違う。マッカーサーは天皇制を日本人の手でふっ飛ばしたことにするように、時限爆弾を仕掛けたんだ。11あった宮家を強引に皇室から離脱させてしまったことだ。それによって皇統は、血のリレー、血のストックを失ったのだ。

「皇位継承者がいなくなってしまう」という危機感から、小泉純一郎首相の時に皇室典範の改正が俎上に上がり、“有識者会議”なるものが開かれた。結局、悠仁親王殿下のご誕生で見送りになったが、あの時の議論もひどいものだった。

倉山さんは、この本を世に問う理由として、昨年八月の「天皇陛下のお言葉」に対する反応をあげている。小泉内閣のときもそうだったけど、結局、私たちは、歴史を知らないのだ。

天皇は必要なのか。なぜ皇室は一度も途切れることなく続いてきたのか。そもそも天皇とは、そして皇室とはなんなのか。

なにより、それが日本の歴史の中でどのような役割を果たしてきたのか。

そんなことも知らないで、『ロボットでもいい』は、ないだろう。

結局、“マッカーサーの時限爆弾”とは、11の宮家を皇室から離脱させたということだけではないんだ。『ロボットでもいい』くらいの浅薄な学者に力を与え、日本の指導者になる人の頭を改造したこと。この時限爆弾は、静かに、だけど確実に時を刻んできた。もう、あまり時間が残されていないことは、確かなようだ。

最後に言わせてもらうけど、私の知り合いのその先生、尊敬できる人がらの先生です。でも、その先生にしてからそうなのです。その辺に、“戦後”って言う時代の、危機の深さを感じます。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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