『池上彰の世界の見方 中東』 池上彰
パレスチナ問題という中東混乱の根本は、しっかりおさえている。そのへんが池上彰さんの抜け目なさ。
だけど、そことつながりつつ、現在の中東問題と言えば、やはり《ISIS》。《ISIS》と言えば“Islamic State of Iraq and Syria”、つまり、「イラクとシリアのイスラム国」。今焦点になっているのは、イラクとシリア。その始まりは、ソ連のアフガン侵攻にある。
と言うことで、先日は、現在の《イスラム国》の問題が、実は、ソ連のアフガン侵攻からきているという部分を、“覚書”として、まとめさせてもらった。
内容は、ちっとも難しくない。私の頭にだって、そのくらいは入っている。だけど、この本のように、しっかり順序立てて、文章としてまとめておくっていうのは、理解しているかどうかということとは別問題。しかも、それはそれで、高度な技術と鍛錬を必要とすることなんだよね。
池上さんは、それをしっかりと持ってらっしゃる。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
だけど、そことつながりつつ、現在の中東問題と言えば、やはり《ISIS》。《ISIS》と言えば“Islamic State of Iraq and Syria”、つまり、「イラクとシリアのイスラム国」。今焦点になっているのは、イラクとシリア。その始まりは、ソ連のアフガン侵攻にある。
と言うことで、先日は、現在の《イスラム国》の問題が、実は、ソ連のアフガン侵攻からきているという部分を、“覚書”として、まとめさせてもらった。
内容は、ちっとも難しくない。私の頭にだって、そのくらいは入っている。だけど、この本のように、しっかり順序立てて、文章としてまとめておくっていうのは、理解しているかどうかということとは別問題。しかも、それはそれで、高度な技術と鍛錬を必要とすることなんだよね。
池上さんは、それをしっかりと持ってらっしゃる。
『池上彰の世界の見方 中東』 池上彰 小学館 ¥ 1,512 受験生、就活生、学び直しの社会人に最適 中東の根本がよくわかる |
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第3章以降では、近代における中東混乱の根っこであるサイクス・ピコ条約はじめ、イギリスの三枚舌外交もしっかり抑えている。しかも、第4章では、イスラム教の起こりにまで言及する慎重さ。スンナ派とシーア派の、イスラム教内派閥争いまで紹介している。
この本では詳しく触れられていないが、おそらくこれは、イエメンをめぐるサウジとイランの対立あたりに関わる本でも書こうとしているんじゃないかと思わせる。いや、おそらくそうだろう。
そこから、さらに派生して発生した難民問題。もともと問題があったところに、イスラム国がらみの混乱で付け加わった難民問題は、もはや民族移動。テロの発生と相まって社会に亀裂を生み、亀裂は“EU”にも入った。さらにアメリカにも伝播してトランプ大統領という変わり種を生み出した。
やはり、背景にあったのは石油をめぐる利権なんだよね。もちろん、池上さんのそつのなさが、そのへんをおざなりにするはずがない。
あんまりそつがなさ過ぎて、流れるように一冊が終わる。
最後に池上さんは、若者たちに向かって、こう期待を述べて終わる。
私たちにどんな国際貢献ができるのか。なにも皆さんに難民キャンプに行ってくださいとか、支援をしてくださいとか言っているわけではありません。それぞれの人が、それぞれのやり方で、さまざまな国際貢献をすることができるのではないでしょうか。そういう柔軟さと優しさを以って、世界の人々と触れ合ってほしいと思います。 本書p226 |
それって、本当に目を向けなければならない問題から、若い人たちを遠ざけることになりゃしないかが心配になる。


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