めんどくせぇことばかり 『日本人が知らない最先端の世界史2』 福井義高
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『日本人が知らない最先端の世界史2』 福井義高

費用がかかりすぎる、非現実的だと批判されながらも、全長3000キロ以上の米・メキシコ国境に頑強な壁を設置するという提案を主張し続けている。合法移民の削減も提唱し、不法移民の強制送還を延期するオバマ大統領の大統領令を取り消すと表明。さらに、米国内で暮らす不法移民を削減するため、対策強化を主張する。米国内に住む1100万人以上の不法移民を強制送還するという公約や、すべてのイスラム教徒の入国を一時的に禁止するという公約は、あまり口にしなくなったものの、撤回はしていない。
これは、トランプ大統領の公約ね。
移民の継続は深刻な問題をもたらす。合法、不法とも、移民をストップしなければならない。
これは、トランプじゃないよ。誰かと言うと、冷戦期のヨーロッパにおける左翼の大立者、ジョルジュ・マルシュフランス共産党書記長の、1981年の発言。
不法移民流入を阻止せねばならない。この目的を達するため、国境警備要員を増やさなければならない。合法移民に関する法律も、合衆国が移民のの数と質をもっとコントロールできるように改正せねばならない。
難民の受け入れに関しては、まず、合衆国は、無責任な他国内政への干渉によって難民が生じることにもっと用心しなければならない。本当に難民かどうか、より確実に難民申請を審査せねばならない。
国はアメリカっぽいよね。だけど、トランプじゃない。1968年予備選でリンドン・ジョンソン大統領を再選断念に追い込んだリベラルの雄、ユージン・マッカッシー民主党上院議員が1992年に刊行した『世界の植民地 今日の合衆国』の中の一節だそうだ。

つまり、ヨーロッパでもアメリカでも、かつて左翼・リベラル勢力は移民反対勢力だった。そりゃそうだ。自分の国の労働者にとってみれば、移民流入は労働供給増を意味するのであって、賃金の低下や失業をにつながる出来事なのだから。弱者の側に立つ左翼・リベラル勢力とすれば、移民に反対しなければならない。・・・そういう立場のはずだ。

流れが変わったのは、冷戦の終了だという。それと前後してグローバル化や多文化主義がエリートのドグマとなり、左翼・リベラル勢力が移民賛成論に転じる。・・・この本では、アメリカ合衆国労働組合のナショナルセンターであるAFLやCIOが、2000年に移民政策を転換して移民拡大を組織の方針としたことが、それを象徴する出来事だったとしている。

こうして、移民推進が政治・経済・言論エリートのコンセンサスとなり、移民反対を唱える者には“極右”のレッテルが張られることになった。 


祥伝社  ¥ 1,728

歴史を学ぶことは重要である。しかし、都合よく利用しようとすれば、手痛いしっぺ返しを食う
序章 「反グローバリスト」は「極右」なのか
Ⅰ  満洲におけるソ連情報機関と日本
Ⅱ  「スペイン内戦」の不都合な真実
Ⅲ  「憲法フェティシズム」の果て
Ⅳ  「欧州共同体」という大いなる幻想
Ⅴ  「不戦条約」と日本の運命

利益第一の経営陣にとって、移民すなわち安価な労働力は望ましい。表面的には、社会的敗者を犠牲にして経済成長をもたらす。だから経営者や経済成長市場論者、それを代弁する政治家や知識人は一貫して移民賛成論を唱える。1990年以降は、ここに学問や報道のエリートたちが合流してくる。

この本にも登場するハーバード大学のジョージ・ボーハスという教授がいて、子どもの頃に、キューバから難民としてやってきた人なんだそうだ。そのボーハス教授は、「政治的に正しい物語は間違っている。移民は全員にとって良いわけではない」と言う。

経営陣には高い労働力に代わって、安い労働力が手に入る。流入移民は、故郷で求められなかった仕事にありつける。この二者が勝者である。そして敗者は、流入移民に仕事を奪われる先進国の大衆である。

それでも彼らは、移民がもたらす賃金低下などの負の効果などを否定するため、不可解な仮定を設定し、データを操作することをやめない。
まさに遠い昔のハバナの革命学校におけるマルクス・レーニン主義者の教師たちを思い出させる。彼らは信じていた。残された成すべきことは、他のすべての人々も同様に信じるよう強いることであった。

さすがは社会主義国家から亡命してきたボーハス先生、わかってらっしゃる。ソ連崩壊で敗れた社会主義者の夢は、こんなところで社会に呪いをかけていた。人種や民族の個性を失わせ、国家の意味を消滅させて、人を単なる労働力として管理する。まさに、彼らの理想がそこにある。
ペラペラ~とめくっていて、序章読んだだけで、おもしろくって、ついつい使わせてもらっちゃった。移民賛成論者が何を言おうと、この国の本家本元は、英国プロテスタント文化のもとに人々を同化・統合してきた社会、WASPの作り上げたアメリカなのだ。それを、“アメリカ合衆国の民意”という。

脱国家的エリートらが、「極右」、「ポピュリスト」とトランプ大統領を攻撃している。そうして彼が葬り去られたとき、次にどんな時代が来るのだろう。





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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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