めんどくせぇことばかり 辛淑玉『拉致と日本人』 蓮池透 辛淑玉
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辛淑玉『拉致と日本人』 蓮池透 辛淑玉

章の間に辛淑玉さんのコラム収まる形になっている。4章編成だから、コラムは三つある。今回は、このコラムについて書く。

いずれもビックリ。そう、人間って、見たいものが、見たいように見えるようになるんだよね。おんなじものを見ていても、その人には全く違うものに見えているんだ。私の周りにも一人、そういう人がいる。「えっ? これを見て、そういうふうに捉えるわけ?」って人。日本人ですよ。在日朝鮮人を、最初からうがった目で見てるわけじゃないからね。

「朝鮮人は怖い」

それが戦後間もなくの、日本人の朝鮮人観だ。もちろん、人づてに得た情報ってのは実体験じゃないし、その確実性が立証されているわけでもない。しかし、日本人もバカじゃないから、もしも人づての情報を信用するなら、各々、それなりの裏の取り方ってものがある。

自分が見たこと、実体験をした人から聞いたことと、その人づての情報を総合して、それぞれが判断する。

それは、そうそう、大きく外れるものでもない。

終戦後のしばらくの間、日本人にとって、それは警戒すべき事実だった。一部であったにせよ、目につく現象だったからこそ、人の口の上った。朝鮮から引き揚げた人たちの情報は、それに拍車をかけた。それはひどい話だった。

『拉致と日本人』    蓮池透 辛淑玉

岩波書店  ¥ 1,836

拉致被害者家族と在日朝鮮人 国家に翻弄された家族と人間をめぐる対話・・・?
はじめに──この社会で共に生きてきた蓮池透さんへ
第1章 拉致問題に取り組まない政治
辛淑玉の目線……❶
 朝鮮籍=北朝鮮国籍?──無知と無関心を利用したプロパガンダ
第2章 家族と国家
辛淑玉の目線……❷
 「拉致」に群がった人々の作る未来
第3章 北朝鮮と在日朝鮮人
辛淑玉の目線……❸
 「拉致事件」とはなんだったのか
第4章 分断を超えて

《冗談ではない。怖くて声も出ないのは在日の方だ。多くの在日は、震えながら、日本人の顔色をうかがいつつ、この社会で生き延びてきたのだ(p51)》

朝鮮人だからと言って、一様ではない。それは当然だ。戦後の混乱の中、さまざまなことが起こった。

そういうことでは済まないというなら、《戦争に負けたという認識しか持たない日本人は、その前に自分たちが何をしていたか、すっかり記憶から消し去っている(p51)》と日本人を断罪しようつするなら、日本人の思いもぶつけよう。

「日本人はしおれて聞いておけ」と韓国人のでっち上げにさらされ続けてきたから、ヘイト・スピーチなんて言ううすらみっともない連中の登場につながったのだ。作用もないのに反作用なんかするもんか。

《娯楽としての朝鮮人差別は、潮目が変われば容易に殺戮へとエスカレートする(p52)》

もう、言葉が見つからない。同じ日本社会に生きているのだから、多かれ少なかれ、同じような景色を見ているはずだ。でも、明らかに、辛淑玉さんには違うものが見えている。それは彼女の見たいものなのだろう。

だから、《大衆にとって「拉致」は、「チョーセン」を叩き、大手を振って差別する娯楽を楽しむための手段(p118)》という定義になる。ちなみにここでは、“大衆”という言葉を使ってる。あくまでも“市民”とは違うようだ。私にとって拉致とは、「ごく普通の生活を営んでいた善良な日本人が、北朝鮮人の工作員によって暴力的に連れ去られた国家的犯罪」ということになるのだが、彼女は違うようだ。
さて、あんまりおもしろすぎて、三つのコラムだけ先に読んで、記事を書いてしまった。これから、辛淑玉さんと蓮池透さんの端断を読みます。蓮池さんが、この違うものを見ている辛淑玉さんとどんな対談をするのか。とても楽しみ。蓮池さんも、違うもの見てたりして。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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