新白豪主義 『経済は地理から学べ』 宮路秀作
「テラ・アウストラリス」=「未知なる南方の大陸」
1828年頃までにはイギリスの植民地となり、開拓が進められてた。さらに、イギリスの流刑地となり、多くの囚人たちが、移民としてオーストラリアに渡った。彼らはアボリジニーから土地を取り上げ、農牧地を拡大させていった。
オーストラリアの羊毛生産量は21万6300トン(2013)で、中国について世界第二位。輸出量は21万6000トンで世界最大。
1851年にヴィクトリア州で金鉱が発見され、就業機会を求めて中国人移民が増加する。これに対し、「自分たち(イギリス系白人)の富と雇用が脅かされる」という理由で移民排斥運動が起こる。1888年には中国人移民制限法が制定され、これが非白人の排除政策である白豪主義につながり、ある時期までのオーストラリアの国是となる。
白豪主義自体は、1901年の移民制限法に始まり、1975年の人種差別禁止法まで約70年間続いた。第二次世界大戦後、白豪主義を貫くオーストリアはヨーロッパからの移民を受け入れていこうとするが、ヨーロッパに移民を送り出すゆとりはなかった。当時、オーストラリアの最大貿易相手国はイギリスであったが、そのイギリスが1973年にECに加盟した。イギリスがヨーロッパとの関わりを深めていく政策をとると、オーストリアも変わらざるを得なくなり、近隣のアジア・太平洋諸国とのつながりを重視する政策に転換していった。
1973~1975年にかけて、オーストリアは白豪主義に関する諸法律を改正、または廃止し、アジア・太平洋とのつながりを模索する多文化主義時代に移行していった。
1989年、当時のホーク首相の提唱で、日本、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ合衆国、カナダ、韓国、ASEAN6カ国(フィリピン、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ブルネイ)の12カ国でAPEC(アジア太平洋経済協力会議)を発足させた。
『経済は地理から学べ』 宮路秀作 ダイヤモンド社 ¥ 1,620 「土地」と「資源」の奪い合いから経済が見える 地図で読み解く44の視点 |
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BS1 ワールドウオッチング 朝一番 世界をつかむ 2017/05/01 変わるオーストラリアの移民政策 http://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/catch/archive/2017/05/0501.html (全文) 欧米で拡大する移民排斥の動き。イギリスはEUからの離脱を決め、アメリカのトランプ大統領は移民規制の強化を打ち出しています。そして先月(4月)、多文化主義を掲げるオーストラリアでも、移民制限の方針が発表されました。 新しいルールでは、一時就労ビザの発給を縮小し、市民権の付与も厳格化するとしています。移民大国・オーストラリアの方向転換は何を意味するのか。ゲストと共に読み解きます。 (続きを読む)に全文 |
とはいえ、今さら“白豪主義”でもあるまいし、オーストラリアがアジア・太平洋と手を切れるわけでもない。ターンブル首相は“反移民”を唱える人々の声を代弁しているわけで、それが無視できないほどの勢力になりつつあるということですよね。彼らは、「オーストラリア第一主義」を掲げているが、ターンブル首相はそれを、「法治主義に民主主義、自由、尊重しあうこと、男女平等、こういったオーストラリア人の価値観」を共有できることの重要性と説明している。
つまり、西洋型の文化を共有できることを求めることで排斥されるのは誰か。一つにはイスラム教徒。返す刀でチャイナからの移民ってところかな。
まあ、単純に、「アメリカ第一主義」の尻馬に乗っただけかもしんないけど、民族の差異に関わることを持ち出すと、どこからどんな動きが始まるかわからないところがある。場合によっては制御できない怪物が登場するかも。


BS1 ワールドウオッチング 朝一番 世界をつかむ 2017/05/01 変わるオーストラリアの移民政策 http://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/catch/archive/2017/05/0501.html (全文) 欧米で拡大する移民排斥の動き。イギリスはEUからの離脱を決め、アメリカのトランプ大統領は移民規制の強化を打ち出しています。そして先月(4月)、多文化主義を掲げるオーストラリアでも、移民制限の方針が発表されました。 新しいルールでは、一時就労ビザの発給を縮小し、市民権の付与も厳格化するとしています。移民大国・オーストラリアの方向転換は何を意味するのか。ゲストと共に読み解きます。 藤田 法律の厳格化というより、共通の価値観の推進が目的です。 オーストラリア ターンブル首相 市民の反応は? 市民 市民 移民相は、市民権取得のルールを改めました。 オーストラリア ターンブル首相 ある市民は、単純なことだと言います。 市民 それこそ“価値”のあるものです。 藤田 塩﨑 飯笹佐代子さん 彼女が率いる『OneNation』=“一つの国民”という意味なんですけれども、そういう名前の極右政党があって、これは20年前にも話題となったのですが、最近また復活してきて支持を集めているということがあります。おそらくターンブル首相は、こうした反移民感情を持ってる人たちというのを意識してこの政策を立てたんじゃないかなという印象がございます。」 塩﨑 飯笹佐代子さん 飯笹佐代子さん 塩﨑 飯笹佐代子さん |
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