『経済は地理から学べ』 宮路秀作
どうも、高校における“地理”っていう科目は、中途半端なんだよね。なんのための“地理”か。地名を覚えるためにある科目ってのが、実は大半の認識じゃないか。いやいや、本当に、そう思わせるような状況は、学生さんの間だけじゃなくて、大人の間でも、いくらでも感じられることだ。
この本は、代々木ゼミナールで地理の講師をしている宮路秀作さんという方が書いた本で、題名は『経済は地理から学べ!』ですが、“地理的知識をもとにして世界を把握しよう”という本ですね。この本の“おわりに”にも書かれていますが、2022年度の高校入学性からは、《地理総合》と《歴史総合》が必修になるんですよね。“地理と歴史から、総合的に世界を把握する”というのは、地政学に他ならない。
著者が言うように、「地理が分かれば、歴史が面白くなる。そして未来が見える」という状況は、まさに地政学が目指すところ。なによりも政治学の基礎であり、同時に軍事学の基礎である。
安倍政権下で改訂された指導要領でこのような大きな変更がなされたことは、それなりの大きな意義がある。これまでの社会科教育が、“現実世界の理解よりも理念を優先するものであった”ことを前提に、それを改めたものであるからだ。この改定は、現代の大きく変わりつつある世界の状況を把握していくために大いに役立つことになるだろう。
“地理”を本気でやってる人ってのは、世界のすべてを知りたがる。すべてを知らない限り、その人の“地理”っていうのは完成することがないんだ。恐ろしい科目だな。“地理”っていうのは。

地球上にはいろいろな地域があって、それぞれ自然環境が違う。日本の中だって、いろいろな自然環境があり、それぞれの自然環境に最適な形で人々の文化を発達させた。山岳地帯では、一つ山を越えれば、そこには違う生活があったりする。
震源に恵まれた地域があれば、そうでな地域がある。地震や水害の、たまらなく多く起こる日本みたいな地域があれば、そんなものはめったに起こらないところもある。そういうことを前提にして、人々は生活を構築していく。
その日本にだって、他の地域に比べて有利な条件だってある。自分に与えられている条件は何なのか、冷静に見極める必要がある。不利な条件を克服し、あるいはできる限り薄め、有利な条件を最大限生かす。
だけど、地理って、それだけじゃ終わらないんだよね。“人間理解”も、地理という学問の中では欠かせない項目の一つ。日本人という種類の人間の、他の人間に優越する部分はどこにあるか。そして、日本人に足りない部分はどこにあるのか。
人間を理解するためには、歴史の深い流れの中に身を投じることが必要になる。たいへんな学問だな。
とはいうものの、歴史も同じ。現在の世界を理解するために歴史を知ろうとする。そのためには地理とともに進む必要がある。地理なくして歴史もないんだな。私は歴史系の人間だから、どうしたって歴史的アプローチになる。同様に、地理的アプローチって野があるんだな。
この本の中に「4つの距離」って言葉が出てくる。歴史系の人間にはない、新鮮な話だった。例えば、東京から鹿児島までの距離。
・・・ね。けっこう新鮮でしょ。えっ?3つしかないって?
たしかに。・・・もう一つの“距離”は、《感覚距離》というものだって、これは一概に表せないですよね。人それぞれ同じものを見ていても、違う感覚ってものがありますからね。物理距離は離れていても同じ価値観を持ってる地域と、物理距離は近くてもまったく違った価値観で生きている地域とでは、感覚距離の逆転が起こりますよね。
物理距離が近くてもまったく違う価値観で生きている地域はどこかって? そりゃ、あそこですよ、あ・そ・こ。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
この本は、代々木ゼミナールで地理の講師をしている宮路秀作さんという方が書いた本で、題名は『経済は地理から学べ!』ですが、“地理的知識をもとにして世界を把握しよう”という本ですね。この本の“おわりに”にも書かれていますが、2022年度の高校入学性からは、《地理総合》と《歴史総合》が必修になるんですよね。“地理と歴史から、総合的に世界を把握する”というのは、地政学に他ならない。
著者が言うように、「地理が分かれば、歴史が面白くなる。そして未来が見える」という状況は、まさに地政学が目指すところ。なによりも政治学の基礎であり、同時に軍事学の基礎である。
安倍政権下で改訂された指導要領でこのような大きな変更がなされたことは、それなりの大きな意義がある。これまでの社会科教育が、“現実世界の理解よりも理念を優先するものであった”ことを前提に、それを改めたものであるからだ。この改定は、現代の大きく変わりつつある世界の状況を把握していくために大いに役立つことになるだろう。
“地理”を本気でやってる人ってのは、世界のすべてを知りたがる。すべてを知らない限り、その人の“地理”っていうのは完成することがないんだ。恐ろしい科目だな。“地理”っていうのは。
『経済は地理から学べ』 宮路秀作 ダイヤモンド社 ¥ 1,620 「土地」と「資源」の奪い合いから経済が見える 地図で読み解く44の視点 |
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地球上にはいろいろな地域があって、それぞれ自然環境が違う。日本の中だって、いろいろな自然環境があり、それぞれの自然環境に最適な形で人々の文化を発達させた。山岳地帯では、一つ山を越えれば、そこには違う生活があったりする。
震源に恵まれた地域があれば、そうでな地域がある。地震や水害の、たまらなく多く起こる日本みたいな地域があれば、そんなものはめったに起こらないところもある。そういうことを前提にして、人々は生活を構築していく。
その日本にだって、他の地域に比べて有利な条件だってある。自分に与えられている条件は何なのか、冷静に見極める必要がある。不利な条件を克服し、あるいはできる限り薄め、有利な条件を最大限生かす。
だけど、地理って、それだけじゃ終わらないんだよね。“人間理解”も、地理という学問の中では欠かせない項目の一つ。日本人という種類の人間の、他の人間に優越する部分はどこにあるか。そして、日本人に足りない部分はどこにあるのか。
人間を理解するためには、歴史の深い流れの中に身を投じることが必要になる。たいへんな学問だな。
とはいうものの、歴史も同じ。現在の世界を理解するために歴史を知ろうとする。そのためには地理とともに進む必要がある。地理なくして歴史もないんだな。私は歴史系の人間だから、どうしたって歴史的アプローチになる。同様に、地理的アプローチって野があるんだな。
この本の中に「4つの距離」って言葉が出てくる。歴史系の人間にはない、新鮮な話だった。例えば、東京から鹿児島までの距離。
新幹線の場合 | 飛行機の場合 |
物理距離 約1460km 時間距離 約6時間30分 経済距離 28,820円 | 物理距離 約1000km 時間距離 約2時間 経済距離 43,890円 |
たしかに。・・・もう一つの“距離”は、《感覚距離》というものだって、これは一概に表せないですよね。人それぞれ同じものを見ていても、違う感覚ってものがありますからね。物理距離は離れていても同じ価値観を持ってる地域と、物理距離は近くてもまったく違った価値観で生きている地域とでは、感覚距離の逆転が起こりますよね。
物理距離が近くてもまったく違う価値観で生きている地域はどこかって? そりゃ、あそこですよ、あ・そ・こ。


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