めんどくせぇことばかり 天狗『山の怪談』 岡本綺堂
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天狗『山の怪談』 岡本綺堂

一つ一つがとてもおもしろい。

西岡一雄さんの『天狗は山人也』を読んで思った。

なんとその名は日本書紀に出てくるという。なんて由緒正しい妖怪なんだ。いや、妖怪ではないのか。西岡一雄さんによれば、それは「山人也」ということだからね。そして、「平安時代から、天狗という文字が繁く使われ」るようになるという。それを考えると、律令制導入と関係するのか。

律令制導入による包括的支配の網ではとらえられない人も少なくなかったはず。しかし、稲作を生業としない彼らに生きていく場所はない。人々を土地に縛り付ける律令のもとで窒息するより、山に逃れる者たちも少なくなかったのではないか。

そして、鬼を従えて山伏となり、修験の道を開いた役小角が山に入ったのもこの頃。彼は、山に逃れた人々と交わったのではないか。
そんなことを考えていたら、最近知り合った歴史好きが、「違う」という。彼は、「天狗は平城京に立ってきたトルコ人だ」という。ええー!そうだったんか???・・・どうやら歴史好きが言ってるのは、正倉院の面が頭あってのことらしい。

おお! たしかに顔が赤いし、鼻が高い。
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だけど、日本の人々が思ってた天狗ってのも、最初から顔が赤くて、鼻が高いのか?
興福寺の八部衆像の迦楼羅は鳥の顔している。くちばしも鋭い。こちらは烏天狗のもとだと思うんだけど、これと顔が赤くて、鼻が高い天狗との関係はどうなっているのかも興味深い。

鼻が高いだけなら、日本の神様の猿田彦だって鼻が高い。
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天狗の伝説が全国に分布しているのも気になる。そんなにたくさんのトルコ人がいて、日本中に拡散したというのは考えずらい。


『山の怪談』    岡本綺堂

河出書房新社  ¥ 1,296

山の怪談アンソロジー。山人の怪異民俗、文人の心霊譚、岳人の遭難・神秘体験。
Ⅰ 山の怪異の民俗
入らず山                                柳田国男 
山の怪異                              高橋文太郎  
含満考ーーバケモノの話                        高須 茂
天狗は山人也                             西岡一雄
貉の怪異                                    小池直太郎
Ⅱ 文人・林人の心霊の話
幽霊滝の伝説                       小泉八雲(田部隆次・訳)
兄妹の魂                                       岡本綺堂
焚火                                            志賀直哉
天井の怪                                        平山蘆江
天狗笑い                                      豊島与志雄
山女                                            加藤博二
丹沢の七不思議                           ハンス・シュトルテ
行ってはいけない土地                          工藤美代子
Ⅲ 岳人の怪奇・神秘体験
山の怪談                                      深田久弥
岳妖ーー本当にあった話である                   上田哲農
岩塔ヶ原                                       西丸震哉
死者ーー霊魂の歩み                            古川純一
山小屋の秋                                      青柳 健
神さんや物の怪や芝ヤンの霊がすんでいる山の中   高田直樹
縦走路の女                                    沢野ひとし


西岡一雄さんは、天狗を含めて、山にいる怪奇なる存在のすべてを、同一のものと考えているようだ。山神、山鬼、山姥、山男、仙人、すべてが天狗と同一の存在であると。鼻が高いのは意思が強靭であることをあらわす。顔の色が赤いのは獣のように強く、早いことをあらわす。

神武東征によって大和朝廷が開かれ、先住の国津神は征伐され、または帰順、同化した。しかし、征伐を逃れ、帰順も同化もしなかった者たちもいた。蝦夷土蜘蛛、近畿長髄彦、九州熊襲といった巨魁を代表に、山人となって隠れた人々がいたというのが、西岡一雄さんの考えのようだ。

長い時間の経過の中で、いずれおとなしく帰順、同化したもの。鉾を取って反抗を続けた末に滅びたもの。村人と和睦し重なり合って独自性を失ったもの。子孫が絶えて、誰からも忘れ去られたもの。

そんな成り行きは、もはや純然たる山人を失わせたことだろう。だけど、伝説の中で、おとぎ話の中で、子供に対する親のたとえ話の中で、山の人は時に里の女をさらい、男をさらい、子どもをさらう。

もしかして、私がむやみに山に行きたくなるもの、私の血の中に、山の人の血が流れ込んでいるせいかな。もしそうなら、一体どこで流れ込んだんだろう。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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