『部活があぶない』 島沢優子
中学校はサッカー部、高校は山岳部。大学では山と映画の二股で過ごした。・・・もう、60歳が近い私だけど、部活動は大きな影響を受けたな。特に、今になってみると、山を部活ではじめたことは、とても良かった。
私たちの頃は“部活”って言葉はなかったですね。“クラブ”って言ってた。
中学校の時は、三年の学徒大会で県大会に出たんだ。二中と大滝中が強くてね。三年でようや二校を下して県大会に出た。中学校から学校の用意してくれたバスで浦和の会場まで行ったんだけど、それだけで舞い上がってた。当日は、その年初めての光化学スモック注意報が出た日。私たち、埼玉の奥座敷の者にとっては、人生初の光化学スモッグ。試合が始まってしばらく、行きが苦しくなって、何が起こったかわからなかった。後ろを見ると、影中の仲間だけが、ひざに手をついてゼーゼーいってた。今より大気汚染の酷かった時期だからね。日頃、先生が“クラブ”に出てくることは滅多になかった。
高校の山岳部になると、先生が出てくるのは合宿だけ。小さなザックを背負ってひょいひょい歩いてた。先生の荷物の大半は、部員が担いだ。酒も・・・。ある土曜日の練習で、OBの方が懸垂下降を教えてくれるということで、荒川の段丘にあたる崖にいった。ヒヤヒヤワクワクの、岩初体験だった。あの時も、先生はいなかった。
先生にとんでもないことを命令されたことがある。明日、北穂に登るという涸沢でのこと。タバコ買ってこいということなんだけど、先生の吸うハイライトは涸沢の小屋にはないっていうんだよね。どこに買いに行けって言われたと思う?・・・北穂の小屋ですよ。・・・「先生、明日登るんじゃ・・・」


私の部活体験は、苦しいこともあったけど、楽しかった。それだけです。先生が部活に強く関係することはなかった。責任を追求される今の御時世ではそうは行きませんね。
時々、以前から、高等学校に関与する仕事をしていて、最近は、外部指導員ってことで、高校の部活に関わることもある。高校の部活動に関しては、わりと生な状況を理解しているつもり。
まあ、最近の高校の先生っていうのは、部活動の指導も含めて言えば、最悪に近いブラックです。この間もブログでご紹介した定年しても再任用で働いている先生ね。自分で言ってるもん。自分の教員生活は完全にブラックだったって。ひどい時は一年のうち三六〇日は仕事してたって。・・・部活のためにね。その人はソフトテニス部。ソフトテニスってのも練習時間が長くて、生徒に対してもブラック化しやすい傾向の部活みたいね。
体罰っていう意味では、概してバレー部はひどい印象があるな。今、関わっている学校のバレー部の先生と飲んだことがあるんだけど、今は私もやらないけど、ちょっと前まではひどかった。自分で考えてもひどかったって言ってた。
最悪なのは、ずいぶん前のことになるけど、やっぱりバレー部の若い顧問。練習中に腹痛を訴える部員を、怠けようとしていると決めつけて、レシーブの練習とかこつけて、ボールをバシバシぶつけた。結局、救急車を呼ぶことになったんだけど、急性盲腸炎で即手術だった。顧問はその後、自分が盲腸を発見してやったって豪語していた。
もう、あきれちゃうよ。部活ってのはやめた方がいい。良くなることはないよ。問題は複合的で、原因もまた複合的なもの。専門の顧問が悪い。親が悪い。青少年スポーツ団体が悪い。上の協会が悪い。しわ寄せは生徒と専門外の顧問にのしかかる。
とりあえず青少年スポーツは、母体を学校に求めるのは、今すぐやめたほうがいい。だけど、そんなことできないでしょ。
だから強権によって、一度チャラに戻すしかない。甲子園大会はじめ、選手生命を縮めかねない各種の全国大会をやめる。それが諸悪の根源だから。それで食ってる大人がいる。食ってる大人が、食い物にしていることに気づいてない。
だけど、そんなわけにいかないじゃないですか。結局、折り合いをつけていくしかないんだと思うけど、やりたいのから守るべきルールを定めて、その厳守を大会参加の絶対条件とするくらいのことはやらないと、悪くなる一方だと思う。ルールは練習時間、活動日、他種目を経験させるなど。少なくてもそのくらいのことはやらないとね。それだけでも、ものすご~く大変なことだと思うけど・・・。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
