めんどくせぇことばかり アフガン紛争『池上彰の世界の見方 中東』 池上彰
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アフガン紛争『池上彰の世界の見方 中東』 池上彰

第二次世界大戦で2700万人の死者を出したソ連の大戦後の一大戦略は、仮想敵国との間に緩衝地帯を置くことだった。西ヨーロッパ諸国との間に東ヨーロッパというソ連の衛生国家を、アメリカ軍の駐留する韓国との間に北朝鮮が存在したのは、ソ連がそうしたからだ。

ロシアになった今も、そう。戦後70年以上たっても解決できずにいる北方領土問題。日本とアメリカの間に安全保障条約がある以上、歯舞、色丹を返還すれば、何か問題が生じたとき、そこにアメリカ軍がやってくる。それは、ソ連にとっては避けたい事態なんだな。

ソ連時代、アフガニスタンは国境を接していたが、ソ連にとっての脅威ではなかった。さらにその南西にあるイランとはあまり友好的関係ではなかったこともあって、ソ連にとっては、無害なアフガニスタンであってくれればそれでよかった。

しかし、イスラム教の王国であったアフガニスタンにクーデターが発生し、幾度となく政権が変わる不安定な状態になった。ソ連はアフガニスタンを自分の影響下に置くことを模索し、1979年にアフガニスタンに侵攻した。まもなくソ連はアフガニスタンに傀儡政権を樹立し、アフガニスタンを統治した。

現在の中東イスラム諸国の混乱は、このソ連のアフガニスタン侵攻に始まる混乱である。



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受験生、就活生、学び直しの社会人に最適 中東の根本がよくわかる
第1章 「混乱の始まり」から見る中東
第2章 「戦争とテロ」から見る中東
第3章 「地理・民族・歴史」から見る中東
第4章 「イスラム教」から見る中東
第5章 「石油利権」から見る中東
第6章 「難民大発生」から見る中東

ソ連の支配に猛反発する人たちの戦いが始まった。アフガニスタンはイスラム教徒の国で、国外のイスラム教徒もアフガニスタンの人々を支援した。

「イスラムの教えを守るための心の中の戦い」という定義を、以前読んだことがある。池上さんは、「ジハードとは、イスラムの教えを守る努力」だという。 まあいいや。そのジハードを遂行するイスラムの聖戦士を《ムジャヒディン》という。アフガニスタンの周辺から、多くのムジャヒディンがアフガニスタンに集結した。

東西冷戦でソ連と敵対していたアメリカは、これをソ連を叩くための好機と定め、アフガニスタンの反政府勢力であるムジャヒディンを支援した。アメリカは、パキスタンの軍統合情報局を使ってムジャヒディンに軍事支援を流した。ムジャヒディンに流れたのはスティンガーミサイルだった。

ソ連のハインドヘリコプターの攻撃になすすべなかったムジャヒディンは、このスティンガーミサイルで劣勢を挽回した。ヘリコプターの方角に向けてスイッチを押せば、発射されたミサイルは熱感知によってハインドヘリコプターを撃ち落とした。ソ連軍のヘリコプターは次々に撃ち落とされ、ソ連軍はぼろぼろになって撤退した。

しかし、ソ連軍を撤退させたことで、アメリカはアフガニスタンへの興味を失った。ムジャヒディンもそれぞれの国に帰った。そして、アフガニスタンには内戦が始まる。主要民族の主導権争いは、激しさを増す一方であった。アフガニスタン難民が大量に発生し、国境を接するパキスタンにはたくさんの難民キャンプができていた。その難民キャンプで、パキスタンのイスラム教原理主義思想をもつ者たちが、難民キャンプの子供たちを教育しようと、いくつもの神学校が作られていた。

アメリカの支援をパキスタンに横流ししつつ、同時に私腹を肥やしたパキスタン軍統合情報局は、この神学校を使ってアフガニスタンへの影響力を強めようと考えた。神学校でイスラム教原理主知思想を見につけた若者たちは、パキスタン軍統合情報局から最新の武器を持たされて、アフガニスタンに送り込まれた。この“学生たち”をタリバンと呼んだ。

タリバンは、瞬く間にアフガニスタンの大半を手中にし、アフガニスタンでイスラム教原理主義に基づいた統治が始められた。

1991年に、湾岸戦争が発生する。前後の事情は割愛するが、アメリカ軍は砂漠の盾作戦を発動して、サウジアラビアに軍を駐留させた。これに反発したのが、かつてアフガニスタンで、アメリカの支援を受けながらムジャヒディンとして戦ったオサマ・ビンラディンであった。

サウジ王家を批判したビンラディンは追放され、アフガニスタンに逃げた。アフガニスタンのタリバン政権は、この懐に入った窮鳥を保護し、かつての同志として、客人としてもてなした。オサマ・ビンラディンはタリバンの保護のもと、アメリカと戦う国際テロ組織を育てた。それが“基地”の意味を持つアルカイダである。

そして、2001/09/11、同時多発テロが発生する。

起こったアメリカは、オサマ・ビンラディンの引き渡しを拒否するアフガニスタンのタリバン政権を崩壊させ、ブッシュ大統領の私怨も絡んでイラクを攻撃しフセイン政権まで倒した。

フセイン大統領時代のイラクはバース党の一党独裁で、バース党員があらゆる要職を独占していた。アメリカは、このバース党員を一斉に公職追放した。イラク社会はマヒ状態となった。

イラクは、シーア派6割、スンナ派2割、クルド人2割の国で、フセイン時代はスンナ派の支配だった。バース党の警察官も軍隊の幹部もスンナ派だった。

そのイラクで、民主的な選挙が行われて、当然のようにシーア派政権ができ、かつて抑圧されたシーア派は、スンナ派への仕返しを始めた。

スンナ派には、かつてバース党員だったものが多く、フセイン政権時代の警察や兵士もたくさんいた。彼らは武器を手にシーア派の警察や軍との戦いを始めた。こうしてイラクは、内戦状態となる。そこに、アフガニスタンのアルカイダが触手を伸ばし、イラク国内にアルカイダ系の過激組織が結成される。「イラクのイスラム国」である。その後、「イラクとレパントのイスラム国(ISIL)」、「イラクとシリアのイスラム国(ISIS)」と名を変え、現在、「イスラム国(IS)」と自称するようになる。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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