ゲルニカ『日本人が知らない最先端の世界史2』 福井義高
![]() | フランシスコ・フランコ将軍率いる国民軍との内戦下、スペイン人民戦線政府は、支持者であるパブロ・ピカソに、1937年にパリで開かれる万国博覧会に、作品の出品を依頼していた。 それを受けたピカソは、衝撃を受けた、フランコを支援するドイツ空軍が1937年4月26日に行ったゲルニカ爆撃の非人道性を訴えるため、壁画『ゲルニカ』を完成させた。 |
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- ドイツ空軍によるゲルニカ空爆は、一般市民をターゲットにする無差別爆撃ではなく、明確な軍事目標を狙った作戦であった。
- 一般市民に犠牲が出たとしても、それはそのこと自体を目的にしたことではなく、他の軍事目標を狙った攻撃の付随的損害であった。
地上の国民軍を支援する独伊空軍部隊は、人民戦線軍の退却を妨害するため、軍事目標である橋などを狙った爆撃を行った。その際、視界不良の中投下された爆弾が市街地を直撃し、一般市民に犠牲が出た。犠牲者は、これまで1654人とされてきたが、スペインの戦史家ヘスス・サラス・ララサバルの研究によれば、120人というのが真相に近いという。
ゲルニカ爆撃は、一般市民を狙った無差別爆撃ではなく、地上軍と連携した空軍が敵の退却を妨害するために行う「航空阻止攻撃」であった。
ピカソの《ゲルニカ》を、効果的に政治的プロパガンダに利用したのがスターリンであった。第二次大戦中、パリに住んでいたピカソは、連合国軍によるパリ解放後、フランス共産党に入党し、1950年にスターリン平和賞を受賞した、向こう側から見た立派な人だった。


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