私たちの頃は“部活”って言葉はなかったですね。“クラブ”って言ってた。
中学校の時は、三年の学徒大会で県大会に出たんだ。二中と大滝中が強くてね。三年でようや二校を下して県大会に出た。中学校から学校の用意してくれたバスで浦和の会場まで行ったんだけど、それだけで舞い上がってた。当日は、その年初めての光化学スモック注意報が出た日。私たち、埼玉の奥座敷の者にとっては、人生初の光化学スモッグ。試合が始まってしばらく、行きが苦しくなって、何が起こったかわからなかった。後ろを見ると、影中の仲間だけが、ひざに手をついてゼーゼーいってた。今より大気汚染の酷かった時期だからね。日頃、先生が“クラブ”に出てくることは滅多になかった。
高校の山岳部になると、先生が出てくるのは合宿だけ。小さなザックを背負ってひょいひょい歩いてた。先生の荷物の大半は、部員が担いだ。酒も・・・。ある土曜日の練習で、OBの方が懸垂下降を教えてくれるということで、荒川の段丘にあたる崖にいった。ヒヤヒヤワクワクの、岩初体験だった。あの時も、先生はいなかった。
先生にとんでもないことを命令されたことがある。明日、北穂に登るという涸沢でのこと。タバコ買ってこいということなんだけど、先生の吸うハイライトは涸沢の小屋にはないっていうんだよね。どこに買いに行けって言われたと思う?・・・北穂の小屋ですよ。・・・「先生、明日登るんじゃ・・・」
『部活があぶない』 島沢優子 講談社現代新書 ¥ 821 そもそも、なんのためにあるのか。部活は生徒のためになっているのか |
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私の部活体験は、苦しいこともあったけど、楽しかった。それだけです。先生が部活に強く関係することはなかった。責任を追求される今の御時世ではそうは行きませんね。
時々、以前から、高等学校に関与する仕事をしていて、最近は、外部指導員ってことで、高校の部活に関わることもある。高校の部活動に関しては、わりと生な状況を理解しているつもり。
まあ、最近の高校の先生っていうのは、部活動の指導も含めて言えば、最悪に近いブラックです。この間もブログでご紹介した定年しても再任用で働いている先生ね。自分で言ってるもん。自分の教員生活は完全にブラックだったって。ひどい時は一年のうち三六〇日は仕事してたって。・・・部活のためにね。その人はソフトテニス部。ソフトテニスってのも練習時間が長くて、生徒に対してもブラック化しやすい傾向の部活みたいね。
体罰っていう意味では、概してバレー部はひどい印象があるな。今、関わっている学校のバレー部の先生と飲んだことがあるんだけど、今は私もやらないけど、ちょっと前まではひどかった。自分で考えてもひどかったって言ってた。
最悪なのは、ずいぶん前のことになるけど、やっぱりバレー部の若い顧問。練習中に腹痛を訴える部員を、怠けようとしていると決めつけて、レシーブの練習とかこつけて、ボールをバシバシぶつけた。結局、救急車を呼ぶことになったんだけど、急性盲腸炎で即手術だった。顧問はその後、自分が盲腸を発見してやったって豪語していた。
もう、あきれちゃうよ。部活ってのはやめた方がいい。良くなることはないよ。問題は複合的で、原因もまた複合的なもの。専門の顧問が悪い。親が悪い。青少年スポーツ団体が悪い。上の協会が悪い。しわ寄せは生徒と専門外の顧問にのしかかる。
とりあえず青少年スポーツは、母体を学校に求めるのは、今すぐやめたほうがいい。だけど、そんなことできないでしょ。
だから強権によって、一度チャラに戻すしかない。甲子園大会はじめ、選手生命を縮めかねない各種の全国大会をやめる。それが諸悪の根源だから。それで食ってる大人がいる。食ってる大人が、食い物にしていることに気づいてない。
だけど、そんなわけにいかないじゃないですか。結局、折り合いをつけていくしかないんだと思うけど、やりたいのから守るべきルールを定めて、その厳守を大会参加の絶対条件とするくらいのことはやらないと、悪くなる一方だと思う。ルールは練習時間、活動日、他種目を経験させるなど。少なくてもそのくらいのことはやらないとね。それだけでも、ものすご~く大変なことだと思うけど・・・。


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